ジャンダルムに立つ~西穂高岳から奥穂高岳(3)
8/8 西穂山荘~西穂高岳~ジャンダルム~奥穂高岳~穂高岳山荘~涸沢
(前回の続き)
天狗岳から鎖を使って一気に天狗のコルに下り立つ。ここには崩れた避難小屋の跡がありビバーク可能だ。また、天狗沢を下り岳沢に至るルートも分岐している。
畳平ノ頭へ崩れやすいがれた斜面を登る。振り返ればガスに巻かれた天狗岳。天狗岳は天狗ノ頭とも言うが、なるほど、ここから見ると天狗の横顔のように見える。
ガラガラ斜面を登りきると細いリッジ。両側はすっぱり切れ落ち、スラブのようななめらかな岩が、水平よりちょっと右へ傾いている。個人的にはこの一歩が何よりもおっかなかった。
赤茶けたルンゼをはいずり上がると、テントがひと張り張れるくらいの広場?があった。ここで一休み。一瞬ガスが晴れて西穂高岳から続く歩いて来た稜線が見えた。だいぶ来たな~。
倒されたドミノのごとく、縦に畳のような岩を重ねたリッジを登ると畳岩ノ頭にでた。ここはテントが2、3張り張れるような平らな場所がある。
ガスが薄くなり、前方にこんもりしたピョコが見えてきた…。もしかしてあれが歌にも歌われるジャンダルムか?まるで、霧の海に現れた海坊主のようだが…
コルに下りると、岩に矢印と「ジャン」と書いてあった。ジャンダルムの基部にやって来た。パッと見、どこがルートだか分からないが、とりあえずトップに行ってもらう。
最初の鎖に従って上がるとバンドに出る。右に行くと信州側からジャンを巻くルート、左がジャンダルム頂上へのルート。まずは岩にのって一段高いバンドに上がるが、ここの鎖の末端は、浮石に固定されていた…。上がったところから、よく分からないので、そのまま頂上まで直登した。
ああ、ついにジャンダルムの頂上に立つ。と言っても穂高が初めてで、ジャンダルムがどこにあるかよく知らなかった私はあまり感慨がない…。ごめんなさい。
灰色の岩屑の頂。ザックを下ろして休む。奥穂高岳の山頂にいる人の姿がよく見える。ゴールまではもう少しだ!

ロバの耳のトラバースからのクライムダウン。今回、一番渋い下り。登ればⅢ級程度か。クライミングだったら懸垂下降で下りてしまうだろう。
馬ノ背手前のコルで最後の休憩。こちらから見るジャンダルムはかっこいい。ガスから頭を出す姿もなかなかだ。と、ポツリ、ポツリと冷たいものが…。雨だ!お願いだから馬ノ背を越えるまでは降らないでくれ~!

正午ちょっと前に奥穂高岳の山頂に立つ。無事、西穂から奥穂の縦走路を抜けた。ジャンダルムはかろうじて見えるが、西穂高岳はガスに隠れて見えない。メンバーとお疲れ様と言いあう。
そして、先には槍ヶ岳までの稜線が続く。いつかは行かなくては。感慨にふけっていると、若い登山者に話しかけられた。いつかはこの奥穂から西穂への縦走路を歩きたいそうだ。おう、頑張れ!
山頂で感慨にふけっていたものの、実はトイレに行きたいのを3時間以上我慢していた。細い岩稜ではトイレもままならない。早くトイレに行きたい。トイレ!、トイレ!!とつぶやきながら次々と登山者を追い抜いて、穂高岳山荘への道をひた走る。が、小屋直前の鎖場で大渋滞。抜いた方々に追いつかれる…。苦しい登山だ。下痢をこらえてIsland Peakに登ったことを思い出した。
小屋のトイレで充実した時を過ごし、涸沢へ下る。ここまでの緊張の続く道程とうって変わって、美しい景色や花を見ながらのルンルン登山だ。前穂北尾根もかっこいい。今度はあれに登ろう。
ナナカマドがたくさん咲いている。その向こうは屏風ノ頭。
長い下りに飽きた頃、涸沢小屋に到着。テラスから雪渓をまとった穂高を仰ぎ見る。ヨーロッパのスキーリゾートを思わせる優雅な小屋だ。ヨーロッパのスキーリゾートなんぞ行ったことないけど。
長い一日を終え、涸沢のキャンプ場にテントを張って、涸沢ヒュッテにやってきた。もちろん、乾杯のためのビールを買うため。ここからの景色もなかなか雄大。ただ、ここの雰囲気はスキーリゾートと言うよりビアガーデンだ。
(次回に続く)
赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…