黒戸尾根を越えよ!~甲斐駒ヶ岳から夜叉神峠(1)
9/23 竹宇駒ケ岳神社~七丈第一小屋~甲斐駒ヶ岳~早川尾根小屋
そういえば、ずっとアルプスに行っていない。
学校に通ったり、仕事が忙しくて土日も休めなかったりして、ここ数年、近場の日帰りが多かった。転職などでまとまった休みが取れるときは、海外を優先していた。
前回、アルプスの縦走に行ったのはいつだろう...おおっ、2013年秋の槍穂ではないか!(「秋晴れの奥穂高岳~槍穂縦走(1)」)南アルプスは2013年の夏(「なぜか仙丈岳から仙塩尾根~仙丈岳・北岳(1)」)。気が遠くなるほど昔だ。
じゃあ、近い南アルプスに行こう。でも、やっぱりあまり時間をかけられないので、アプローチのよい甲斐駒ヶ岳を黒戸尾根から登り、鳳凰三山を経由して夜叉神峠に抜ける、通常2泊3日のルートを1泊2日で行くことにする。
出発は10/22の深夜23時。いつもの「毎日あるぺん号」の甲斐駒ヶ岳登山口行に乗る。緊急事態宣言中というのに、満席。みんなワクチン接種を完了しているんだよね、きっと。
翌3:05、甲斐駒ヶ岳の登山口、竹宇駒ケ岳神社に到着。真っ暗な駐車場において行かれる。暗い。そして眠い。3時間くらいうとうとしただけだ。身支度を整え、サンドイッチを頬張り、真っ暗闇の中、ヘッドライトの明かりを頼りに3:30出発。
ぼやぼやしていられない。今日は、ここから甲斐駒ヶ岳を打って、さらにアサヨ峰を越え早川尾根小屋のキャンプサイトまで行かねばならない。甲斐駒ヶ岳までのルートは、アルプス三大急登の1つとも言われる、標高差2200mの黒戸尾根。
黒戸尾根を越えよ!
勇んで出発したはいいが、いきなり駒ケ岳神社の境内で道に迷う。5分くらいヘッドライトであちこち照らしながらうろうろして、境内を突っ切ってルートに復帰。
暗闇の中、足元を見つめながら、ポールをついてひたすら樹林帯を登る。風はまったくなく、薄手のフリースを着ていると暑いくらいだ。
5時をすぎると明るくなってきた。ヘッドライトをザックにしまう。ひと安心。
でも、眠い...頭痛い...。今日は10時間以上歩くのに大丈夫かな...
緩急を繰り返しながら淡々と登っていく。やあ、明日歩く鳳凰三山も見えてきた。
いい天気だな~。
これが刃渡り。両側が切れ落ちた細い岩尾根。がっちりした鎖がついているし、ホールドが豊富なので問題ない。
黒戸尾根の第一はしご場。以後、こんなはしごが連発する。つかみにくかったり、微妙に傾いていたり注意が必要。
はしごを登りきったところが、刀利天狗。
ザックを下ろしておにぎりタイム。今日は本当にからりとした晴天で気持ちがいい。木陰は涼しいが、動くと暑い。フリースを脱いでザックにしまって出発。
この尾根は、不思議な尾根で、鎖やはしごのかかる細い岩尾根があったと思ったら、写真のような樹林の尾根になり、そしてまた岩尾根になる、の繰り返し。
このあたりから、次々と登ってくるトレイルランナーに抜かれる。
広場に出た、と思ったらそこは五合目小屋跡。甲斐駒ヶ岳の山頂が見えてきた。近いように見えるんだけど、どうかな。
甲斐駒ヶ岳は信仰の山。祠や石碑が随所にある。古いものもありそうなんだけれど、先人はこんなものを背負って、はしごや鎖のない黒戸尾根を登ったのだろうか?ちょっと怖いな。
長いはしご。こんなんばっかり。
しっかりとしているが、うかつに足を滑らせたら危険。眠気を振り払って全集中。
小さなギャップもあるよ。かなり深く切れ込んでいる。橋が架けられているけど、なかったらクライミングの世界。
七丈第一小屋までは行ったことがある。そのとき、雨が降っていたら嫌だな~、と思った鎖場の記憶があった。ここだった。短いけど垂直の鎖場(垂直の部分は写真には写っていない、鎖は岩の面に沿って下に続いている)。足を滑らせれば宙ぶらりん。手を離せばさようなら。
8:37、七丈第一小屋に到着。前回はここで1泊とした。今回はまだ半分も来ていない。小屋から掃除機をかける音が聞こえる。
水がたっぷりあるので、水をがぶ飲みしながらゆっくり休憩。ルート上に水があるのは本当にありがたい。
登りがどんどん急になる。それにあわせて、眺めも広がり、木々も色づいていく。
今日は本当に天気がいいな~。真っ青な空と紅葉のコントラストが目に染みる。
尾根は岩がちになり、鎖もふえる。多くの登山者の足跡が作った足場。
この鎖場はハングしている。
鎖を使えばなんということはない。もし鎖がないと、上半身が外にでて、のけぞる形になるので難しいだろう。右側の岩が、手を伸ばせばがっちりとホールドになるのだが、そうすると大きなザックは左の岩に引っかかる。
鎖よ、ありがとう。
岩場の斜度があがり、ペースがあがらない。なかなか頂上に近づかず、さっきから同じ景色を見ている気がする。
おお、これもすごいな。
急傾斜のゴーロのルンゼ。アルパインの岩壁のつなぎとか、沢登りで滝を巻くときとかによくあるやつ。階段状なので難しくはないが、雨の日に下りたくはない。
岩をよじ登って尾根に上がり、一息つく。すこしは近づいたかな。
私を抜かしていったトレイルランナー達が下山を始め、次々とすれ違う。下りは気を付けてくださいね。
鳳凰三山と富士山。南アといえば富士山の眺めだよね。
西に目を転じれば、甲斐駒ヶ岳の尾根に続く、尖った鋸岳の峰々。懐かしいな~。鹿窓のルンゼで先行者が降らせた砂礫の雨にじっと耐えったっけ。クライミングの基礎がない人は、ガイドと一緒でも行かないほうがいいと思うな。
登り切った。
甲斐駒ヶ岳の山頂はもう目の前。
(次回に続く)
赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…