初の100kmレース、2023奥信濃100参戦
6/10 奥信濃100
トレランを始めたときの目標の1つ、ハセツネ完走はコロナで大幅に遅れたものの、昨年達成した(第30回ハセツネCup参戦)。
次なる目標は、国内の100マイルレース、UTMF(2024年に”Mt.FUJI100”と改名)完走だ。
ただし、UTMFには応募資格がある。
3レース以内でITRAポイント、10ポイント以上
国際トレイルランニング協会が認定したレースを完走すると、ITRAポイントがもらえる。たとえばハセツネ完走ならば3ポイント。
3レースで10ポイントもらうためには、ざっくり言うと、少なくともハセツネ級のレースを2つ(3x2=6ポイント)、ハセツネ以上の100km以上のレースを1つ(4ポイント)完走する必要がある。それも、来年のUTMFに応募するには、募集の始まる11月までにもらっておく必要がある。
昨年のハセツネで3ポイントもらっているので、あと7ポイント。3ポイントのレースはいろいろ選べる、しかし、4ポイントのレース選びが悩ましい。
トレニックワールド彩の国100kmは近くて参加しやすいが、低山の細かなアップダウンをなめるようなコースはちょっと私の趣味に合わない。奥信濃100は面白そうだけど、遠くて金がかかる...。
と迷っていたものの、彩の国はエントリーしようとしたが、ゼロ時関門突破ならず。
選択の余地なく、奥信濃100に参戦。
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6月9日(金)
レース前日受付のため、現地入り。
仕事は半日休暇を取り、午後に家をでる。信越新幹線で飯山駅、そこから送迎バスでスタートのある木島平スキー場にやってきた。遠かった。
まずやることは、チェックイン、ただしキャンプ場。
スタート地点のゲレンデ周辺には、この時期に開いている宿が少ない。見事に宿が取れなかった。自家用車があればなんとかなるが、公共交通機関ではなんともならない。しかたがないので、ゲレンデわきのキャンプ場でテント泊。荷物が重かった~。
テントを立て終えて、スタート地点を眺める。
虫が多く、じっと立っているとたかられる。
低い灰色の雲が空を流れていく。明日も雨が降らなければ儲けもの。
受付をし、荷物チェックを済ませる。
スタート地点には、色とりどりのショップのテント。ここだけちょっとお祭りの雰囲気。
ゲレンデ前のパノラマランド木島平(現在は、SBCリゾート木島平)で風呂に入って、テントに戻って夕食。
やることもないので早く寝よう。
スマホとガーミン先生を充電しようと、モバイルバッテリーを手に取ると、熱っ!やばいくらいに発熱していて充電できない。壊れたようだ。電気を節約しないと。
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6月10日(土)
3時半に起きる。
「完全めし」なるものを買って持ってきた。必要な栄養をすべて含んでいるのが売りで、朝食によさそうだと思った。が、油っぽくて胃にもたれる。しかし、私の胃はこれしきにはへこたれない。
5時にスタート。100kmの旅が始まる。
すっかり明るくなっているが、ゲレンデの上のほうは濃いガスの中。
一瞬ゲレンデを登り、すぐにゲレンデを下る。ゲレンデを抜けるとしばらくロード&林道。先は長いのでゆっくり行けばいいのだが、まわりのランナーが結構なペースで走っていて、つられて走る。
トレイルに入ったり、林道を走ったり。
アップダウンの少ない里山のトレールを走る。
過去、複数のランナーが蜂に刺されたという情報があった。そこで、蜂を恐れて長袖Tシャツと長いランパンで走ることにしたので、暑さを心配した。しかし、幸か不幸か重苦しい曇り空、まったく日射しがないのでなんとか耐えられる。
あっという間に第一エイド。
しかし、お腹の調子がよくない。朝、食べなれないものを食べたせいだろうか。
やむを得ず、トイレの長い行列に並ぶ。20分ほどロスタイム。
高社山登山口へ里山を走る。
高社山へは最初の登りらしい登り。
ポールを出して黙々と登る。関西から来たと思われる、学生3人組が後ろにぴったりついている。さすが関西人、歩きながら漫才をしている。笑いをこらえながら歩く。
笑いをこらえているうちに、高社山の山頂到着。
ポールをしまって下りにかかる。
この下りは、かなり急で、狭い階段などもありちょっと曲者。おっかなびっくり下っているランナー多数。
木島平スキー場に戻ってきた。
27km走ったが、まだまだ余裕。風を切ってゲレンデを駆け下るのが気持ちいい。
スタート地点に戻って、デポバックを回収。着替えを用意してあったが、それほど汗もかいてないので必要なし。食料だけバックパックに詰めてスタート。
朝走ったトレールをしばらく走り、途中で樽川へおりて第2エイドへ向かう。
相変わらずの里山の風景。
33km地点、第2エイド、糖塚エイドに到着。
ここは、72km第5エイド、95km第7エイドでもある。あと2回ここに戻ってくるのだ。無事に戻れるだろうか...
エナジーバーをバックパックの取り出しやすいところに入れようと思い、ドロップバックから補充した食料のスタッフバックを取り出す。
!!!(絶句)
衝撃の事実が発覚。
食料のスタッフバックを開けたら着替えが入っていた...しまった、食料と着替えを取り違えた...
う~む。エイドの間隔は、ざっくり10kmから15km。途中補給できなくても走れる距離ではある。
しかたない、「1つ限り」ではないものをエイドで食べまくろう。たぶんバナナばかり食べ続けることになるが、しかたない。
うむむ、その上、全く役に立たない着替えを持って走らなければいけない。間抜けすぎる。
さっそく、バナナをいただく。
コーラを飲もうとカップを探す...衝撃の事実その2...カップがない。
バックパックをひっくり返してもカップがでてこない。間違ってデポバックに入れてしまったか、落としたか。
エコのためにエイドにはカップが置いていない。しかたなく、フラスク(水筒)を空にして、カップの代わりにしてコーラを注いでもらう。
エイドをでて、本日の最大の難関と予測していたカヤの平の登りにかかる。
沢沿いの道。ところどころドロドロでぐちゃぐちゃ。
滑って手をついたり尻をついたり、泥だらけになって難儀している人多数。
私はどちらかというと、林道よりこっちのほうが好き。
沢沿いの道を登りきったところで、カヤの平の明るく気持ちのいい樹林のトレールを走る。
ぐるっと回ってカヤの平牧場にある第3エイドに向かって林道を下る。
ここで左足首に違和感。登りはいいのだが、下りで足をつくと足首の前の奥のほうが、すこしズキッとする。
48km地点のカヤの平の第3エイド。
自前食料を持っていないので、バナナをコーラで流し込む。カントリーマーム?に個数制限なし。ありがたくいただく。
カヤの平の東側、八剣山歩道を周回。広葉樹林の素晴らしいトレール。
しかし、走れない。左足首に感じた違和感は、もはや違和感ではなく確実な痛みになっている。登りはいいが、下りは50mくらい走っては、痛みに耐えかねて立ち止まる。
ここまではいいペースで来たが、まだ半分、50km残っている。このペースで完走できるだろうか。
カヤの平の第4エイド。1つまえの第3エイドと同じ。ぐるっとまわって戻ってきた。
またバナナ&コーラ。私はバナナとコーラでできている。
コーラの飲みすぎか、お腹が緩い。左足も痛い。
カヤの平への登りが最大の難所だと思っていた。大きな間違いだった。
第4エイドから第5エイドまで、およそ10kmの林道の下り。
私は林道が苦手なうえに、今は下りでは左足首に激痛が走る。これを10kmも我慢しなければならない。
左足首をかばっているためか、右ひざも痛くなってきた。少し走っては止まり、走っては止まり、の繰り返し。他のランナーにどんどん抜かれる。
地獄の林道が終わって、沢を渡る。
渡渉があるって聞いていたけど、これかな?
違った、これだった。
沢の流れに、熱を持った左足首をひたす。ああ、気持ちいい。
再びトレール&林道を行く。
本日2度目の糖塚のエイド。72km地点の第5エイド。ハセツネだったらもう終わり。
補給は、基本的にバナナとコーラ。
残りは28km。左足首と右ひざが痛くて走れないが、時速5kmで歩き続けることはできそうだ。ゴールまであと6時間は必要...リミットには間に合いそう。
よし、行くぞ!
エイドを出ると、向かいから走ってくる人がいる、すでに84kmのケヤキの森まで行って戻ってきたランナーだ。早い!彼らはゴールまであと5km。私はあと28km。
第5エイドのケヤキの森に向けて、林道を走る。いや、歩く。他のランナーにガンガン抜かされる。
陽が沈んで暗くなってきた、走れない自分がわびしい。
立ち止まって、里の夕暮れを眺める。
ふう。
とっぷりと日が暮れたころ、84km地点のケヤキの森エイドに到着。
靴ひもを直そうと左足を見た。左足首が倍くらいに膨らんで、靴下の皺が足に食い込んでいる。う~ん、何もしなくても痛いわけだ。血行も悪そうだ。でも残りは16km、ゴールはもうすぐだ(この時、少し感覚がおかしくなっていた...)
ケヤキの森を出る。次の目標は、10km先にある3度目の糖塚エイド。
林道が続くが、登りが多いのでやや楽だ。
なんとか本日3度目の糖塚エイド到着。
たぶん、もう半分以上の人がゴールをしてしまっているのだろう、エイドの人影はまばら。
残り5km!
もう、ポールなしでは真っすぐに歩くことも難儀だが、やっとここで完走を確信。
ゴールに向けて、ゆっくりと歩き出す。
最後の急登で苦痛に顔をしかめながら、なんとか歩いてゴール。
振り返る。
完走の充実感などこれっぽっちもなく、歩いて戻れたことにただただ安堵する。
足を引きずりながら、テントに戻る。
ザックから着替えを引っ張り出し、パノラマランド木島平のお風呂へ。
脱衣所で靴下を脱ごうとしたが、左足は靴下が腫れた足に食い込んでいるのでうまく脱げない。引っ張ろうとすると激痛。
5分くらいかけてなんとか靴下を脱ぎ終わる。するとみるみる左足が腫れて膨らんできた。足首から下が倍くらいの大きさにふくらみ、くるぶしがどこにあるかわからないくらい、のっぺりパンパンになった。温めてはいけないと思って、体を洗って流して、テントに戻る。
ああ、疲れた。
痛み止めに、鎮痛剤とビールを飲んでシュラフに潜り込む。
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翌朝。土砂降りだった。昨日はほとんど雨が降らなかったので、絶妙なタイミングでラッキーだった。
でも左足パンパンは変わらない。サンダルで来てよかった。靴はもう履けない。
足を引きずりながら帰途につく。
ITRAポイントは確保したが、代償は大きかった。
(奥信濃100 完)
赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…