西穂から奥穂へ向けて~西穂高岳から奥穂高岳(2)
8/8 西穂山荘~西穂高岳~ジャンダルム~奥穂高岳~穂高岳山荘~涸沢
(前回の続き)
午前3時半。真っ暗な西穂山荘をヘッドランプの明かりを頼りに出発する。
今日は西穂高岳から奥穂高岳まで縦走し、涸沢に下りる長丁場だ。この縦走路は「最も困難な北アの一般縦走路」とも言われる。「困難」と「一般」の組み合わせに違和感があるが、大変なことは間違いない。
しばらくは広い尾根の上の道を行く。右手に上高地、左手に新穂高温泉の灯りが見える。笹原を沢音のような音を立てて吹き渡る風が冷たくて気持ちいい。今日はあまり暑くなりませんように。
西穂の独標を越えた辺りで夜が明け始める。見事な朝焼け。空は一面雲に覆われている。暑いのは嫌だが、この岩稜の縦走路で雨はもっと嫌だ。今日は天気が崩れませんように。
昇る朝日と反対側、笠ヶ岳の肩から一本のオレンジ色の光柱が伸びている。これはいったいなんでしょう?今日の成功を予見しているのかな、と勝手に解釈。
そして遠く、乗鞍岳も茜色に染まる。
独標から西穂高岳山頂までは、冬は行きたくないくらいのまじめな岩尾根で、滑ったらどこまでも落ちていきそうなところもある。しかし、岩にはしっかりルートがマーキングしてあり、これに沿って登れば登りやすい。
小屋から2時間半くらいで西穂高岳山頂到着。ここでゆっくり行動食を食べ、身支度をして奥穂高岳への縦走に備える。山頂にいる登山者はほとんど奥穂高岳を目指す。行く人が多いのに驚く。
ここから奥穂高岳を経由して穂高岳山荘までは5.7km。奥穂高岳はすぐそばに見える。普通の縦走路だったらあっという間だろう。しかし、ご覧のとおりの険しい岩尾根。岩峰のアップダウンが多く、足場も悪い。天気のことも考えれば、なんとか昼には抜けたいものだ。
振り返れば、さっきまでいた西穂高岳の山頂。狭いところに人がひしめいている。落ちるなよ~。ここまでのルートも見える。かなり急な下りだ。
鎖で下った後は、軽い岩登りで岩のピョコのてっぺんへ。奥穂から北穂の吊尾根を見渡す。だんだん雲が厚くなってきた…天気予報と違う。不安。
ピョコから急な岩場をクライムダウンした後は、間ノ岳へⅢ級程度の岩登り。岩を登りピョコに上がって、岩をクライムダウンか鎖でコルに下りる。ひたすらこの繰り返し。全体的に逆層なので、ソールが磨り減った靴を履いている私は、クライムダウンがおっかない。
このルートの見どころの一つ、天狗岳の逆層スラブ。積み木を積み重ねたような岩が、すべて滑り落ちそうな感じでこちらを向いている。傾斜も強く、こんなの登れんのか!という感じに見える。
鎖を頼りに斜面と格闘する人々。
私も鎖を頼りに畳のような逆層スラブを登りきる。一部、鎖が岩の割れ目にはまり込んで使えなかったものの、靴のフリクションが効いたので、まあまあ快適に登れた。でも岩が濡れていたらかなり緊張するでしょう…
ザックをおろし、のんびりと休憩する。
(次回に続く)
赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…