奥多摩の奥に春の雪~鳥屋戸尾根から蕎麦粒山、川苔山
3/20 川乗橋~鳥屋戸尾根~蕎麦粒山~川苔山~鳩ノ巣駅
コロナ以降、さっと行ってさっと帰ってこれる山、奥多摩にだいぶ通った。ただ、奥多摩でも、埼玉県との県境をなす長沢背稜は、奥多摩の奥で行きにくいというイメージがあり、まったく念頭になかった。
しかし、改めて地図を眺めて気づいた。蕎麦粒山なら川苔山の登山口からすぐだ。思い立ったが吉、すぐに行こう。
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朝6時前に家をでる。すでに太陽が昇っている。今日にも桜が咲きそうだ。
しかし、先週の箱根(「早春の壮大な富士のもとで」)では暑かったユニクロのジョガーパンツでは、今はちょっと寒い。
ホリデー快速は、ハイカーで座席は埋まっていた。御嶽駅で半分くらい下りて、残りの半分が終点の奥多摩駅で下りた。そしてみんなわらわらとバス停に向かう。
低気圧が通り過ぎた直後で、澄み切った快晴。空気も冷たくフリースを羽織る。
日原行のバス停に並ぶと乗務員が列をなすハイカーに、川乗林道は林道工事で通行止めなので、川乗橋から川苔山には登れません、と注意を促す。ここで、え~、と言って列を離れる人がいた。恐るべし、山に登るときには事前に調べようよ。
川乗橋でバスを下りたのは私一人。
通行止めの標識を無視して、川乗林道に入る。3分ほどで蕎麦粒山の鳥屋戸尾根の登山口。小さな道標は気を付けていないと見落としそうだ。
はじめは、奥多摩の定番、植林の中の作業道。露岩がでていて滑るところがあった。急登と緩斜面が交互に繰り返される。
少し暑くなってきたのでフリースを脱いでザックにしまう。
標高が上がるにつれ、木々の間から周囲が見えてきた。あれは今日の最後のピークとなる川苔山かな。
やがて植林から落葉樹の自然林へとかわる。そして登りはますます急になっていく。
写真ではわかりにくいが、かなりの急斜面である。まっすぐ立てず、前のめりになる。するとザラザラと足元が崩れ、ずるっと滑る。最大限アキレス腱をストレッチして乗り切った。アキレス腱が固い人は、トラロープをつかまないと登れないかもしれない。
登りきって振り返る。
この後も、ところどころ崩れやすい急登が現れる。
道標はないが東京市の標石が導いてくれる。
奥多摩の道は植林と作業道がポピュラーだが、尾根の上のほうは、こんな落葉樹や照葉樹の森の岩を縫うような道が多かったりする。鳥のさえずりも聞こえ、こういう道はなんとなく楽しいね。
うっすらと雪が出てきた。低気圧が通過したばかりなので、上のほうはどうなっているか気にかかる。
樹林の中の笙ノ岩山の山頂。ここで急な登りは終わり。
川苔山がよく見える。
やっば~、本格的に雪が出てきた。奥多摩の春の雪。先週の箱根とは大違い。
凍ってないので、昨日降り積もったのだろう。こんなこともあろうかと、ゴアのトレランシューズを履いて、スパッツも持ってきた。でも吹き溜まりはくるぶし以上に積もっていて、トレランシューズにはちょっときつい。雪の少ないところを選びながら、慎重に進む。
長沢背稜のトラバースルートとの合流点。蕎麦粒山の山頂はもうすぐだが、風が強くなってきたので、主稜線に出る前に休憩。
遠くに見える雲取山は、半分雲の中。日も陰り風が冷たい。木の枝に積もった雪がばらばらと落ちてくる。
おにぎりを食べて、帽子と手袋を厚手のものに替えて出発。
ひと登りで、蕎麦粒山の山頂。先客はひとり。
不思議なことに、山頂は無風。そして暖かい。
山頂から御岳山方面の眺め。幾重にも重なる山並みが、奥多摩の奥を実感させる。
時計を見ると、予定より10分遅れている。雪のせいだ。休憩したばかりなので、写真を撮ってすぐ出発。
蕎麦粒山から日向沢ノ峰へは、広い尾根道。雪も少なく走りやすい。
今日の天気予報は晴れ。でもこれはどう見ても晴れではない、今にも雪が降りだしそうな怪しい空模様だ。
日向沢ノ峰の分岐。右が川苔山。
こんな天気でも、ぼちぼち川苔山方面から人が登ってくる。私は、ここで長沢背稜を離れ後半戦の川苔山方面へ。
分岐からすぐ、眺めが素晴らしい岩のぴょこがある。これが日向沢ノ峰。目の前には石尾根、そしてその奥にはハセツネの山々。今年こそは走りたいものだ。
よく手入れされた道を目の前の川苔山に向けて走る。なんか、こんもりとして、立木の生える川苔山への尾根が、灰色の猫の背中のように見えてきた。
ここでついに小雪が舞う。ザックからウインドブレーカーを取り出す。ついでにブラックサンダーも取り出す。
日向沢ノ峰から川苔山への道はよく整備されているが、枝道は通行止めが多い。ここに来る人は事前の確認が必要。
来し方を振り返る。蕎麦粒山、日向沢ノ峰、、、あまりパッとしないな。
本日最後のピーク、川苔山に到着。こんな天気で、川乗林道も使えないのに人が多い。
せっかくなので、最後のおにぎりを食べる。
雪もやみ、気温も上がっているので、ウインドブレーカーを脱ぎ、手袋と帽子も薄手のものに替える。
あとはひたすら鳩ノ巣駅に向けて駆け下るだけ。
下りはまるで公園の遊歩道のような、走りやすい道。でも人が多いので、声をかけながら慎重に下る。
前回、転んで血だらけになった場所(「落ち葉積もる花折戸尾根、鋸尾根」)を無事に通過し、大根ノ山ノ神。今日もありがとうございました。
もうすぐ鳩ノ巣駅。ここで分岐。いつもは直進してダイレクトに鳩ノ巣駅に向かうが、今日は行ったことのない右の熊野神社へ下山してみる。
少々枝がうるさい、石がごろごろする急斜面を下る。
熊野神社の裏にでる。
どっちのルートでも時間はあまり変わらないと思うが、こちらのルートはちょっと歩きにくかった。
春爛漫。ついさっきまで、雪に難儀していたのがうそのようだ。
鳩ノ巣駅に下りたら、はとのす荘で温泉に入るのが最近の定番。渓谷の沢音を聞きながらのんびりと湯につかる。
そして、列車の時刻まで、鳩ノ巣駅前のさんらくでジョッキを傾けるのも定番。
おかみさんに、川苔山に行ってきたの?と尋ねられたので、蕎麦粒山と答えると、知らないとのことだった。地元の方も知らない奥多摩の奥の山。
参考:
川乗橋8:51-10:17笙ノ岩山10:22-11:19トラバースルート合流点11:27-11:33蕎麦粒山11:37-12:56川苔山13:00-13:57熊野神社
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(鳥屋戸尾根から蕎麦粒山・完)
今回のコース
赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…