第75回富士登山競争・五合目コース参戦
7/29 富士吉田市役所~馬返し~富士山五合目
第1回大会が昭和23年、富士吉田市役所から富士山山頂へのスピードを競う。歴史においても、過酷さにおいても、日本有数のランニングレース、富士登山競争(公式サイト)。
富士山山頂へのレースの予選ともいえる、五合目までのレースに参戦する。
とにかくエントリーが難しく、コロナの影響もあり、挑戦してから5年目にしてやっと走ることができる。
3回の試走をしたことは、以前書いた通り。
五年越しの...~富士登山競争試走
心拍数は140で~富士登山競争試走・2回目
レース直前、最後の試走~富士登山競争試走・3回目
3回の試走からレースプランを立てた。目標は、山頂コースでの五合目リミットと同じ2時間10分。このタイムであれば、来年の山頂コースの参加資格がもらえるだろう。
スタートから、
東富士五湖道路 30分
馬返し 1時間18分
五合目 2時間10分
で走ればよい。たぶんそんなに難しくはない。ロードが苦手なので、ロードがちょっと遅め、馬返しのトレールからちょっと頑張る、という時間配分になっている。
今年の山頂コースの参加資格が五合目2時間20分なので、どんなに遅くても2時間20分より前にゴールしなくてはならない。
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前日の夕方に現地入り。市役所でコロナチェックリストなど提示して受け付け。
いかにもランナーっぽい脚をした人が、そこらじゅうにうろうろしている。
歴代の優勝者のタイムが刻まれている。山頂への最速タイムは2時間27分。信じられん...普通の登山者なら1泊2日以上かかるのに。
市役所の向かいの台湾料理屋で夕食をとって、都留駅近くの宿に向かう(遠い...)。
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レース当日、窓を開けると快晴。
快晴はいいけど、朝からすでに気温が30度近い。
月江寺駅からまっすぐな道を、スタートの富士吉田市役所を目指して歩く。
スタート1時間前に会場に着いたが、すでに人でいっぱい。みんな日陰に集まっている。
ここで荷物の整理。持っていくものは、スマホ、財布、ジェル、カップ。5合目に送る小さな荷物と、下山後に着替えることができる、道の駅「富士吉田」に送る荷物を分けて預ける。
スタート前に気温が30度を超えた。念のため水を多めに飲んでおく。
スタート40分前くらいに、ゼッケン番号ごとにスタート位置に並ぶ。市長さんの挨拶や、選手宣誓を聞くが、とにかく暑い。
どこからともなく、聞き覚えのある音楽が微かに聞こえてくる。パスコのFreelyだ。公共の場でパスコを聞いたのは初めてだ...武道館ライブをやったから有名になったのかな。それはいいとして、音楽を聴きながら走る人がいるのだろうか。
耳をそばだてて音楽を聴いているうちに、スタートの時間。
号砲とともにゆっくりと列が前に動き出す。
スタートラインのマットを踏んで走り出す。最初はランナーが団子状態で、よけながら走らなければいけない。それも緩い登り坂を。抑え気味に走ろうと思うが、どうしても心拍数が上がっていく。
日差しをもろに受けながら、集団の中を抜きつ抜かれつ、北口本宮富士浅間神社へ。
神社に沿った道に入ると、並木に日差しが遮られ、人もばらけ、だいぶ走りやすくなる。試走では心拍数140で走ったが、今日はロードは150まで上げる。淡々と富士山目指してまっすぐ走るのみ。
時々、叫び声をあげるランナーや、よろけて蛇行して走るランナーを追い抜く。暑さでやられているのか?
東富士五湖道路通過、予定より20秒ビハインド。スタートの渋滞に巻き込まれた割にはいいペース。
中の茶屋のエイドでは、ペットボトルの水を頭からかぶる。暑い。間違いなく気温は30度以上。
最初の試走でつらかった、馬返し手前の登り坂がきつい。歩いているランナーが多い。できるだけ走ろうと思ったが、心拍数が160を超えたので、落ち着くまで少し歩いた。やっぱりここは地獄だ。
馬返し到着、予定より30秒貯金ができた。まずまず。
馬返しのエイドで再び水をかぶり、持ってきた秘密兵器のジェルを補給。糖質の力をかりて、登り坂は無酸素運動も交えてスピードアップだ。
ここからトレールの登り、俺の時代だ!と思ったが、トレールに入るなり、皆さん普通に歩いている。渋滞だ。
「おいおい、ここでのんびりしていたら、2時間20分に間に合わないよ、みんな、来年山頂に行きたくないのかい!?」と心の中で叫ぶ。
山頂コースの制限時間をあきらめている人々の集団に入ってしまったようだ。しまったな~。このペースだと絶対間に合わない。
想定外の地獄に突入。渋滞の最後尾につき、ちょっと広くなっているところで、坂道ダッシュして5、6人追い越す。それを繰り返して渋滞を抜け、次の渋滞の最後尾に着く。そしてまた、坂道ダッシュの繰り返し。
地獄のインターバル。足はつりそうだし、息も詰まりそうだ。
その地獄加減は、下のペースの記録からもわかる。10kmをすぎてトレールに入り、傾斜が大きくなるにつれてペースは落ちていく。しかし、ところどころ突発的なパルスのようにペースが上がっているところがある。これが坂道ダッシュだ。心拍数は130になったり170になったりしている。
不動小屋跡あたりまできて、時計を見ると、ちょっとやばい感じだった。このままじゃ間に合わないかもしれない。相変わらず目の前には渋滞が。「おいおまえら、ここでラストスパートすれば、来年山頂に行けるぞ、走れ!!」と叫ぶ。心の中で。
幸いなことに、不動小屋を過ぎると道が広くなる。一人でラストスパートをかけて、渋滞をごぼう抜きにしていく。苦しい、心臓が口から出そう。上のグラフでもゴール直前でペースが上がっている。
苦しくてしかたないが、心の中で「走れ走れ」と繰り返し走り続ける。
そして、ゴール。
時計を見るとぎりぎり2時間20分前だった。危なかった。
万歳をして笑顔でゴールしたつもりだったが、あとから写真を見たら、まるで、餓えた熊が、前のランナーに両手を挙げて襲い掛かろうとしているような感じに写っていた...
いつものごとく、他のランナーのゴールシーンを撮る。
余裕の表情でゴールする人が多い。餓えた熊みたいになるまで頑張れば、山頂コースのタイムをクリアできたのに。
バスの待つスバルライン五合目まで歩く。途中、道端にずらりと並べられた五合目行きの荷物から、自分のものをピックアップ。
タオルで汗を拭く。寒い。中の茶屋や馬返しのエイドで、暑くてジャバジャバ水をかぶったが、五合目は気温が低く、濡れたシャツやパンツが冷たい。
頂上から下りてきた人に聞いたところでは、頂上はガスの中で、じっとしていられないほど寒かったそうだ。
スバルライン五合目は登山者とランナーで大賑わい。
ここから送迎バスで、荷物が送られている道の駅「富士吉田」に向かう。
道の駅「富士吉田」で荷物をピックアップ。すぐに、河口湖駅行きの送迎バスに乗る。
山を下りるとやっぱり暑くて、濡れたパンツもすぐ乾く。
河口湖駅から無料巡回バスでふじやま温泉へ。ふじやま温泉は、広くていいが、ちょっとお高くて、食事もいまいち。でも、すぐ高速バスに乗って東京に直行できるのがポイント高し。
汗を流して、ジョッキを傾け、ほろ酔い気分で外に出る。
富士山の山頂は雲の中。来年はあそこまで走るぞ!
今回のコース
赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…