血まみれで逃げ惑う~上州武尊山(1)
7/3 オグナほたかスキー場~前武尊~武尊山~剣ヶ峰山~宝川入口
日光や谷川の山に登ると、いつも見える武尊山。人里に近い山でありながら、公共交通機関でのアプローチが悪いため、行ったことがなかった。早々に梅雨も明けたということで(後ほど撤回)、思い切って行ってみることにした。
とは言え、電車、バスでは東京からの日帰りは困難。入山日の前日に麓の花咲のペンションで一泊。
早朝5時に、登山口のオグナほたかスキー場まで車で送ってもらう。
ここ数日、関東では最高気温が35度に達する猛暑が続いているが、今のところは涼しい。天気は晴れ、しかし、午後から雷雨の予報なので、朝食のおにぎりを頬張りながら早々に出発。
はじめは、ゲレンデのなかの道を行く。道がなくなれば、リフトの終点をつなぐように踏み跡に沿ってゲレンデ脇を登ってゆく。
おにぎりを食べ食べしながら気づいた。小さい羽虫が頭のまわりを飛び回っている。
もしや...短パンをはいた足を見ると、その虫が数匹とまっている。手で払っても逃げず、無抵抗に潰される。
うぎゃ~、ブヨだ!!!ブユともいうぞ!!!
足のまわりや、首の後ろのあたりに、数えきれないほどブヨが雲のように、ワンワン飛んでついて来くる。立ち止まればたちまち、足や首にたかられる。
あわててザックを下ろして、小物入れをあさって虫よけを探す。
ない、ない、忘れた!
もうできることは1つしかない。刺されないように、立ち止まらずに動き続けることだ。
ひたすら動き続けるが、それでもとまって刺してくる。いや、正確には、ブヨは刺すのではなく、皮膚を噛み切るのだ。噛み切られたところから血がにじむ。パシパシ払っているうちに、どんどん足が血まみれになっていく。
帽子と頭の隙間から潜り込み、髪の毛の中でブンブンいっている奴もいる。バシッ。
やばいな、かゆくなってきた、もう腫れてきた。
大学1年生の夏合宿の悪夢がよみがえる。藪を漕いでいて、腕を5、6ヵ所刺されただけで、腕全体が腕時計ができないほど、ハムのように腫れあがった。さらに悪いことに、その痛痒い状態が1週間以上続いた。
ゲレンデから前武尊への稜線に出た。ブヨは稜線にはいないことが多い。期待していたが、見事に裏切られた。相変わらずブヨだらけ。息を切らしながら速足で歩き続ける。
尾瀬や日光の山々がよく見え、、、ギャー!
ちょっと立ち止まるだけで、黒山のブヨだかり。
スキー場から前武尊までは、刈り払いが入ったばかりとのことで歩きやすい。
前方に第一登山者発見。急ぎ足なため、あっという間に抜き去る。
前武尊の山頂に到着。ヤマトタケルが迎えてくれる。
急いで登ってきたので、さすがに疲れた。水も飲みたい。動きを止めると奴らにたかられるのでで、常に手足を動かしながらザックを下ろす。パペットマン1号のふしぎなおどりみたいだ。
踊っているところに、先ほど追い抜いた第一登山者がやってきた。
踊っている私を見て、これ使いますか?と何かを差し出した。ミントオイルだ!おお、地獄に仏とはこのことか!
ミントオイルを手足、首、顔に塗ると(目がちょっと痛い)たちまち奴らは退散した。すばらしい。一息も二息もついた。踊るのをやめた。
落ち着いたので、第一登山者の好青年と話をする。雪山に行ってみたいけれど、初心者向きのやさしいところはどこか?とたずねられた。自分の経験から、3月の北横岳をすすめた。
好青年に別れを告げ、先を急ぐ。今日のゴールの宝川温泉はまだ遠い。雷雨に会わないように、できるだけ午前中に下りてしまいたい。
目の前には、怪しい形をした岩山。川場剣ヶ峰。道はあれをトラバースしているはずだ。
尾根は灌木に覆われているが、細い尾根でもあり、ところどころ展望がある。これは川場スキー場方向。幾筋も飛行機雲がある。確実に天気は崩れそうだ。
川場剣ヶ峰のトラバース。岩壁のバンドにしっかりした道がついているが、ところどころ笹がかぶっているところもあり、濡れているときは注意。
川場剣ヶ峰は、巻かないで直登するルートもあるとのことだった。でもロープで入らないようにされていた。上のほうに錆びた鎖が見える。
こんな感じの細い稜線が続く。正面ぴょこがおそらく家ノ串山。
武尊山が見えてきた。
太陽が高くなり、日差しが強くなってきたが、稜線を吹き抜ける風のおかげで暑さを感じない。
しかし、なんとなく、ミントのスースー感が薄れてきたような...
思ったより花が少ないが、でもぼちぼち咲いている。
ナナカマドも咲き始め。
写真を撮るために立ち止まると、勇気ある、あるいは鈍感なブヨがアタックを開始している。やばい、もうミント効果は終了か。落ちていた木の枝を拾い、振り回しながら走り始める。
虫払いの枝を捨てる。今回のルートで唯一手を使った。細い縦走路に露岩が出ていて、右側に垂直に落ちている。フットホールドは豊富にあるが、もし落ちれば、自力で登り返せないかもしれない。
花。名前はしらない。
ほたか牧場からの道と合流する中ノ岳分岐。オグナほたかスキー場からの登山者は少なく、ほたか牧場から登るのがメジャーらしい。
悲報。この時点で、ミント効果は完全に失われる。
また、ブヨから逃げるため全力で走り始める。
笹清水の水場。湿っているが水はでていない。
武尊山の山頂は近い。
鳥が盛んに鳴いている。ちゅんちゅん、ちっち。なんだろう?ウグイスやカッコウの声もよく聞こえる。
(次回に続く)
今回のコース
赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…