インカ帝国創造の地、Isla de Sol~南米4ヶ国の旅(24)
9/7 ラパス~ティティカカ湖~コパカバーナ、月の島、太陽の島~ラパス
(前回の続き)
最初の寄港地、月の島が近づいてきた。
ティティカカ湖に浮かぶ太陽の島、月の島はかつて南米に栄えたインカ帝国の創造神話の地だ。
小さな桟橋から島に上陸。浜にはみやげ物や飲み物などを売る小さな屋台が2つあるだけ。ほかに観光客おらず、ひっそりとしている。まるで南国のプライベートビーチ。でもここは標高3800mの湖。
月の島にはインカの王に仕える女性が住み、織物などを作っていたそうだ。その頃の(と言われる)石組みの遺跡が残っている。遺跡の向こうに見える段々畑もインカ時代から続くものだそうだ。
月の島は小さく、船着場から5分も登れば島の向こう側にでてしまう。島の斜面には肉料理に使われるしそ科のハーブの小さな花が花盛りだった。
羊だけでなく豚まで放し飼い。
ティティカカ湖のイメージは葦舟や葦の浮島だったのだが、ボリビア側は意外に葦が少ない。最近では葦舟の職人も減り、ペルー側の葦の浮島も観光客向けの観光地になってしまったそうだ。
湖岸で洗濯をする子供達に手を振り、月の島を後にする。
次はいよいよインカの王様と神話の島、”Isla de Sol”、太陽の島だ。月の島と違い、観光船がたくさん接岸し、浜辺でだらだらする観光客で賑わっている。ホテルやレストランが何軒かあり、完全に観光地と化している。
島の中央に長い石段が延び、インカの王が水を汲んだという聖なる泉、若返りの泉へと続いている。不思議なことに森もない島の中腹から水が湧き出している。島の背後にそびえるアンデス山脈の地下水の水圧によるものだという。
泉は3つ並んでいて、清水寺の3本の滝水のようにそれぞれ意味がある。が、一番左が涸れてしまって、ご利益が失われている。
インカ帝国の創造神話は何パターンかあるらしいが、その1つがここ、太陽の島にある。太陽の神が人間に文化を授けるために双子を使わした。その双子は湖から現れたとも、空を飛んできたとも言われる(この絵は空を飛んできたことになっている)。そして、2人は地下の道を通りクスコにたどり着き、そこにインカ帝国の都をつくった。だからこの太陽の島とクスコは地下道でつながっている…と伝えられている。
ティティカカ湖周辺にはインカ帝国より古い、ティワナクの遺跡が散在し、それが神話のもとになっているのかもしれない。
港から昼食をとるレストランへ船で移動。巨大葦舟と遭遇する。一生懸命漕いでいるが、もちろんエンジンがついている…。ここでなぜか日本コール。ありがとう、中国人と間違えられなくてうれしいよ!
昼食。なにはともあれ、まずビール。陽射しがジリジリと肌を焼くように暑いからね。
さて、湖を見ながらランチ。素朴な地の料理。野菜は茹でただけ、魚は揚げただけ。ソースをつけて食べる。生姜みたいな見栄えのさつまいもは、茹でただけなのに焼き芋のようにあまい。巨大とうもろこしはもちもち。ジャガイモは味が濃くてホクホク。なんだかとってもヘルシー。
レストランの横に王が神事を行った神殿がある。石組みの建物の中が、迷路のようになっていて小さな部屋がいくつもある。窓からは真っ青なティティカカ湖と白いアンデスの高峰。ただ遺跡にはなんの看板もなく、保存されているだか放置されているんだかわからない。
ガイドさんがボリビアの花と言っていた。色が国旗と同じだから。
夕方4時を過ぎると日が傾き、風が冷たくなってきた。ボートの船内に入り、エンジン音を聞きながらウトウトしている間に、出発したコパカバーナに戻ってきた。ガイドさんが屋台でポップコーンを買って来てくれた。巨大とうもろこしのポップコーンなので、ポップコーンも親指くらいの大きさ。そして、このビニール袋につめられたポップコーンを満載したトラックが走っている。ボリビア人はこのポップコーンが大好きで、ここで作ってラパスまで運ばれているそうだ。なんか不経済。
夕日にきらめく湖にコパカバーナのシルエット、オレンジがかった西の空には細い月。マリア様の葦舟のようだ。山肌からモクモクと煙が上がっている。焼畑?と聞いたら、子供のいたずらでしょ、だって。
再びチュアの渡し舟に乗る。夕方になって風が出てきて船が揺れるので、来たときよりもさらに怖い。
ティティカカ湖からラパスまでノンストップで突っ走る。夜道で車を止め外で用を足そうとしたときに、拳銃を突きつけられて車をとられることがよくあるそうだ。
ラパスを見下ろすエル・ミラドールまで来て、やっと車をとめる。ここからのラパスの夜景はとてもすばらしい。さっさと写真を撮って車に戻る。
ホテルの前にあるペーニャ(民族の踊り)のショーが見られるレストラン、
“Huari”をガイドさんが予約してくれた。昨日は営業日のはずなのに閉まっていた。どうも予約のない日は休みになってしまうことがあるようだ。
生演奏に合わせてボリビア各地の踊りが次々と披露される。時々、ステージに上がって(上げられて)一緒に踊る(踊らされる)。これは昨日観光したオルーロのカーニバルの踊り。真ん中で踊っている目玉の飛び出た奴が、地中に閉じ込められた悪魔、鉱山の神様だ。
お客さんは4組くらいしかいないが、けっこう盛り上がっている。
ダンスを見ながら食事。今日は牛肉。ここの料理はまあまあ。値段は日本なみで、ボリビア庶民にはなかなか手がでなさそう。
参考
- ホテル
- Hotel Sagarnaga : サガルナガ通りにある中級ホテル。サンタ・クルス通りにも近く便利。WIFIあり、つながりやすい。目の前が”Huari”。
- ティティカカ湖ツアー
- ボリビア・ジャパン・ツアーズ:ボリビア国内のプライベートツアーを扱う旅行会社。希望を伝えてアレンジしてもらった。日本語が通じるので間違いがない。いろいろ親身に相談にのってもらえる。
(次回に続く)
赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…