不思議の森、石門トレッキング~小笠原諸島の旅(4)
5/1 母島・石門
(前回の続き)
さて、やっと今日から小笠原を楽しむことができる。まずは、小笠原屈指の豊かな森、石門のトレッキングだ。
これらの商店で生活に必要なものは、食料から酒からCD-Rまでだいたい手に入る。
森に不要なものを残さないように、ここで携帯トイレを受け取る。使わなければツアー後に返却し、もし使ったら500円払う。
小笠原諸島はその出現から今日まで、一度も大陸と陸続きになったことのない典型的な海洋島だ。そのため、多くの生物は島独自の進化を遂げた固有種で、小笠原諸島、あるいは母島でしか見られないものが多い。それで小笠原諸島が「東洋のガラパゴス」と呼ばれるのだ。
しかし、人間の活動に伴って多くの生物が島外から島に持ち込まれ、島の固有種の生存を脅かしている。外来種のニューギニアヤリガタリクウズムシにより父島の固有種のカタツムリはほぼ絶滅した。このパネルはニューギニアヤリガタリクウズムシの母島への侵入阻止を呼びかけている。
集落から車で数分で石門の入り口に到着。石門は石門山を中心とした深い森林(ジャングル)に覆われた場所で、多くの固有種が生息し母島の原始の森の姿を残している。そのため、ガイドの同伴が義務付けられ、1人のガイドが案内できるのは5人まで、1日の入山者は50人までと、厳しい入山制限が設けられている。
早川さんから説明を受け、靴の底をきれいにして山に入る。大きく枝を広げた広葉樹の林。実はこの木々はすべて「アカギ」と呼ばれる外来種だ。芽吹いた種子が緑の絨毯になるほどの種を撒き散らし、切り倒しても枯れることがない、おまけに、自らは毒を出して他の木々を寄せ付けない。その驚異的な生命力で母島本来の木々を締め出しているため、駆除の対象となっている。
アカギの森を作業道に沿って尾根に上がる。そこには隙間なくシダに覆われた場所があった。ここはかつては人が住んでいて畑があったらしい。太平洋戦争によりここに住んでいた人は本土に疎開を余儀なくされ、この場所はシダの天国になった。
標高が上がるにつれアカギは減り、母島本来の森が姿を現す。巨大なシダが葉を広げ、そのシダの幹にはまた別のシダが根を下ろす。今日は曇りで雨は降っていないが、木々の葉はまるで雨の直後のようにびっしょりと濡れている。この湿度の高い巨木が茂る「湿性高木林」が母島の森の特徴だ。あ~、猛烈に蒸し暑い。
この見上げるほど大きいシダは「マルハチ」と呼ばれ、小笠原の固有種だ。
椰子と言えば、海岸に並んで生えているもの…と思いきや、小笠原の「ノヤシ」は森の中にすくっと一本立っている。これも小笠原の固有種。
谷間にはマルハチが群生する。まるでジュラシックパークの世界。
何の変哲もない木と思いきや、幹にゴツゴツとしたこぶがついている。「シマホルトノキ」。別名「こぶの木」。もちろん固有種。このこぶはこの木に特有の病気によるもの。こぶの木は次々と枯れてしまって、立派なこぶを持った木はほとんどなくなってしまったとのことだ。
突然、森が切れて大崩湾の端の、崩落した崖っぷちに出た。時々霧が晴れて海に日が当たる。普通のサンゴ礁の海とは違う不思議な色だ。
(次回に続く)
赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…