晩秋の北八ヶ岳~麦草峠から蓼科山(1)
10/31 麦草峠~縞枯山~北横岳~双子山~蓼科山~蓼科温泉
先週の甲武信岳山頂での思い(「奥秩父の雄、甲武信ヶ岳~柳沢峠から甲武信岳(3)」)のままに、八ヶ岳の未踏の稜線を歩く(走る)ことにした。
八ヶ岳は谷川岳とならんで、四季を問わず何回行ったか分からない。しかし、主稜線では北八ヶ岳の大岳と、蓼科山が未踏だ。さらに、麦草峠以北は積雪期にしか行ったことがない。
そこで、両者ひっくるめ、晩秋の麦草峠から蓼科山を縦走する。
出発は、金曜日の夜、昨年よく使った夜行バス、毎日アルペン号。コロナにもかかわらず、八ヶ岳行は満席。マスク着用、検温、飲食禁止、会話禁止とはあるものの、理研のシミュレーション結果なんかを考えると、感染対策はちょっと心もとない。でも来ちゃったものはしょうがない、さっさと乗ってさっさと寝る。後ろでずっとしゃべっているお姉さん達も早く寝ましょう...
途中、観音平や美濃戸口で人を下ろしつつ、終点の麦草峠には予定より少し早い6時前に到着。
バスを下りる。首筋に氷をあてられたように、震えが走る。寒い、空気が冷たい。慌ててフリースを着て、帽子をかぶり手袋をする。さすが、晩秋の北八は寒いぞ。
朝食代わりのエナジーゼリーを飲んですぐさま出発。
国道299号線を渡って、登山開始。
これが茶水池だろうか。凍っとるよ。
道標に導かれて、針葉樹林の中の道を登り始める。
自分の足音、遠くから響いてくる熊鈴の音、聞こえるのはそれだけ。
一瞬、樹林を抜ける。中小場だ。
南側の景色が素晴らしい。空は、夜の青から明け方の紅のグラデーション。これを「しののめ」と言うのだろうか。山も空の色に染まっている。
右から仙丈岳、甲斐駒ヶ岳、北岳。中央高速からは勝手ばらばらに見える山も、ここからは3兄弟のように見える。
再び樹林に入り、茶臼山を目指して一直線に登る。
北横岳から天狗岳への縦走は、私が生まれて初めてリーダーをやった雪山だ。はるか昔のことだが、よく覚えている。踏まれてカチカチに凍ったトレースを、ピークまで登っちゃー、下り、次のピークへ登っちゃー、下りを繰り返した。
縦走路から少し外れたところに茶臼山の山頂がある。展望は良いが、風が強く冷たい。
標高が上がってきたので赤岳と阿弥陀岳も見えてきた。
今日は空気が澄みわたっていて、遠くの山まではっきり見える。かなたに見える北アは真っ白だ。
そしてもちろん、今日の目的地の蓼科山、蓼科温泉も見える。遠いな...。
茶臼山から下り、縞枯山の登りにさしかかる。木々はみんな立ち枯れている。縞枯山は、麓から見ると、山を覆う針葉樹林が縞のように枯れている。だから縞枯山。
ここは、その枯れているゾーンなのだろう。
振り返ると、そこにはさっきまで歩いていた、こんもりとした茶臼山。今日は、こうやってこんもりしたピークを1つ1つ越えていくのだ。
あっ、雪だ。雪が残っている。
この先、三ッ岳の岩稜帯を通過する予定だ。雪+岩+トレランシューズは、命に係わる最悪の組合せ。雪が融けていることを祈るのみ。
樹林の中の縞枯山山頂。
雨池峠への樹林の中の真っすぐな下り。何度も言いますが、今日はこの登り下りの繰り返し。
雨池峠。日が高くなり、陽射しが暖かくなってきた。ちょっと休憩。おにぎりタイム。
そしてまた登り。雨池山への登りはかなり急。でも距離が短いので大したことはない。
雨池山からちょっと下ってから登り返すと、樹林を抜けて三ッ岳1峰。ここから雰囲気ががらりと変わり、荒々しい岩稜の縦走路となる。前回来た時は3月末で、積もった雪が一度融けてまた凍り、岩稜全体が氷でコーティングされているような状態だった。アイゼンの前爪を駆使しながら氷に足場を穿って、かつ、雪で隠れた岩と岩の間の隙間に落ちないように、だいぶ気を使って歩いた記憶がある。
眼下に見えるのが雨池だね。
遠くから見て岩が白く見えたのが気になっていたのだが...。ギャー、霧氷がついている。
日陰の木や岩が、白いカビのような霧氷に覆われている。踏むと雨の木道のように、いや、ヌル苔に覆われた滑滝のように容赦なく滑る。こんなこともあろうかと、グリップの一番強いトレランシューズを履いてきたが、それでも滑る。
この先が怖いな~。
びっちりですな。
結構立っている鎖場。
幸いにして日なたには、霧氷も雪もない。
たぶんここは三ッ岳2峰。三ッ岳の縦走路は、溶岩がゴロゴロした岩稜が続く。岩と言うより、トムラウシ山や野口五郎岳のように、大きな火山礫が無秩序に転がり積もっている状態なので、岩と岩との間に真っ暗な隙間が空いている。そこに足を取られたり、落ちたりしないように注意しなければならない。
(次回に続く)
赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…