奥秩父へ至る長大な稜線~柳沢峠から甲武信ヶ岳(1)

10/24 柳沢峠~倉掛山~笠取小屋

国土地理院20万分の1地形図「甲府」を広げてみる。なければ、山と高原地図「大菩薩嶺」でもいい。
中央本線の初狩駅、あるいは笹子駅、そのすぐ北に滝子山が頭をもたげ、そこから黒岳、そして標高2057mの大菩薩嶺へと、小金沢連嶺とよばれる稜線が真っすぐ北続いている。稜線はその先の柳沢峠で一旦標高を落とすが、さらに北に延び、倉掛山を経て奥秩父の笠取山に合流する。その距離およそ30km、雲取山から小川山までの奥秩父の主稜線にも負けない長大な稜線である。

小金沢連嶺は以前歩いた(「紅葉のち倒木~大菩薩峠・小金沢連嶺(1)」)。その時、柳沢峠から笠取山に至る稜線を歩いてみたいと思った。

***

5時半に家を出る。天気予報では、天気は回復し晴れの一日。でも外に出ると曇り。
すぐに晴れるだろうと気にかけず、列車に乗る。

201024 塩山駅

塩山駅で、わらわらと群衆がホームに下りる。やばいと思ったが、出口の階段ははるか向こう。群集の波に乗ってバスターミナルに向かうと、すでにそこには行列が。

柳沢峠行のバスが10分遅れてやってきた。なんとかギュウギュウ押し込められて乗ることができた。コロナも何もあったもんじゃない。
それでも、十数人が乗り切れず、次のバスを待つようにアナウンスが。一時間後だぞ、、、無常だな。

途中の大菩薩峠登山口で半分下りる。そして、ここからバスは蛇行し、ループを描く青梅街道をうんうんうなりながら登ってゆく。だんだん木々が色づいていく。

201024 柳沢峠柳沢ノ頭登山口

終点の柳沢峠で下車。駐車場の裏に、柳沢ノ頭、三窪高原に向かう登山口がある。昔、ドライブで来たことがあるのだが、ぜんぜん記憶にない。

201024 柳沢ノ頭への道

サクサクと歩く。途中で1人抜かしたが、それ以外は人影はない。
静かだ...。あれ?ん?そう言えば...。ここで熊鈴を忘れてきたことに気づいた。ちょっと怖いな。

201024 柳沢ノ頭

ひと登りして少し汗をかいたが、涼しい風がすぐに体を冷やしてくれる。
柳沢ノ頭は開けていて展望がよさそうだ。でも、灰色のガスに覆われ、何も見えない。

201024 三窪高原へ

緩やかなアップダウンが続く快適な道を、サクサクと走り抜ける。

201024 ハンゼノ頭手前峠

こんなところです。

201024 ハンゼノ頭

ハンゼノ頭。ここも展望が良い。たぶん。天気が良ければ。
...いつになったら晴れるのだ!

201024 三窪高原

三窪高原。ここはツツジの名所で公園のようになっている。
今は枯れ木の公園。

201024 電波塔

登山道からいったん林道に出る。林道に沿って電波塔に。
登山道はどこだ?
左側に踏み跡があり、そこに道標があった。山の中より、人工物の周りのほうがルートが分かりにくいことが往々にしてある。

よく整備された道を、黙々と走る。

201024 藤谷ノ頭から雲取方面

樹林が切れて雲取山方面が見えた。雲が切れて晴れ間が出てきたぞ。

201024 坂橋峠太陽電池パネル

突然目の前がひらける。なっ、なんじゃこりゃ~。
太陽電池パネルです。

ここは、かつて「深静峡」というリゾート施設だったらしい。バブルの崩壊とともに放棄され廃墟となったが、太陽光発電所としてよみがえった。

201024 板橋峠先

深静峡を超え、板橋峠から再び登山道に入る。
陽が射してきて、紅葉が輝く。計算通り紅葉の最盛期のようだ。低山は秋がベストだな。

201024 山梨側の展望

山梨側も雲が切れ、山々が見えてきた。
この登山道は防火帯に沿ってつけられているので、すこぶる展望がよく、トレイルもデコボコが少なくて走りやすい。

201024 登りはきつい

ただし!防火帯は尾根に忠実につけられている。
尾根の細かいアップダウンを忠実にたどるので登ったり下りたりが続く。そして、どんな急な斜面も直登してゆく。スキー場の上級者ゲレンデを登るかのようだ。

201024 振り返ると電波塔

振り返ると、一瞬ルートを失った電波塔があんなに遠くに見える。

201024 雲取山から奥秩父

雲取山から飛龍山、奥秩父への山々。
あそこのトレールは、整備されている。でも、こけたら死んでしまうかもしれないから、走れないんだよな~(「奥秩父へ足をのばす~雲取山から飛龍山」)。

201024 樺の古木と紅葉

いいね~、生きてるね~。
気持ちいい山だ。天気も良くなってきたし。来てよかった。

201024 倉掛山から奥秩父の山々

倉掛山の手前のピョコを登りきると、これから行く奥秩父の山々が広がる。
大きいな~。

201024 倉掛山

倉掛山。
ピークと言うよりも見晴らしのいい尾根のちょっと高くなったところ。展望がいいうえに紅葉もいい。
山頂では、老夫婦が敷物をしいて、景色をみながらおにぎりを食べていた。
私も、ちょっと離れたところでザックを下ろして休憩。おにぎりを食べる。耳を澄ませると微かに車の音がする。東京近郊でこんなに静かな山も珍しい。

日射しが強くなり暑くなってきたので、上着を脱いでTシャツ姿で出発。白沢峠までひたすら下り。

201024 白沢峠

何か見えてきた...。
荷台から木が生えた、朽ち果てたトラックだった。
シュールな光景。ここはジブリか?いや、白沢峠だ。

真っすぐ行けそうな気もするが、道標は右の林道へ行けという。
藪をトレランシューズで行くのはいやなので、素直に従う。

サクサクと林道を走る。林道なので当然走りやすいが、倒木があったり流水でえぐれたりしていて、とても車は走れなさそうだ。

201024 斉木峠

急ぐのがもったいなくなったので、ザクザクと森の中に入ってしばし休憩。
森を抜けるそよ風が気持ちいい。そよ風が、木に残っている木の葉を揺らす音、それしか聞こえない。

201024 青空と紅葉

はあ~、癒される。

201024 鳥小屋分岐点

ゲート。この自転車の人はいずこへ?
ここから林道は車が通れるようになる。

201024 ヤブ沢峠

ヤブ沢峠。カモシカがたたずんでいたが、私の足音を聞いて、電光石火で逃げた。写真くらい撮らせてくれよ。
2時を過ぎて急に気温が下がってきた。さっきまでの暖かさが嘘のようだ。もう笠取小屋は近いが、手がかじかむので手袋をする。

201024 笠取小屋

14:33、本日のサイト場である笠取小屋に到着。以前来た時は5張りくらいだったのに(「初心に帰る山、雲取山へ~奥秩父東部縦走」)、今日はすでに2、30張りはある。コロナでキャンプブームか。
日が傾くころには100張りくらい隙間なくテントが張られた。

201024 笠取小屋の水場

笠取小屋は水が豊富。使いたい放題。さすが水源の山。

201024 山の一日が終わる

山の一日が終わる。お疲れさまでした。
山の夕暮れは、何百回見てもいい。

さて、明日も長い。早く寝よう。
と思ったが、まだ隣のテントはビールを飲みながら焼き肉を焼いている。
そして、反対側の、初めて山に来たと思しきカップルのテントは、10時過ぎても二人で話をしている。彼らはテント内の会話は外につつぬけと言うことを知らないらしい。聞きたくもない話が聞こえてくる。恥ずかしい話はやめて、さっさと寝なさい!

参考:
柳沢峠9:38-11:20倉掛山11:40-13:15斉木峠13:35-14:12ヤブ沢峠14:17-14:33笠取小屋

次回に続く)

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