今日も海と空を眺めて過ごす一日~チリの旅(21)
11/23 プエルト・ナタレス~プエルト・モン
(前回の続き)
「バサッ」という物音で目が覚める。
船が揺れ、壁に立てかけてあったザックが倒れた音だ。ペットボトルも船の揺れに合わせ、ゴロゴロと通路を行ったり来たりしている。
突然、船が大きく揺れ始めた。外洋に出たようだ。
窓の外を見ると、そこには満点の星空。
真夜中のデッキに出て空を見上げる。逆さのオリオン、鋭く光るカノープス。天頂付近には、日本では、ほとんど見ることのできないアルケナル。さらに南に視線を動かせば、天の川に埋もれた逆さまの南十字に、雲のような大小マゼラン。
人工の光は、岩場を示す遠くに見える灯標のみ。
星の光に埋もれて星を眺める。
フェリーは一時的に外洋に出る。風は穏やかだが、船はゆっくりと左右に揺れている。
あいかわらず、クジラを探すくらいしかやることがない。
今日もひたすら海と空を眺めて過ごす。
今まで両岸に見えていた山々は見えなくなった。
右手にかすかに陸地、南アメリカ大陸がかすんで見える。左手にはどこまでも続く大海原。
昼食。
同じような物を食べ続けているためか、あるいは暇すぎるためか、一瞬、今日が何日目で船に何泊するのか分からなくなってしまう。
昼過ぎ。外洋から再びフィヨルドの狭いチャネルに入る。なんと複雑な航路を取ることか。(航路はここ)。
波が消えた。細長いフィヨルドの海には船を揺らす横波はない。チャネル方向に進むソリトンのような細かい波があるだけ。
そんなことを考えていたら、デッキにいた人々から歓声があがる。なんじゃらほい?
みんなが指さすほうを一生懸命凝視する。しかし、よくわからない。双眼鏡を借りて眺めると、小さな島の上にシーライオンがびっしりと横たわっている。
とりあえず写真に撮ったけど、よくわからないな~。
外洋では穏やかな晴れだったが、フィヨルドに入ったとたんに、風が吹き、様々な形をした雲が、空を横切ってゆく。また、パタゴニアに戻った気分だ。
しかし、あたりの山々にはもうほとんど雪はない。
夕食前に、ホールに集められる。プエルト・モンの説明を受ける。そう、明日、フェリーはプエルト・モンに到着し、船の旅は終わる。
そして、私の旅の終わりも近い。
夕食。パサパサ七面鳥。
夕日が沈む。と思ったがなかなか沈まない。船が動いているので、山に太陽が沈んだかと思うと、山の斜面からまた太陽がこんにちはしたりしている。
しばらく、夕日を眺めて過ごす。なぜかデジャブ感が…そういえば昨日も同じようなことをしていた。
今日もbeautiful dayだったことに感謝。
(次回に続く)
赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…