晴れのち雹のち雨のち晴れ~チリの旅(20)
11/22 プエルト・ナタレス~プエルト・モン
(前回の続き)
このフェリーは、欧米では有名らしく、様々な国の人々がこのフェリーに乗りに来ている。しかし、今、このすべての人に共通するものがある。
それは、暇なことだ。
フェリーはノロノロと灰色の海と灰色の空の間を行く。両岸の山並みもほとんど変わり映えしない。
やることといったら、そう、こうやってデッキに出て、冷たい雨風に打たれながらクジラを探すことだ。
船内放送。本日の見どころその3、難破船。
いつからここにあるかとか、説明を聞いた覚えがある。でもすっかり忘れてしまった。ただ、一瞬の晴れ間に輝く海が美しかった。
突然、ザラザラと音がしたかと思ったら、雹が降ってきた。いててて。
カフェテリアに逃げ込む。
ちょうどおやつにはいい時間だ。カフェテリアでエスプレッソを飲みながら、暇なときに読もうと思って持ってきた、機械学習の本のページをめくる。
雹がやんで薄日が差し始めた。虹だ。毎日、虹を見ている気がする。ここでは虹は当たり前の気象現象だ。
晴れ雨、雹と天気がクルクルと変わる。
夕食はパスタ。うまくはないが、ここでは比較的ましなほう。
スウェーデン人やスコットランド人とスポーツの話をする。欧米人はおしゃべりが好き。食事ごとにたっぷり英会話。こんなに濃密に英語を話し続けたのは、初めてかもしれない。
晴れたのでデッキに出る。
相変わらず風は強く冷たい。あまり人もいない。風の音しか聞こえない静かな夕暮れ。
ここは晴れているが、向こうの山では激しい雨が降っているようだ。ほんの少し離れたところでも天気が違う。そして、風に流される雲とともに雨もサーっと音をたてながら移動してゆくのがわかる。
空と雲と海が不思議な色彩を織りなす。
一日が終わろうとしている。今日もbeautiful dayだったことに感謝。
部屋に戻ってまた洗濯。でもここはオイルヒーターがつけっぱなしなので、洗濯物が早く乾いてありがたい。
(次回に続く)
赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…