「山岳遭難の構図」~本の紹介

山岳遭難の構図―すべての事故には理由がある」(青山千彰、東京新聞出版局)

災害や事故の「危機情報論」を研究する研究者による山岳遭難の解析。警察や山岳団体の遭難に関する記録から、未組織者(山岳団体未加盟者)と組織者の事故率の違いや、遭難の起きやすい状況、年齢などを分析している。

そして、その分析から主に道迷いの防止やリーダーのあり方について提言を行っている。

著者にはバリエーションの経験はほとんどないようで、研究成果を実践に生かすという点では物足りない。また、「ヤブ山のような見晴らしの悪いところではコンパスの効果を発揮できるほど差が出ない」と言う、コンパスと地図だけで密藪の縦走をしてきた私にとっては、目を疑いたくなるような記述もある。

この本はどんな遭難がどんなときに、どのように起こるか知識として知っておくために読むのがよいだろう。

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