ナメ!ナメ!ナメ!~大行沢・大東岳(1)

9/25 二口温泉~裏コース~梯子滝~大行沢~桶ノ沢避難小屋

“強敵”と書いて”とも”と読む、そして、”大行沢”と書いて”おおなめさわ”と読む…なんてことはどうでもよい。「天国に続くナメ」と称されるナメ沢、大行沢にゆく。
今回は出発をかなり迷った。昨日、小笠原近海にあった台風12号は今日の昼に三陸沖を通過する。宮城県には暴風波浪警報が発令され、空は帝都物語にでてくるような、おどろおどろしい雲で満ちている。こんな日に沢に行ってもいいのだろうか…

100925大東岳登山口大東岳登山口は仙台市街から車で40分ほどのところの二口温泉にある。とてもアクセスが良く、仙台市民がうらやましい。今日のお目当ての大行沢もこの登山口のすぐそばを流れている。
登山口の駐車場はすでに先客でいっぱいだったので、近くのキャンプ場の駐車場に車をとめる。


100925大東岳裏コース空は相変らず黒い雲に覆われて、今にもザーッときそう。大行沢の下部は深いゴルジュがあり、増水したら逃げ場がない。流されて台風時の無謀登山と言われるのは嫌だ。そこで、沢沿いの登山道「裏コース」で上流に遡り、適当なところで沢に下りることにした。
樹林の道は暗く、壊れた橋などあり重苦しい雰囲気だ。


100925大東岳雨滝

裏コースをずんずん行く。2万5千図の道と実際の道が違って、意に反して450m付近から550mの崖ぎわまで追い上げられる。沢がどんどん遠くなる…
ふと見上げると、目の前にサラサラと霧雨が降っていた。いや、「雨滝」だった。見上げるほどの垂直な岩壁の上から霧雨のように水が降ってくる。水のカーテンが風になびく。不思議な光景だ。ミニ100エンジェルフォール。

100925大東岳裏磐司

大行沢の反対側の岸にも黒々とした岩壁が続いている。裏磐司と言うらしい。私は絶壁に挟まれた地溝帯の中を歩いている。

100925大東岳京渕沢

なおもずんずん行くと、道は京渕沢を椅子滝の落ち口の上で横切る。沢からは立派な滝が見えるらしいが、ここからは上部がちょっと見えるだけだ。
いや~、早いね~、もうすぐ小屋に着いちゃうよ~、と言ってハッと気付く。我々はハイキングに来たんじゃない、沢登に来たんだ。小屋に着いちゃったら意味がない!

100925大東岳大行沢入渓点

京渕沢の先のピョコを越えたところで、慌てて藪の中を沢へ下りる。

100925大東岳大行沢の釜の深い小滝

岩床沢の手前から入渓。思っていたより水量が多く、深い釜を持つ滝が連なる。この時期に釜にドボンしたくない。小滝が次々と現れる。その度に木につかまり、滑りやすい川岸からいちいち巻く。

100925大東岳大行沢ナメの始まり

いくつも滝を巻き、岩床沢を右に見て進み、沢がUの字に曲がった先からナメが始まる。

100925大東岳滑滝が続く

最初のナメはすぐに終わる。えっ、終わり?と思ったのもつかの間、またナメが現れ、途切れることなく続く。そして穏やかなナメ滝がうねうねと続く。

100925大東岳大行沢沢沿いの花

穏やかな沢の岸には白い花がたくさん咲いていた。

100925大東岳大行沢舗装道路のようなナメ

まるでアスファルトの舗装道路に水を薄く流したかのような見事なナメが、ブナの林を貫いてどこまでも続いていく。まさに、天国に続くナメ。

沢床はほぼ平らなナメなのだが、所々、側溝のように深くなっているところがある。沢床が暗褐色で、しかも空は黒雲に覆われて暗いため、深くなっている所が分かりにくい。うっかりすると、足を下ろした所に沢床がなく、そのまま深い水にすいっと吸い込まれてしまう。恐ろしい落とし穴だ。時々、ポツポツと雨粒が落ちてくる。少しもったいないが、道路のようなナメを、落とし穴に気をつけながら急ぎ足で遡って行く。

100925大東岳大行沢枝沢もナメ

ナメ沢の枝沢もナメ沢だ。このあたりは、川岸が一段高くなった台地になっていて、サイトできそうな場所はどこにでもある。

100925大東岳大行沢大滝

本日最後の滝。高さはあるが傾斜はあまりなく、右の水際を細かいホールドを使って登る。もし滑っても、ずるずる~ドボン、と釜に落ちるだけだろう。

登りきったところを左岸に上がると、そこに桶ノ沢避難小屋がある。

100925大東岳桶ノ沢避難小屋桶ノ沢避難小屋は東北の無人小屋らしい、きれいでよく手入れのされた小屋だ。20人はゆうに泊まれる。今日はここに泊まることにする。他に泊まる人もなく我々の貸切だった。


100925大東岳避難小屋の水場小屋のすぐ横には湧き水があり、うまい水が飲める。


100925大東岳大行沢で焚き火沢のお泊りと言えば焚き火。薪を集め火をおこし、さっそく焼酎のお湯割を作って、ちびちびやりながら飯盒で飯を炊く。日が暮れて真っ暗になるまで、焚き火を囲んで仲間と語り合い、ちびちびやっていた。


次回に続く)

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