ナメ!ナメ!ナメ!~大行沢・大東岳(1)
9/25 二口温泉~裏コース~梯子滝~大行沢~桶ノ沢避難小屋
“強敵”と書いて”とも”と読む、そして、”大行沢”と書いて”おおなめさわ”と読む…なんてことはどうでもよい。「天国に続くナメ」と称されるナメ沢、大行沢にゆく。
今回は出発をかなり迷った。昨日、小笠原近海にあった台風12号は今日の昼に三陸沖を通過する。宮城県には暴風波浪警報が発令され、空は帝都物語にでてくるような、おどろおどろしい雲で満ちている。こんな日に沢に行ってもいいのだろうか…
登山口の駐車場はすでに先客でいっぱいだったので、近くのキャンプ場の駐車場に車をとめる。
樹林の道は暗く、壊れた橋などあり重苦しい雰囲気だ。
裏コースをずんずん行く。2万5千図の道と実際の道が違って、意に反して450m付近から550mの崖ぎわまで追い上げられる。沢がどんどん遠くなる…
ふと見上げると、目の前にサラサラと霧雨が降っていた。いや、「雨滝」だった。見上げるほどの垂直な岩壁の上から霧雨のように水が降ってくる。水のカーテンが風になびく。不思議な光景だ。ミニ100エンジェルフォール。
大行沢の反対側の岸にも黒々とした岩壁が続いている。裏磐司と言うらしい。私は絶壁に挟まれた地溝帯の中を歩いている。
なおもずんずん行くと、道は京渕沢を椅子滝の落ち口の上で横切る。沢からは立派な滝が見えるらしいが、ここからは上部がちょっと見えるだけだ。
いや~、早いね~、もうすぐ小屋に着いちゃうよ~、と言ってハッと気付く。我々はハイキングに来たんじゃない、沢登に来たんだ。小屋に着いちゃったら意味がない!
京渕沢の先のピョコを越えたところで、慌てて藪の中を沢へ下りる。
岩床沢の手前から入渓。思っていたより水量が多く、深い釜を持つ滝が連なる。この時期に釜にドボンしたくない。小滝が次々と現れる。その度に木につかまり、滑りやすい川岸からいちいち巻く。
いくつも滝を巻き、岩床沢を右に見て進み、沢がUの字に曲がった先からナメが始まる。
最初のナメはすぐに終わる。えっ、終わり?と思ったのもつかの間、またナメが現れ、途切れることなく続く。そして穏やかなナメ滝がうねうねと続く。
穏やかな沢の岸には白い花がたくさん咲いていた。
まるでアスファルトの舗装道路に水を薄く流したかのような見事なナメが、ブナの林を貫いてどこまでも続いていく。まさに、天国に続くナメ。
沢床はほぼ平らなナメなのだが、所々、側溝のように深くなっているところがある。沢床が暗褐色で、しかも空は黒雲に覆われて暗いため、深くなっている所が分かりにくい。うっかりすると、足を下ろした所に沢床がなく、そのまま深い水にすいっと吸い込まれてしまう。恐ろしい落とし穴だ。時々、ポツポツと雨粒が落ちてくる。少しもったいないが、道路のようなナメを、落とし穴に気をつけながら急ぎ足で遡って行く。
ナメ沢の枝沢もナメ沢だ。このあたりは、川岸が一段高くなった台地になっていて、サイトできそうな場所はどこにでもある。
本日最後の滝。高さはあるが傾斜はあまりなく、右の水際を細かいホールドを使って登る。もし滑っても、ずるずる~ドボン、と釜に落ちるだけだろう。
登りきったところを左岸に上がると、そこに桶ノ沢避難小屋がある。
(次回に続く)
赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…