ブナの森をしぶい大東岳へ~大行沢・大東岳(2)
9/26 桶ノ沢避難小屋~桶ノ沢~権現様峠~大東岳~表コース~登山口
(前回の続き)
昨晩は雲が切れ月明かりが出ていたが、台風の吹き返しの強風で一晩中森がざわついていた。6時、食事を済ませ、身支度を整え小屋の外に出る。思ったより寒くなかった。まだ紅葉が始まっていないわけだ…
小屋の横から大行沢に下り立つ。川幅が狭くなってもまだずっとナメが続いている。落し穴に注意しながら快適に道路のようなナメ沢を遡行する。
枝沢が多く、数えていたが分からなくなってしまった。880mの三ッ俣が確認できないまま、1:1.5くらいの900mの二俣と思しき分岐を右に行く。その先でナメ沢は終わり、両岸が立ってくる。巻きのはっきりしない5mほどの滝をズルズルと滑りながら高巻く。これは正解だろうか?と不安になりつつも、沢沿いの尾根が低くなりはじめ源頭が近いことを告げる。
この写真は不正解の左の枝沢に入るところ。
一つ前の枝沢に戻る。枝沢といっても、ちょっとした平地から雨どいのようにチョロチョロ流れているだけの沢で、ナタメなどそれらしきものは何もない。ここは、相棒に「まさかこれじゃないよな~」と言って通過したところだ。が、詰めてみれば、あっという間にブナの森につけられた登山道に出た。南面白山と権現様峠の中間付近だ。相棒と握手し、登山靴に履き替え、冷たい沢靴におさらばする。
紅葉にはまだ早い。深いブナの大木の森の緑に木漏れ日が踊る。きのこだけでなく、様々な下草が茂り、厚い落ち葉が積もり、歩いていると次々と小川のせせらぎを横切る。豊かなブナの森だ。
道に沿ってゆるく下っていくと権現様峠にでた。二万五千図では道はいったん大東岳のほうへ登って行くが、実際の登山道は登ることなく峠へゆるく下っていく。峠には大東岳を示す立派な道標が立っていた。エアリアではここから大東岳への道は点線だが…
権現様峠から大東岳山頂への道は、あまり踏まれていないようだ。しかし、刈り払いがしっかり入っていて赤テープも随所に打たれている。エアリアでは「沢沿いの道」となっているが…これは道じゃなくて沢だよ!水量の多い沢の右岸、左岸と沢を縫うように踏み跡がついている。沢を渡るところはヌルヌルのコケがついた飛び石だったりして、靴を濡らさないようにするのが難しい。早々に降参して、脱いだばかりの冷たい沢靴をまた履いて、沢登りを再開。
1070mあたりで水が枯れる。そこからは苔のついた岩がゴロゴロ転がる枯れ沢を登る。苔が美しい…でも隣の尾根の藪を漕いだほうが速そうだ…
傾斜がゆるくなり、突然、視界が開ける。振り返れば眼下に、面白山、そしてさらに北の栗駒山、さらに北の…と東北の豊かな森が広がっていた。
立派な標識のある大東岳山頂。権現様峠への標識も立派だが、道は立派ではない…。朝の強い風もおさまり、秋の青い高い空がすがすがしい。
880mあたりで道は尾根を外れ、沢沿いに下ってゆく。このあたりは小行沢の源流だ。名前のとおり小さいながらも、見事にナメが続く沢が幾すじも流れていた。
(大行沢・大東岳、完)
赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…