台湾を横断し国境の島、金門島へ~金門島、台湾一周(4)
2/12 松山空港~金門島・金城~翟山坑道~金城
(前回の続き)
5時50分に目覚ましが鳴る。窓から外を眺めると、薄暗い松山空港の滑走路。その向こうに昨日はっきりと見えた山並みは、もやに霞んで全く見えない。
ちゃっちゃと着替えて、ホテルをチェックアウト。
今日は、この旅のメインイベントの一つ、金門島に向かう。金門島は台湾本島から海を隔てて、東におよそ200km、しかし、中国本土からは5kmも離れていない国境の島だ。
台湾に逃げ込んだ国民党は、中国人民軍の激しい攻撃を受けながらも島を死守し、地理上ほとんど中国大陸と言ってもいい金門島を、台湾の支配地域として現在も確保している。
去年あたりから、中国が台湾海峡で軍事的な威圧行為を繰り返している。もし、何かあれば、台湾本島から台湾海峡を挟んだこの島には行けなくなってしまう。そこで、行けるときに行っておきたかった。
松山空港に向かう道は、人影は少なく、まだ開いている店もほとんどない。通りがかった、明かりのともる食堂に入る。
涼麺と魚の団子のスープを注文。魚の団子はいつもの味。涼麺はインスタントラーメンにゴマダレをかけたような食感で、蒸し鶏を割いたものと、コンニャクみたいなものが入っている。
ホテルは松山空港の横だったが、ほとんど滑走路の端っこ付近にあった。空港の入り口までは遠い。静かな通りをひたすら歩く。
7時に松山空港到着。
人が列をなし賑やかなのは、国際線の日本行きのチェックインカウンター。国内線のほうはガラガラ。
時間があるので、ロビーをうろうろする。
京都の竹林を模したオブジェ。この前で写真が撮れるようになっている。
日本旅行が大人気。松山空港からはソウル行きも出ているが、韓国旅行の広告はあまり見ない。
以前は食うに困った松山空港だが、だいぶ充実してきた。
国内線のロビーはこんな感じ。
セブンイレブン。市街の店舗と同じように関東煮(おでん)が充実。
パン屋さん。台湾の人はパンが大好き。
日本語に直訳するとケーキ(蛋糕)屋さん、でも英訳は”Bakery”、パンとなっている。おまけに台湾風おでん(滷味)も売っている。
まだ時間があったので、国際線保安検査場入口にあるスタバでコーヒーを一杯。
時間が近づき、国内線の保安検査場へ。
乗客は少なく、検査の手際もよく、5、6分で搭乗ゲートへ。ちなみに、飲み物の持込可、搭乗ロビーで充電可。ロビーにもコンビニあり。
立榮航空B7-8809便、機体はATR-72、2列-2列の座席の小さなプロペラ機。
滑走路に向かって向きを変え、空港を巻くように走るMRTや今朝のホテルが窓の外を横切る。そして、滑走路からの細かな振動とエンジンのうなりを発しながら、飛行機は離陸した。
西に向かって離陸したのち、すぐに東に旋回する。あれ?金門島は西だけど、どうして東に向かうのだろう?
台北の街は低い雲に覆われている。その上には広い青空が広がる。
東に飛んだ後、基隆と宜蘭の間あたりで今度は西に旋回。なんでグルグルと旋回するのだろう?
険しい山々が見えてくる。このまま台湾本島を横断するようだ。
機内には現在位置を示すディスプレイはない。必死に記憶をたどって、頭の中の台湾の地図をめくる。
宜蘭から南東に向けて飛んでいるのだろう。今はおそらく雪山山脈の上を飛んでいる。
雪山山脈を越えた(と思う)。遠くに見えるのは中央山脈の山々(と思う)。私の視界には、台湾本島を形づくる、何十もの3000mを越える峰々が見えている(と思う)。
初めて台湾を旅した時から、その一つには登ってみたいと思っているが、未だ実現していない。
台湾本島を横断し、西海岸に出た。西海岸は山の麓に広い平野が広がる。ここは台中かな?
窓に顔を押し付けるようにして、息をするのも忘れ、台湾の山々に見入っていたが、海に出て肩の力を抜く。思いもよらぬサプライズの景色だった。
ところが、もう一つサプライズ。
眼下に島が見えてきた。
特徴的な形から、澎湖諸島だとすぐわかる。金門島を目指して澎湖諸島を空から眺められるとは、一粒で2度おいしい。
機体は高度を下げながら雲の中に突入。長い間雲の中にいたが、突然視界が開け、金門島の地面がすぐそこに見えた。と思ったら、すぐに着陸。
雪山山脈や中央山脈、さらに澎湖諸島の眺め。素晴らしいフライトだった。
金門空港ロビー。広くて人が多くてびっくりした。レストランやコンビニもある。正直なところ、薄暗い掘っ立て小屋みたいな空港を想像していた。ごめんなさい。
空港の建物から一歩外に出ると、人はいない。なんだ、このギャップは。
ここから路線バスに乗って、金門島の中心、金城に向かう。
時刻表を見ると、金城バスターミナル行きの藍1バスがすぐに来る。
金門島のバスは、路線バスと観光バス(好行バス)がある。路線バスは、以下のサイトで、路線図や運行状況が確認できる。
ついでに、金門島を調べるのに重宝したのはここ、「金門」
20分ほどバスに揺られて、金城の街に入る。
Tシャツ短パンで、スポーツタオルを羽織って歩いている人がたくさんいる。「金門馬拉松」の横断幕が目に入る。なんと、国境の島でマラソン大会をやっている。
航空券や宿が取りにくかったのはこれか...
バスターミナルの前は、台湾の古い街並みが残る。
まずは、昼めしを食べに金城老街へ行こう。
こういうのも昔懐かしい感じ。
金城老街にでると、人通りが多くなり原チャも爆走。昔の台湾の田舎を彷彿とさせる。
金門島の名物の1つは小さな牡蠣を使った料理。
いくつか目星をつけておいたが、老街の入り口にある店は、隙間もないほどの満席。
老街の外れにある「標記小吃店」。ここも混雑しているが、人の回転が速いので、ぽつぽつと席が空く。
店の外の席が空いたので、すかさず座る。しかし、注文しに行かなければいけない。どうしたものか...立ったらその瞬間に席を取られてしまう。
前に座っていたおじさんが、帽子をテーブルに置いて席を立った。そうか。私も帽子を置いて席を立つ。
注文は、メニューが書かれた紙に、個数を書いて、窓口で渡してお金を払うパターン。行列にならび、紙を渡すとすごい早口でまくしたてられ、ほとんど聞き取れん。たぶんメニューの確認をしているので、「対、対」とうなづいて、席に戻る。
なぜか、割りばしは「おてもと」
牡蠣スープ。合わせて頼んだ焼餅といっしょに食べる。
濃厚な牡蠣の香り。しかし、牡蠣の殻とか、ゴミとか入っている。台北は昔と比べて、きわめて洗練された都市になってきたが、田舎町には、昔の台湾がそのまま残っているようだ。
これが名物の牡蠣ソーメン。牡蠣スープと牡蠣ソーメンで牡蠣尽くしにしたが、味はほとんど同じ...
そろそろ食べ終わるころ、観光客と思しき女性2人に、ここに座ってよいかと、相席をたずねれられた。いいですよ、と中国語で答えたが、外国人と分かったのか、ごめんなさいと言って立ち去ろうとする。
私は、牡蠣のダブルスープでお腹がガポガポになりつつあったので、もう終わりました、と言って席をたった。
チェックインには、ちょっと早いけど、宿に行って荷物を預けて観光しよう。
老街から莒光路へと、商店が並ぶ路を歩く。
宿に到着。華欣商務飯店と名前は立派。ただし、バストイレ付き個室のホテルとしては、もっとも安い部類の宿。コロナの自主隔離が必要なので、入国後1週間は、バストイレ付きの個室が義務付けられている。
真っ暗で誰もいないかと思ったら、おばさんが一人で店番をしていた。当然、英語も日本語も通じない。そして、私の中国語(普通話)も通じにくい。
ネットで予約(アゴダかエクスペディアかなにかで予約した)した旨を伝えると、どこかに電話をかけて、1泊1000元と言う。むむ、予約時の値段より安くなってる。
(次回に続く)
赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…