早川尾根小屋は遠かった、ああ、遠かった~甲斐駒ヶ岳から夜叉神峠(2)
9/23 竹宇駒ケ岳神社~七丈第一小屋~甲斐駒ヶ岳~早川尾根小屋
(前回の続き)
11:30、甲斐駒ヶ岳山頂到着。12時までに山頂に到着できなかったら、日没までに早川尾根小屋にたどり着けない可能性があるので、北沢峠にエスケープするつもりだった。よかったよかった。
驚いたことに人だらけ。ざっと見て3、40人はいそうだった。広河原から北沢峠のバスが走っていないので、人が少ないと予想していたが、見事に裏切られた。
バリバリと冷たい風が吹きつけている。写真を撮って先を急ごう。
たおやかな仙丈岳。ここからみると大きい。
三角形のでっぱり、北岳と、これから行く早川尾根。その奥には鳳凰三山と富士山。
山頂からは360度の展望。空気は澄んで遠くの山の形もよくわかる。
甲斐駒ヶ岳から北沢峠方面へは、ダイレクトに岩尾根を下るルートと、甲斐駒ヶ岳を巻いてゆくルートがある。時間節約のため、巻道を行く。
白くざれた甲斐駒ヶ岳の山腹をひたすら巻いてゆく。頂上から風化した花崗岩のザラザラの斜面が、ずっと続いている。その上には丸みを帯びた岩がゴロゴロとのっている。地震があれば上から落ちてきそうで怖い。
岩場で地震なんて確率は小さいだろう。でも、先日、槍穂で地震があり、北鎌で落石による遭難者が出ている。
登高意欲をそそらない摩利支天。ざらざら斜面に飽きてきた。風も強いし。
一度は行って見るべきかもしれないが、今日は時間がないのでパス。
ざらざらのトラバースを終え、再び紅葉の尾根へ。
振り返れば、甲斐駒ヶ岳が大きい。
駒津峰で北沢峠への道と分かれ、早川尾根を行く。
まずは、目の前の急斜面を仙水峠まで500mの下り、続いてアサヨ峰への500mの登り。いちいちアップダウンが大きい。
出発から8時間を超え、さすがに疲れてきた。
意を決して、森林限界線の吹きさらしの強風の中、仙水峠へ下る。
仙水峠で最後のおにぎりを食べる。
再び樹林帯に入ったので、風が弱くなりホッとする。
早川尾根に入ってから登山者はだいぶ少なくなり、駒津峰から二人組x4パーティとすれ違っただけだ。
重い足を引きずりながら、樹林帯の急登を栗沢山へ。
上から鉢巻をして長靴をはいたおやじの二人連れが下りてくる。もしや、と思って声をかけると早川尾根小屋の改修工事をしている大工さんだった。ビンゴ!
早川尾根小屋の状況を尋ねると、小屋は改修中だが、小屋番もいてサイト場も使えるとのこと。
実は、早川尾根小屋が9月半ばに新装オープンという8月時点での情報を入手していたが、オープンできたとの話も聞かないし、今現在どうなっているか情報がなくわからなかった。そのため、小屋もサイト場も使えなくてもなんとかなる、あまり愉快ではないプランBを用意していた(それで水も多めに持っている)。でもプランBの発動はなくなった。
足は重いが、気持ちはだいぶ軽くなった。
再び森林限界線を越え、栗沢山山頂到着。
今日のメインイベントは終わった(とこの時は思っていた)。風が冷たいので、休むことなく通過。
栗沢山から眺めるアサヨ峰。疲れていなければ、快適な稜線散歩だろう。疲れていなければ...
この期に及んで、まだ鎖場か!
アサヨ峰直下に鎖場あった。一体今日は何本の鎖を手繰ったことだろう。大した鎖場ではないがもううんざり。
本日最後のピーク、アサヨ峰山頂。
甲斐駒岳、仙丈岳、北岳と南アルプス北部の名だたるピークに囲まれた、展望の山。
でも、時間も押してきたし、寒いし、チョコバーをかじってさっさと出発。
アサヨ峰から見る早川尾根。
奥の、雪渓のような白い斜面が見える大きな山が鳳凰三山。
目指す早川尾根小屋は、鳳凰三山の手前の最低鞍部よりちょっと手前にあるはず。
遠いな...。でもずっと下りだからすぐだろう。
下り始めると、すぐに樹林帯に入る。土の道はなんだかホッとする。
下りだから楽だと思っていたが、登りの足が売り切れ状態で、ミヨシノ頭とか小さいピークを越えるのがつらかった。疲れてなければ走って越えられるくらいのピークだが、ちょっと登っちゃあ立ち止まり、登っちゃあ立ち止まりで、のろのろと越えた。
そしてひたすら「まだか~、まだか~」と心の中で叫びながら樹林帯を下り続ける。
う~、やっと着いた早川尾根小屋。15:55。歩き始めて13時間25分。
なんとか日没前に到着できた。よかった。
小屋は改装中。小屋主によると、当初は9月半ばに改装を終え、営業を始める予定だったが、ヘリが飛ばなかったので、まだ改装中とのこと。
テントサイトに資材が置かれているので、張れるテントは5張くらいか。
しかし、水もトイレもある快適なサイト場。
早々にテントを張って、寝袋に半身潜り込み、甘くしたコーヒーをすする。あ~、よく歩いた、疲れたな。
夕食にカレーを食べて、8時には就寝。
(次回に続く)
赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…