ナスカの大地に日が沈む~ペルーの旅(5)

4/28 ワカチナ~イカ~ナスカ

前回の続き)

砂漠をナスカに向かう

イカを出発して30分もすれば、そこは砂漠のど真ん中。
右手にはワカチナから続く砂丘が見える。そして左手には礫が散らばる乾いた平野と、その向こう地平線に黒い丘陵が続いているのが見える。

不思議その1:遠くの丘はなんで黒いのかな?
不思議その2:砂漠の真ん中にときどき養豚場が現れる。水はどうしているんだろう?
不思議その3:ほとんど植物は生えていないのだが、枝しかない一抱えくらいの灌木が、ぽつりぽつりと生えている。どうやって生きているのだろうか?

答えが分かったのは1だけ。どうもこの辺りの岩はもともと黒いようだ。平原ではその上に砂が積もっているので赤茶けて見えるが、山の斜面には砂が積もらないので、黒い岩がそのまま見えている。

ナスカの途中の街

バスは坂を下り大きな谷(谷と言っても大井川の新幹線が横断しているところを10倍くらいにした、なだらかで広い低地)を横切る。谷の底には緑があって葡萄畑もあり、人が住んでいる。

バスは坂を登って谷をでて、乾いた砂漠に戻る。

切通のワインディングロード

またバスは坂を下り、谷に下りていく。今度の下りは、切通の急傾斜のワインディングロード。

切通

これが切通の中。道路が蛇行しているので見通しが悪い。そこをバスはあらん限りのスピードでうなりながら下っていく。なんかのアトラクションみたいだ。

谷に下りてまた登る。そしてまたモノトーンの乾いた大地。その繰り返し。いつしか私は夢の中...。気が付いたらナスカに着いてた。15時ちょうど。バスは順調に走っていたがなぜか遅延。さすが南米。
バスを下りると宿の主人が迎えに来てくれていた。せかされるように車に乗り込み、今日の宿へ。歩いても10分くらいなんだけど。
ナスカは思っていたより大きな街だった。メインストリートに沿ってレストランやいろいろなショップが並ぶ。リゾート地だ。

宿に着くと、ウエルカムドリンクだと言って、キンキンに冷えた缶ビールを手渡された。外は30度を超える灼熱地獄。なるほど、ホステルワールドの評価が高いわけだ。
ビールを飲みながらツアーの話を聞く。ちょっと値段が高い気がするが、こちらの滞在の予定にあわせて、最適なツアーの組合せをアレンジしてくれる。地上絵の遊覧セスナも航空会社を1つ1つ説明してくれる。ISO9001取得の会社にする。
値段は高くてもきちんと説明を受けながらスピーディーにツアーが決まっていくので、それはそれでよし。

さっそく、タクシーを呼んでもらって、地上からの地上絵ツアーに出発。

ナスカのミラドール

ああ、あれが地上絵の展望台、ミラドールだ。ナスカに来た実感がわいてきた。
ただ、さっきバスで通過したはずだが、寝ていて気が付かなかった。左が従来のやつで、右が新しいやつ。残念ながら新しいのはまだ上れない。

子供の頃に読んだ、世界の不思議、みたいなマンガにイースター島のモアイとならんで、ナスカの地上絵が描かれていた。日本人が南米で一番行ってみたい世界遺産はマチュピチュだそうだが、子供に聞けばモアイか地上絵だろう。
モアイは対面を果たした(「モアイ・モアイ・モアイ!」)。そして、今、すぐそこに地上絵がある。

ミラドールを上る。新しいミラドール

新しいミラドールの横の駐車場に車を止め、従来のミラドールへ。入口でお金を払って階段を上る。工事現場の足場のスチールパイプのようなもので組まれた展望台だ。今にも倒れそうでちょっと怖い。新しいミラドールがつくられた理由がよくわかる。

階段を上がるにつれて、地上絵がその姿を現す。

ナスカの地上絵・海藻

おお~、すごい。飛行機からしかその姿を見れないのかと思っていたが、形がちゃんとわかる。これは「海藻」または「木」と言われているものだ。
反対側には「手」もあった。

従来のミラドール

これが従来のミラドール。
リマやイカからの長距離バスのバス停があるので、バスで来ることもできる。

再びタクシーに乗り込み、パルパの地上へ。
タクシーがえらいとばす。この道路はパン・アメリカンハイウェーといって、南米大陸を縦断する幹線道路で、トレーラーも多く走っている。タクシーは、トレーラーに追いつくたびに、グオーっと加速して追い抜く。対向車が怖いんですけど。明るいのにみんなヘッドライトをつけて走っているのはこのためか。

パルパのミラドール

パルパのミラドールに到着。
ナスカのミラドールと同じつくりだが、ここはタダ。

パルパの地上絵

パルパの地上絵。
ちょっとかわいらしいシャーマンが並ぶ。これは、飛行機からは見えないそうだ。ついでに言うとミラドールに上らなくても見える...なんのためのミラドールか...

シャーマンの頭の上に白っぽい線が一本引かれていて、左端のシャーマンの髪の毛を横切っている。ドライバーにあの白い線は何かと聞く。なんと、あれは、送電線の敷設工事の時につけられた道だそうだ。なんてことをするんだ。

再びナスカへと戻る。

ナスカのナチュラルミラドール

これはナスカの「ナチュラル・ミラドール」。地上絵が見えるという丘だ。さっきの従来のミラドールのすぐそばにある。

ここを後回しにしたのは、ここで夕日を見ようというドライバーの粋な計らい。
3分も歩けば丘の頂上だ。

ナチュラル・ミラドールからパン・アメリカハイウエー

はっきり言って、丘の上からは、地上絵っぽい直線と車の轍しか見えない。
しかし、広大なナスカの大地が一望できる。冷たい風も気持ちいい。
静かだ。時間がゆっくり流れているかのようだ。一直線に延びるパン・アメリカンハイウェーを走る車列もスローモーションのように感じられる。
昔、パン・アメリカンハイウェーを自転車で走りたいと思ったことがある。もう無理だな...昼間の暑さと、ひっきりなしに走るトレーラーのプレッシャーには勝てそうもない。
そんな話をしながら、相棒と日が沈むのを待つ。

ナチュラル・ミラドールからの日没

西の空にあった雲がだんだん消えていった。
そして、ナスカの大地に日が沈む。思えば遠くに来たものだ。

ナスカのレストランGULA

夕食はペルーワインを楽しみたかったので、宿でちょっといいレストランを紹介してもらう。
メインストリートにある「GULA」。おしゃれにアレンジしたペルー料理のレストラン。

ペルー料理、鳥の胸肉のフリット

チェ...何とかという、鳥の胸肉のフリット。衣はサクサク、中身はジューシー。胸肉をこんなにジューシーに揚げる方法を教えて欲しい。ピカンテソースをつけて食べるが、ピリ辛で癖になる。
赤のグラスワインを頼んだら、微発泡のフレッシュな軽いワインだった。銘柄はよくわからない。でも、高い。ペルーではワインは高級酒なのだろう。料理がだいたい750円で、ワインが1杯480円だった。

ナスカの夜のメインストリート

充実した一日だった。夜の街をふらふらする。メインストリートは観光客向けのためか人通りが少ない。ちょっと先に行った小商店が立ち並ぶ通りは、地元の人と思しき人たちでぎゅうぎゅうだった。
宿の主人が、ナスカはペルーで一番治安がいいと言っていた。確かにそんな感じだ。

次回に続く)

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