翼よ、あれがナスカの地上絵だ~ペルーの旅(6)
4/29 ナスカ(地上絵、カワチ遺跡)~クスコ
(前回の続き)
7時に起きて、チョコをちょこっと食べ、酔い止めを飲む。
セスナに乗る前に食事はするなとのこと。
確かにセスナは普通の飛行機より酔いやすい。ナミビアで経験済み(ナミビアの空へ)。
ピックアップのワゴンに載せられ、10分ほど走る。はげ山に囲まれた郊外の空港へ。
霧が出るかもしれないと言われていたが、天気はまずまず。
うっすらと雲はかかっているが、相変わらず強い日差し。
空港からはひっきりなしにセスナが飛び立つ。
今回我々が乗るのは6人乗りの小さな機体。全席が窓際なので、地上絵を見るにはベストなサイズだそうだ。
空港にはカフェや土産物屋がある。
コーヒーが飲みたい...でもインスタントだとやだな...コーヒー豆のポスターが貼ってあるから、さすがにレギュラーだろう...
カフェ、ウノ!香りが...グビリ...だまされた...
カウンターで受付。まず体重をはかる。搭乗者は体重によって座席が決められる。
そして、名前が呼ばれるのをひたすら待つ。
名前を呼ばれ、X線で荷物検査をして(意味があるのか?)、滑走路の隅を歩いて我々のセスナに向かう。
小さいセスナに、操縦士、副操縦士、男性客3人、女性客2人が乗り込む。せまっ!
シートベルトをして、ヘッドフォンをしてスタンバイ。ヘッドフォンを通して注意事項を聞く。
エンジンがうなり、機体がゆっくりと動き出す。いざ出発!
昨日ナスカの平原に向かった道に沿って飛ぶ。ナスカの街は緑に覆われている。
風景は一変。ナスカの平原にやってきた。
無機質な平原に浮かぶ島のような黒い丘。そこから放射状に滑走路のような地上絵が延びる。それだけではなく、幾重にも無数の直線が描かれている。
平原のど真ん中にやってきた。
ほぼ一面、水の流れた跡で覆われている。いくつもの直線が、水の流れによって途切れている。これを見るまでは、1000年以上前に描かれた地上絵がよく残っているものだ、と思っていたが、実は、多くの地上絵は失われてしまって、たまたま残ったものだけが我々の知るところになったようだ。
飛行機の爆音の中、ヘッドフォンの奥から説明が聞こえてくる。
フクロウ男?
昨日、夕日を見たナチュラルミラドールがちっちゃい島のようだ。
ブオーン、とうなりを上げながら機体が旋回する。右下を見ると、
あっ、猿。
尻尾が溝のように見える線で切断されている。
これは自動車の轍だ。多くの自動車によって地上絵は傷つけられている。
また、機体はうなりを上げながら大きく旋回する。体が斜めになりながら窓から必死で写真を撮る。そして、機体は水平に戻ったかと思うと、再びうなりを上げながら、反対方向に旋回し大きく傾く。左右の窓から地上絵が見えるように、地上絵の上空で8の字に旋回する。
有名なハチドリの地上絵が見える。
翼よ、あれがかくも有名なナスカの地上絵だ。
蜘蛛。
ハチドリもそうだったけど、一筆書きになっている。
猿、ハチドリ、蜘蛛の写真は望遠で撮ったものだ。実際の目で見た感じはこの写真に近い。
望遠の写真で見る地上絵は、大きくてはっきりしている。でも実際は小さいのだ。ぱっと見ただけだとどこにあるかわかりにくい。この写真にも有名な地上絵が写っている。
望遠で拡大すれば鳥の姿がはっきりと浮かび上がる。
地上絵は、地上では大きすぎてその姿をうかがい知ることはできない。
一説によれば、雨乞いのために神にささげたものだという。
上空からは、乾いたナスカとは対極の森林に住む、猿やハチドリの姿を見ることができる。しかし、それはあまりにも小さい。セスナで見ても小さく見える。ましてや天に住む神にとってはゴマ粒のようなものだろう。
それでも、ナスカの人々は、何かを信じて、自分たちは姿を見ることもできない地上絵を無数に描いてきた。
古代の人々のひたむきな姿と、人間のなしうる力に泣けてきた。
それに引き換え、車で地上絵を破壊する現代人とは...
昨日上ったミラドール。ミラドールの両側に「木」と「手」が見える。そして「トカゲ」のしっぽがパン・アメリカンハイウェイでちょん切られている。
地上絵を離れ、ナスカの街へ。蟻地獄のようなものが見える。これは水路の遺跡らしい。
空港に帰着。
あっという間の50分だった。来てよかった。
ワゴンに乗って街に戻る。
そういえば、歯医者が多いな。インプラントの写真とか飾ってあるけど、ここで治療を受けるのはちょっと怖いな...
(次回に続く)
赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…