新雪と澄みきった青空~立山・室堂(2)
11/26 室堂~一ノ越~雷鳥沢~室堂
(前回の続き)
5時起床。テントが狭くて寝苦しかったが、かえって3シーズンシュラフでも全然寒くはなかった。起きるなり食事の準備を始める。テントの外がほのかに明るくなってきたので、外に出てみる。無風快晴。暁の光に照らされた大日岳が浮かび上がる。
7時半ともなれば、立山の峰々に朝日が当たる。夜半まで吹雪いていたので、雪は新雪、穢れなき純白。空は雲ひとつなく晴れわたり、絶好のスキー日和だ。よし、初山スキーのメンバーもいることだし、まずは定番、一ノ越に登って雷鳥沢を滑ろうかな。
雷鳥荘から雷鳥平を見下ろす。例年であれば雷鳥平にテントを張るので、この斜面を巨大なザックを背負ってヨタヨタと滑る。しかし、今日は軽い日帰り装備だ。新雪が吹き溜まった斜面に思い切り飛び込む。

ああ、美しい。新雪と澄みきった青空。こんなにすばらしい天気に恵まれて、なんてラッキーなんだ。
立山の峰々に目を移すと、稜線に雪煙がたっているのが見える。ここは全く風がなく、歩いていると汗をかくほどだが、3000mの稜線には冷たい季節風が吹きつけているのだろう。
板にシールを貼って登頂開始。真っ白な雪面につけられた先行者のトレースをたどる。パックされた新雪にシールが気持ちよくきまる。しかし、入山者は少なく、このトレースを歩いたのも数人だろう。雪を踏むとまだわずかにもぐる。シュプールも1本しか見当たらない。毎年、蟻の行列のようになって登ったのがウソのようだ。
高度を上げるにつれ、周囲の山々は低くなり、そしてより遠くの景色が広がる。大日岳の右後にはっきりと能登半島が見える。なんどもこの時期の立山に通っているが、新鮮な風景だ。
それにしても暖かい。と言うか暑い。まるで春山だ。手袋を薄手のものに替え、帽子とネックガードを取り、アウターの前を全開にして、汗をかきながら登る。
白山もはっきり見える。
2600mあたりの急登をさっくりこなして主稜線にでる。もっとも、シールに不慣れなメンバーには、新雪がサラサラと崩れる蟻地獄のような登りだったようだが…。いずれにせよ一ノ越はすぐそこだ。風が冷たくなってきた。脱いでいた帽子や手袋をまた身につけて、もうひと頑張り。
一ノ越の直前でちょっとしたトラバースがある。いつもここから風が強くなる。今日も例外ではない。身を切るような冷たい風が、雪を巻き上げながら斜面に吹き付け、先行者のトレースをみるみる消してゆく。かっこいい写真を撮りたいが、風で体がよろめき、さらにカメラを構える手がどんどん冷たくなってゆくので、なかなか思い通りにならない。
(次回に続く)
赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…