無風の山頂~五竜岳(2)

5/5 西遠見山~五竜山荘~五竜岳~西遠見岳~五竜とみおスキー場

前回の続き)

100505日の出

朝。夏用のペラペラシュラフだったが寒くなかった。と言うより、むしろ暑かった。起きてシュラフから出ても寒くない。テントから外に手を突き出してみるが、空気が生暖かい。氷点下まで気温が下がらなかったようだ。

テントをたたみ、不要な装備を雪面に掘った穴に詰め込んで、五竜岳のサブに出発。もわ~っとした大気の向こうに朝日が昇る。

100505白岳カール

明け方は薄曇だったが、だんだん空が晴れ上がってきた。目の前に白岳沢の真っ白な大斜面が広がる。登るのがしんどそうだ。そしてお目当ての五竜岳も岩峰一つ一つが手に取るように見える。

100505鹿島槍ヶ岳

朝日に赤く染まる鹿島槍を期待していたが、明け方は薄曇だったので見えなかった。でもなんとなく赤っぽく見える。

雪面はいたるところで稜線と平行に割れて、深い口をあけている。雪の下を流れる水の音も聞こえる。日が昇ったばかりだというのに、すでに雪が融け始めている。不気味…

100505白岳カール2

白岳の斜面をできるだけ直登する。雪は腐っているが歩きにくいほどではない。ただ、ところどころ割れているので、足をとられないように気を使う。

100505五竜山荘1時間ほどで五竜山荘に到着。夏は賑やかな山荘も、営業をしているもののひっそりとしている。


100505五竜岳への取り付き稜線に出たので風に用心し、ジャケットを羽織る。五竜岳に向けていざ出発!
5分もしないうちに暑くてジャケットを脱いだ…

雪はグサグさの腐れ雪。場所によっては一度融けて凍ったツルツルの氷。歩きにくい。


100505五竜岳G1

おそらくこれがG1G0。雪が切れ、ちょっとした岩場をアイゼンをギシギシいわして通過する。稜線に立ってみれば、反対側はすっぱりと切れ落ちて高度感抜群。

この岩のピョコの向こうには五竜の山頂が見える。そこまでには、遠目には雪壁のように見える雪のつまった急なルンゼと、その上をトラバースする不気味なトレースが見える。

100505五竜岳ルンゼのトラバース

トラバース帯に突入。近くで見ると思ったほど傾斜はない。雪も柔らかいので歩きやすい。しかし、ところどころ融けた雪がガラスのように凍っており、足を滑らせれば誰にもじゃまされることなく、谷底までの旅を堪能することになるだろう。

トラバースの途中で、鎖を打った岩が雪から頭を出していた。左手で鎖をつかみ、アイゼンを氷に効かせたまま、体を後によじって、なんとか写真を撮った。

100505五竜岳山頂直下

トラバース帯を無事通過。もうゴールは目前。五竜岳の頂上直下の雪壁を登る。夏ならばちょっとした岩場だが、すべて雪の下なので傾斜は急だが登りやすい。

100505五竜岳山頂もうすぐ

雪とにらめっこしながら雪壁を登り、ちょっとした雪庇をのっこすと、急に目の前が開けた。山頂はすぐそこだ。

100505五竜岳山頂から剱岳

着いた。山頂は無風快晴。目の前に剣が大きく見える。静かだ、鳥のさえずりと雪崩の音だけが聞こえる。

驚いたことに山頂も暑い。夏でも使える薄手の手袋をしているが、それでも暑いくらいだ。なんだかコーラが飲みたくなった。冷たいコーラが飲みたい。飲みたい飲みたい言って、メンバーにもコーラが飲みたい気分を伝染させる。

次回に続く)

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