石段、銭形、蜃気楼、てんこ盛り~こんぴらさんから石鎚山へ(2)

11/3 金刀比羅宮~琴弾公園~新居浜

前回の続き)

バスが停車し、車内の明りがつく。
高知に向かう人は、ここでバスを乗り換えるらしい。海外だったらうろたえるパターンだな。
トイレのためにバスから出る。まだ空は暗く、東の空に細い月が輝いている。空気が冷たい。四国もこんなに寒いのか。

20211103 琴平駅に到着

ほぼ定刻に終点の琴平駅に到着。たった一人バスを下りる。
こんぴらさんは、全国に名を知られた観光地なので、賑やかなのかと思っていた。が、かなり閑散としている。

まずは、朝食。うどん県に来たのでうどんを食べよう。
コインロッカーに登山の装備を預け、街に出る。

20211103 こんぴらさん表参道

お目当てのうどん屋は臨時休業...。しかたなく、こんぴらさんの表参道へ。なにかあるだろう。

20211103 肉ぶっかけうどん

表参道に面したうどん屋に入る。参道には観光客がうろうろしているが、広々とした店内には、客が一人しかいない。時間のせいかな...。

生まれて初めて肉ぶっかけうどんを食べた。うまいなこれ。甘じょっぱい肉の煮込みとうどんがあう。東京のうどんより出汁も効いてていい。よし、家に帰ったら、この肉を作ってみよう。
しかし、高いなこれ。東京で食べるより高いぞ。観光地価格だな。

20211103 金毘羅さん表参道の階段が始まる

こんぴらさんと言えば、長い石段。明日からの登山の準備運動にはちょうどいいかな。
表参道の商店街が途切れると、階段が始まる。

20211103 こんぴらさん表参道

参道はずっと階段、というわけではなく、上ったらたいら、そしてまた上る、を繰り返す。
朝は肌寒かったが、階段と快晴の日射しで暑くなってきた。上着を脱いでTシャツで歩き続ける。

20211103 表参道の石灯籠

苔むす並木に石灯籠。ちょっと傾いた玉垣。歴史を感じる。
後ろには、奉納者名を彫った石柱がずらりと並ぶ。200万円がどこまでも続いている。

20211103 旭社

もう着いた、と思ったが着いてなかった。旭社という社殿である。
金刀比羅宮の説明によれば、御祭神は、

「天御中主神・高皇産霊神・神皇産霊神・伊邪那岐神・伊邪那美神・天照大御神・天津神・国津神・八百万神」

である。ん?
伊邪那岐神、伊邪那美神、天照大御神はいい。でも、天御中主神、高皇産霊神、神皇産霊神は、天地開闢の神々とされるが、古事記や日本書紀にはその名前しかなく、何の神様だかわからない神様たちである。
でもでも、さらにさらに「天津神・国津神・八百万神」っていったい何だろう?
私の理解が正しければ、「天津神」は天から降臨したすべての神々で、先の天御中主神・高皇産霊神・神皇産霊神・伊邪那岐神・伊邪那美神・天照大御神を含む神様たち。そして、「国津神」は、地上に現れたすべての神様たち。さらには、「八百万神」はたくさんの神様の意味...

結局、御祭神は、「神様全部」なのだろうか?

20211103 こんぴらさん御本宮展望台

御本宮に到着。展望台からは讃岐平野を一望。讃岐富士がかわいらしい。

20211103 こんぴらさん百度石

これは百度石。願をかけながら100回参拝すれば願いがかなうという。1度参拝するごとに、石の上部のそろばんのような札を動かして数を記録する。
気になるのは、参拝「1回」。よく境内の入り口から百度石を1往復で1回とかいうが、こんぴらさんの入り口は石段の遥か下。

20211103 こんぴらさん奥社へ

石段は御本宮で終わりではない。
御本宮の右手から、さらに奥社への石段の参道が続く。

20211103 こんぴらさん白峰神社

途中にある白峰神社。朱が美しい。休憩している人多数。

20211103 こんぴらさん奥社への石段は続く

石段は続くよどこまでも。でも奥社へはトラバースの平らな道も長い。
全体的にしっかりとした広い道で、歩きやすい。

20211103 こんぴらさん奥社に到着

奥社に到着。正真正銘のてっぺん。御本宮の荘厳さと比べ、こじんまりとして静か。

20211103 こんぴらさんの石段は1368段

石段がきついと聞いていたが、息が切れることもなく一気に上り切った。
大山登山マラソンで駆け上った、大山阿夫利神社下社への参道(「大山登山マラソン参戦」)のほうがずっときつい。
こんぴらさんの参道の石段は1368段。奥社の標高は421m。それに対して、阿夫利神社下社の参道では、1610段。標高差は500mくらい。こんぴらさんの参道は広くてしっかり整備されていて歩きやすいが、阿夫利神社下社の参道は、石段がやたら急だったり、崩れかけているところもあって、ボロくて歩きにくい。

20211103 こんぴらさん奥社からの展望

奥社は木立に囲まれていて、あまり展望はよくない。それでも、御本宮より一段高い景色が眺められる。

20211103 こんぴらさん御本宮に戻ってきた。

御本宮に戻ってきた。
広々とした境内に、御本宮のほか、三穂津姫社や絵馬堂が並んでいる。

20211103 こんぴらさん絵馬堂

絵馬堂には奉納された船の写真がずらり。御本宮の御祭神の大物主神は、海上守護の神様でもある。

20211103 こんぴらさん参道を戻る

上ってきた階段をひたすら下り、戻る。

20211103 うどんのいわのや

はらへった~。今日は徹底的にうどんを食べよう。と、やってきたのは、こんぴらさんから琴平駅の反対側にある「いわのや」。うどん県らしいセルフうどんのお店。

20211103 本場釜玉うどん

入口でうどんの種類を告げて、ゆでている間にトッピングを選ぶ。
頼んだのは、釜玉うどん大盛。トッピングはゲソの天ぷらとナスの天ぷら。
本場の釜玉うどんを食べてみたかった。

しっかりとしたコシ、かむと伝わる小麦のあまさ。うまい。さすが本場。
(そして参道の店より安い)

腹いっぱいになって、次の目的地、琴弾公園へ向かう。
子供の時に読んだ本に、日本の七不思議のひとつとして琴弾公園の銭形砂絵が紹介されていた。ここまで来たからには、ぜひ見たい。

20211103 観音寺の琴弾公園へ

琴平駅から多度津駅で乗り換えて、琴弾公園のある観音寺駅まで行く。
しかし、列車の本数が少ない。そして、なぜか今の時間帯は特急しかない。普通列車で行っても1時間かからない距離だが、普通列車を待っている時間がもったいない。しかたなく、特急南風、しおかぜを乗り継ぐ贅沢な旅をする。

観音寺駅に到着し、琴弾公園へのバスを探す。本数が少なくて時間が合わない。公園の展望台まで登りもあるし、ここは贅沢にタクシーとする。

観音寺駅に向かう列車の車中で気づいたのだが、こんぴらさんの山がずっと進行方向左手に見えている。もしかして、琴平駅から観音寺駅まで、鉄道はぐるっと大回りしているが、山を挟んで直線距離は近いのではないか?と思っていたら、観音寺駅で琴平行きのバス時刻表を発見した。この路線に乗ればよかった(後で調べたら祭日は運休)。

20211103 琴弾公園の銭形砂絵

公園内の山の頂上の展望台まで、タクシーで10余分。おお、なんかすげ~。
浜の松原の真ん中に、まあるくぽっかりと巨大な孔が。隕石のクレーターでも、UFOの着陸した跡でもない。そこには寛永通宝。なぜに寛永通宝?

なんでも、寛永十年(1633年)に、巡視に来た領主を迎えるために一夜で作ったという。でもなぜに寛永通宝?一夜で作ったもの(本当なら)すごいが、展望台から見て、ちょうどまるく見えるように、わざと東西122m、南北90mの楕円形に作ったというところもすごい。

20211103 琴弾八幡宮からの展望

展望台のすぐ裏には、琴弾八幡宮があって、ここからの景色もすばらしい。新居浜の方向が見えている。あの大きな山は明日登る、東赤石山だろうか。

20211103 銭形砂絵を至近距離から

浜に下りてきて、銭形砂絵を近くで見るとこんな感じ。

20211103 有明浜

美しい渚、有明浜。奥の山々もいい。左のへんな建物は何だろう。

冷たい空気。強い日差し。見渡す限りの水平面。そして無風...もしや。
私のブログを読んでいる方ならお気づきかもしれない。
水平線に目を走らせる。

20211103 有明浜の蜃気楼

やっぱり。蜃気楼発見。

浮き上がっている量が少ないのでわかりにくいが、正面の岸辺の白く崖のような部分の下半分が蜃気楼だ。自称蜃気楼評論家である私が勝手に分類した、丘だけ写っているタイプ(「塩湖の蜃気楼百景」)。
世界のあちこちで蜃気楼を見てきたが、日本で見たのは初めてだ。

帰りは観音寺駅まで歩く。20分くらい。
観音寺駅からは、また仕方なく特急に乗り、今夜の宿がある新居浜へ。

20211103 新居浜駅から夕暮れの石鎚山脈

新居浜駅に着いた時には日が暮れていた。
駅の向こうには弱々しい光に照らされた山々が連なる。明日登る石鎚山脈の山々だ。

今日は、こんぴらさんの石段に、銭形の砂絵、おまけに蜃気楼まで、てんこ盛りの観光の一日だった。

次回に続く)

コメントはお気軽にどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です