パフィン、氷河、蜃気楼~アイスランド&グリーンランド(8)
8/6 レイキャビック~ヴィーク~スカフタフェットル
(前回の続き)
ヴィークは海辺の小さな街だ。そのドライブインの駐車場にバスは停車。ドライバーが1時間後の出発を告げる。はっ?1時間?聞きなおしたがやっぱり1時間だ。時刻は1時半、どうも昼食の休憩らしい。ドライバーが「浜辺をずっと行ったところの崖にパフィンがいる」と言うので、食事は後回しにして海岸に出る。すっかり天気は回復して陽射しが眩しい。確かに鳥がいっぱい飛んでいて、海に突入したりしているのだが、アジサシのように見える。
真っ黒いサラサラした砂の海岸。溶岩が崩れてできた砂のようだ。浜辺はぐるりと崖に囲まれている。

波打ち際に沿って西へ10分ほど歩くと海に突き出た崖に行く手を阻まれる。ここかな?鳥はたくさん飛んでいるんだけど、どれがパフィンやらさっぱりわからない…

ここに来てからすでに30分たった。急いでドライブインに戻ってランチにしなければ。花咲き乱れる海岸沿いの遊歩道を急ぎ足で歩く。意味が分かるようで分からないオブジェが。アイスランドにはこの手の現代美術的オブジェがあちこちにある。

駐車場にあった周辺地図。海沿いの実線が今いるハイウエー1号。白いのは氷河。太い点線は内陸に向かう幹線道路だが、点線は未舗装を表す。それも4WD以外通行不可だ。恐るべし。そして右側の看板は地図上の観光地ほか、宿泊施設、キャンプ場、トイレやシャワーの有無などこと細かに書かれている。日本も観光に力を入れるならこれくらいしないと。
再びバスは東へ。お腹がいっぱいになりねむくなる…と思いきや、ヴィークからフランス人高校生らしき20人くらいの団体がバスに乗り込んで、ギャーギャー騒いでいる。うるさくて眠れない。欧米人も子供はうるさい。というか日本の高校生よりうるさい。
車窓から外を眺めれば、遠くの山、いや、地平線付近に並ぶ山の連なりすべてが、すっぽりと白いものに覆われている。氷河だ。
緑の多かった景色は一変し、無数の川と河原を延々と横切る。”Skeiðarársandur”と呼ばれる場所だ。氷河から流れ出る川や、さらには火山が氷河の中で噴火して起きた大洪水によって作られた、河原のような場所だ。それが50km以上続いている。幅50kmの黒い河原だと思ってもらっていい。
まっ平らな平原。照りつける太陽。無風。自称、蜃気楼ウォッチャーのアンテナがピン!と立つ。海側の平原の地平線に目を凝らす。やっぱりあった、蜃気楼だ。地平線の陸地が浮かんで見える。蜃気楼は暑くないと見えないと思う人がいるかもしれないが、そうでもない。今の気温は15度くらいだろう。今まで、サハラ、タクラマカン、ナミブの砂漠、パタゴニアで蜃気楼を見た。確かに敦煌郊外のタクラマカン砂漠で見たときは気温が40度を越え、まるで大洋のど真ん中にいるような見事なものだったが、チュニジアのサハラ砂漠で見たときは、気温は0度以下で砂漠に霜が下りているほどだった。

Skeiðarársandurは続く、延々と続く。高校生もずっとうるさい…。前方に新たな氷河が見えてきた。
相変らずSkeiðarársandurにいるのだが、氷河がどんどん近づいてきた。このヴァトナ氷河の麓に今日の目的地、スカフタフェットルがある。今見ているのはヴァトナ氷河のほんのすそ、レースのテーブルクロスの端っこの模様の1つくらいのものだ。ヴァトナ氷河は(アイスランド人いわく)ヨーロッパ最大の氷河で面積は8,100 km²、静岡県よりでかい。う~ん、でかい。

(次回に続く)
赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…