奥秩父の気になる稜線~柳沢峠から甲武信ヶ岳(2)

10/25 笠取小屋~古礼山~雁坂峠~破風山~甲武信岳~西沢渓谷入口

前回の続き)

昨日は冷えたがまあまあ眠れた。ペラペラの夏用シュラフでも、エアマットを敷けば何とかなる。
棒ラーメンの朝食をさっと済ませ、テントの外に出る。寒い。とても寒い。テントが結露しているわけだ。

まだ、周りのテントはほとんどが眠っている。さっさとテントをたたんで出発。
今日は、雁坂峠を越え、甲武信岳を打って西沢渓谷に下りる。先は長い。

201025 笠取山と月

笠取山への分岐を右に分け、ヘッドランプの光を頼りに雁峠方面へ向かう。
東の空が明るくなってきた。なるほど、笠取山のシルエットが編み笠のように見える。

201025 雁峠

雁峠。当たり前だが誰もいない。静かだ。
熊鈴を忘れてたので、歩いていても落ち葉を踏む音しか聞こえない。この寒さで熊もじっとしていてくれればいいのだが...

201025 燕山で日の出

雁峠からひと登りして、燕山山頂で日の出を迎える。
今日は雲ひとつない快晴。雪をまとった南アルプスがくっきりと見える。

201024 夜明けの富士山

もちろん、夜明けの富士山も美しい。

201025 古礼山へ

古礼山へは、歩きやすい笹に覆われた稜線の縦走路。
でも、足が冷たくて足の指の感覚がなくなってきた。ゴアの防水のトレランシューズを履き、ランニング用のウールのハイソックスを履いているが、トレッキングシューズに比べると防寒性はないに等しい。

201025 霜が降りている

寒いよな...

201025 自画像

太陽を背にして自撮り。
静かで冷たく張り詰めた空気が何ともいえない。

201225 古礼山の展望台

古礼山の山頂の手前に、高原のように開けた展望台がある。富士山はもちろん、長く連なる南アルプスの山々を見わたすことができる。
ベンチがあるので、ゆっくり休みたいところだが、じっとしていると寒いし先も長いので、写真を撮ってそそくさと出発。

201025 古礼山山頂

樹林と笹原の古礼山山頂。
ここで、今日の第一登山者発見。

201025 古礼山山頂から大菩薩方面を眺める

南側の展望は雄大だ。
昨日、走ってきた稜線を目で追う。左上の山群の一番高いでっぱりが大菩薩嶺。それにほぼ重なるように、ちょっと迷った電波塔のピークがある。そこから画面を右へ横切るように低い稜線が続き、富士山の下あたりが倉掛山。稜線は180度方向を変え、今度は画面を左へ横切るように伸びて、白沢峠で標高を落とし、再び高度を上げ、画面の左端でヤブ沢峠に至る。
長いな~、よく走ったな~、でも楽しかったな~。

201025 古礼山から苔の森を下る

古礼山から道は北に向かって下り始める。そして景色は一変する。
コメツガ、トウヒの深い針葉樹林。そして倒木や地面を覆いつくす苔。自分にとって「奥秩父らしい」景色だ。ルートバーントラック(「ルートバーン・トラックへ」)をも思い出させ、別世界感も満点である。

201025 奥秩父の苔

ここ数日、晴れが続いていたので、苔もちょっとパサつき気味。
途中で、前回来た時に写真に撮った、苔に覆われた標柱(「うっかり遅出~奥秩父東部縦走(3)」)を再発見した。10年前とほぼ変わらぬ苔に覆われた姿で、そこにあったので少し感動した。おそらく、この苔の森は10年後も変わらぬ姿でここにあるのだろう。そして、さらに私がこの世から消えた後も、ずっと変わらぬ姿でここにあるのだろう、いや、あって欲しい。

201025 雁坂峠が見えてきた

水晶山を越え、樹林を出るとまた笹原が広がる。
雁坂峠が見えてきた。

201025 雁坂峠

雁坂峠に到着。
三伏峠、針ノ木峠と並び、日本三大峠と称される。
国道140号線の旧道と奥秩父主稜線が交わる峠であり、平成10年に雁坂トンネルが開通するまでは、国道140号線で山梨県から埼玉県へ抜けるためには、歩いてこの峠を越えなければならなかった。

この先、雁坂峠から戸渡尾根分岐までは、私にとって未踏の稜線だ。奥秩父主稜線の真ん中だけ欠けていたのでとても気になっていた。
どんな道なのだろう?どんな景色が広がっているのだろう?楽しみだ。

日が高くなって暑くなってきた。フリースを脱いで出発。

201025 雁坂峠から再び針葉樹林

雁坂峠から、樹林帯に出たり入ったりしながら破風山へ登ってゆく。

201025 雁坂嶺から破風山へ

雁坂嶺を越えると山の様子が変わる。
たおやかな笹原は消え、両側が切れた細い稜線に針葉樹がへばりついている。

201025 破風山から海を眺める

あっ、海だ。奥秩父から海が見えるんだ。
見えてもおかしくないけど、まったく意識したことはなかった。

201024 破風山山頂

破風山の前後は、露岩帯が続き、とても走れるような道ではない。予定のコースタイムよりちょっと遅れ気味だが、せっかくなので休憩してのんびりとミニ羊羹を食べる。

201025 破風山の露岩帯

露岩帯の景色もまたよし。

201025 破風山から破風山避難小屋への下り

山と高原地図には、破風山から破風山避難小屋へのルートに「急坂」と書いてある。急坂ね~、と気にも留めていなかった。しかし、行ってみれば破風山から甲武信岳の方向は、崖になっていて道がない?いや、崖に近寄って下をのぞき込むと、露岩の道がつながっていた。これは、水が流れていたら「滝」と呼ばれそうだ。たぶん落ちて死ぬことはなく、それほど危険ではなさそうだ。でも、走って下りたら膝が壊れそうだ。

次回に続く)

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