氷河トレック@ペリト・モレノ氷河~アルゼンチン、パタゴニアの旅(11)
1/21 エル・カラファテ~ペリト・モレノ氷河~エル・カラファテ
(前回の続き)
いったん氷河の淵まで下りて、そこから氷の上にのる。まず出迎えてくれたのは、氷のトンネル。
中は青い世界。不思議な浮遊感。
油断していると、ガゴン、と頭を打つ。ヘルメットは必須である。
鉄下駄のようなアイゼンは、歯が丸まっていて氷に刺さらない。でも、氷の表面がザラザラしているので、問題なく歩ける。
フィツロイの埃で薄汚れたトレッキングシューズで、ブルーハワイのかき氷の上を歩く。
氷の中に小石が閉じ込められている。青い海のなかに小石が漂っているかのようだ。
表面に水が流れているところは、青さが際立っている。
弱い風があり、主稜線は雲に覆われているものの、まずまずの天気。悪天で途中で打ち切ることも多いそうだ。
ビレイされてクレバスをのぞき込む。
ロープは両方ともインクノットで固定されている。
クレバスの向こうには別の隊が歩いていた。
肝心のクレバスの中の写真は撮り忘れた。
氷河には無数の亀裂が走り、そこに水が流れ小川になっている。
小さなクレバスをおっかなびっくり渡る。
クレバスが水で満たされていると、みんな平気でその縁を歩く。落ちても水に浮くという安心感だろうか。
ちょっと辟易したのが、アメリカ人の写真好き、とってちゃん。青い亀裂があると、いちいちその前に女性がでてきて、腰と頭に手をやってポーズをとる。するとすかさず連れの男性が写真を撮る。他の人が先にカメラを構えていてもお構いなしだ。それもすべてのアメリカ人カップルが。
家に帰ったとき、彼女は同じような自分の写真を、何十枚も見ることだろう。
アメリカ人は、アメリカ人どうしで大声で話しながら群れて歩いている。日本人は群れるとか言う人がいるが、アメリカ人のほうが非英語圏ではよっぽど群れると思う。
氷河の奥へ進む。できれば、あの正面の山まで行きたいんだけどな...あの向こうには南パタゴニア氷原がある。
平らな場所でランチ。昨日、スーパーで買ったハムチーズサンドと牛乳、そして赤いリンゴ。
ハムチーズサンド、期待はしていなかったがうまい。
氷河の上には、飛沫をあげて流れる激流もある。
ガイドが、時間だから引き返すと皆に告げる。
ひとりのアメリカ人が、あそこに見える丘に登りたいとガイドに盛んに訴えている。ガイドはずっと首を横に振っていたが、とうとう根負けして丘に行くことになった。
困ったアメリカ人だな。でもこういうアメリカ人は好きだ。
丘に登る。さすがに眺めがいい。でかしたぞ、アメリカ人。
ペリト・モレノ氷河を挟む山にも氷河。Co. Cervantesだろうか。
丘に登った後、足早に来た道を船着き場に戻る。
滝まで戻ってきた。こちらから見たほうがかっこいいな。
氷河の末端の小屋で、装備を返却してトレッキング終了。
船着き場へ戻る途中、カラファテの実がたくさんなっていた。
「エル・カラファテ」”El Calafate”という街の名前は、このカラファテ”Calafete”という木からきている。この実を食べると再びエル・カラファテを訪れることができるという。前回エル・カラファテに来た時(「エル・カラファテに到着!したものの…」)には、無念を晴らすべく再訪を誓ったが、残念ながら食べ損なった。でも大丈夫、こうしてまた来ているのだから。
念のため、1つ食べておく。ん~、渋い~。
ガイドが、あと10日もすれば甘くなると説明する。
その横で、例のアメリカ人カップルたちが、バクバクと実を摘んで食べていた。
船が来るまで20分ある。その間でなんとしても氷河が崩れる写真を撮ろう。
待てど暮らせど氷河は崩れない。
でもいいか、こんな景色を見ながらのんびりできるのだから。
帰りの船で、氷河の氷のウイスキー・オンザロックが振舞われた。粋だね~。
はるか昔に氷に閉じ込められた空気がプチプチといっている。
ペリト・モレノ氷河に乾杯、素晴らしい旅に乾杯。
あそこにも、氷河が崩れるのを待っている人たちがいる。
今日は、ずっと穏やかな天気だった。ラッキーだった。
氷河がだんだん小さくなっていく。
バスで街に向かうと思ったら、すぐに駐車場に止まる。展望台があるとのこと。
カメラを持って、外に出る。日が傾き、風が強く、冷たくなってきた。
ペリト・モレノ氷河は既に暗く沈んでいる。最後に氷河の姿を目に焼き付け、バスに戻る。
帰りのバスは爆睡。なんにも覚えていない。
宿でシャワーを浴び、ディナーのために街に出る。
街の中心からちょっとはずれたところにある、アサードレストラン”La Tablita”。なかなかの人気店のようで、20分待つと言われた。が、ラッキーなことに5分で入れた。
まず、シラーズのグラスを頼む。これをピリ辛の豆のコンフィ(パンの付け合わせ)をつまみに飲む。
そして、もちろんステーキ、”Bufe de Lomo”。ハーフだけどボリューム十分。ワインは、3種類もあるマルベックのグラスから1つ選ぶ。
う~ん、肉もワインも昨日よりうまい。
いい気分で宿に戻る。
荷物の整理もせずにそのままベッドへ。
(次回に続く)
赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…