ラストスキー@針ノ木雪渓マヤクボ沢~針ノ木岳


5/16 扇沢~針ノ木雪渓~マヤクボ沢~針ノ木岳~針ノ木雪渓~扇沢

100516扇沢針ノ木岳登山口

雪の季節はかくも短く、今日は針ノ木雪渓で今シーズン最後のスキー。

天気予報は今日一日の晴れを告げている。気温はかなり上がるらしいが、朝6時の空気冷たく肌寒い。扇沢の駐車場から行く手に、青空をバックに雪をかぶった白い稜線が見える。気分が盛り上がる。ザックにスキーをくくりつけて出発。

100516針ノ木雪渓大沢小屋に到着

大沢小屋の手前で最後の堰堤を越える。夏道は小屋まで雪渓の左岸を大きくまわり込むようについているが、この時期は右岸を雪渓に沿って真っ直ぐ小屋に向かう。なので扇沢から小屋まで1時間しかかからない。

雪渓は首をもたげるかのように立ち上がって稜線に続く。この真正面が目指すマヤクボ沢のカールだ。えらい急だな、おまけに遠いな…

100516針ノ木雪渓シールで登る

雪面の木の枝や砂が少なくなってきたので、シールをつけてスキーで登り始める。スキーをはずしザックが軽くなったので足取りも軽い。しかし、日差しが当たり始め、歩いていると暑くなる。でも雪渓を吹き抜ける風は冷たい。上着を着たらいいのか、脱いだらいいのか…

100516針ノ木雪渓から爺ヶ岳を振り返る

はじめはなだらかだったが、だんだん傾斜が急になる。2、3日前に雪が降ったようで、雪面には薄く雪が積もっているが、その下はカチカチの氷。油断するとシールが負けてずり下がる。かかとに気合を入れながら、一歩一歩登ってゆく。ポツリポツリと登山者がいるが、あちこちでずりずりと滑って転んでいる。

一息ついて登ってきたルートを振り返る。大沢小屋を見下ろし、その後には大きな爺ヶ岳。そして耳を澄ませば、うぐいすのさえずりが聞こえる。

100516針ノ木雪渓デブリ

雪渓に流れ込むいくつもの沢からは、生々しいデブリ(雪崩の跡)が流れ込んでいる。こんなのにやられたらかなわんな~、と見ていると、「ラーク」、の叫びとともに反対の岸から落石が。雪の上にはいくつもの小石、いや大石も落ちている。さすが落石の名所だ。

100516針ノ木雪渓マヤクボ沢分岐

2050mを越えるあたりで雰囲気が一変し、沢が開けた解放感あふれる場所になる。傾斜が緩んだので、ザックを置いて一休みする。とは言っても、うかつにスキーを脱げば滑っていってしまうくらいの傾斜はある。

正面を登れば針ノ木峠、右に入ればマヤクボ沢から針ノ木岳に至る。

100516針ノ木峠

マヤクボ沢出合いから見た針ノ木峠。夏に来るとこの峠までの詰めは、圧迫感のある狭い谷だ。しかし、今は雪に埋もれて、別の場所とも思えるほど明るい谷になっている。

100516針ノ木雪渓からマヤクボ沢

我々は出合から右に折れて、マヤクボ沢に入る。マヤクボ沢上部はこれまで以上に傾斜がある。雪がカチカチなので、念のためスキーを脱いでアイゼンで登ることにした。あ~、またザックが重くなった。

100516マヤクボ沢の急登

マヤクボ沢は朝から強い日差しに照らされているため、予想に反して雪はグサグサだった。ズボズボ雪にもぐりながら急な沢を登る。しんどい。暑い。途中で我慢できなくなり、急登の途中でザックを降ろしてスキーを履いた。

100516針ノ木稜線

結局シールで稜線に出た。目の前に針ノ木岳直下の雪壁がある。頂上に行くにはあれを登らなければいけない。帰りはここから滑り出すことにしてスキーをデポし、またアイゼンを履いて歩き始める。

100516針ノ木岳手前の雪壁いや~、これはかなり急だ。凍っていたらロープで確保したいくらいだ。


100516針ノ木岳山頂到着

頂上に到達。スキーをデポしたところからすぐ、10分くらいだった。目の前には岩と雪渓の剱岳。いいね~。

山頂からのパノラマ。左端の山頂が蓮華岳で、右端が爺ヶ岳。文字通り360°の展望。

100516針ノ木から槍穂高

一瞬黒部ダムかと思ったが、方向がぜんぜん違う。高瀬ダムだった。とすると、右側の尾根が北鎌尾根だ。その奥に槍、穂高が頭を出している。

100516山頂から下山

山頂からの展望を十分楽しんだので、スキーをデポしたところまでもどる。この雪の残り具合と暑いくらいの天気が、ヤマケイ風に言えば「エンジョイ残雪の春山!」とでもいう感じだ。

100516雪壁を下る

登ってきたら下らねばならぬ。頂上直下の雪壁を下りる。直前を歩いていた他パーティーの女性は、正面をむいて下り始めたが、1mくらいのところでしりもちをついて、そのままザーッと下まで落ちていった。尻セードとのことだが、私には滑落にしか見えなかった…
我々は念のため後ろ向きに、そろりそろりと下る。

100516春山で休憩の図スキーまで戻って、残雪の北アを眺めながらのんびりと小休止。ヤマケイの表紙的雰囲気の一コマ。


100516マヤクボ沢ドロップイン

時は1時をまわった。十分休んだし、谷底の雪も十分緩んだだろう。尾根の淵に立ってマヤクボ沢を眺める。出だしは急で下がよく見えないが、登ってきたところなので問題はない。その先は針ノ木雪渓の末端までずっと見えている。

さて、心待ちにした時がやってきた。爺ヶ岳に向かってドロップイン!

100516マヤクボ沢大トラバース

むう…勢いよく滑り出したが雪がめちゃくちゃ重い、重すぎる。気温がかなり高いので、朝、カチカチに凍っていた氷の層までぐしゃぐしゃになっている。足をとられないように、ジャンプ気味にターンしてみると、スキーでおされた雪が、一抱えもあるボールになって転がり落ちゆく。下には登ってくる人がいるから、これはいかんな…

気が付けば、私より先に滑り始めたメンバーが、なぜか広い沢のはるか端っこまでトラバースしている。どうしたことだ?
あとで聞いてみたら、雪が重すぎてターンできなかったとのこと。

100516シュプールだらけのマヤクボ沢

朝は2、3のシュプールしかなかった雪面は、もう落書きだらけ。

100516スバリ岳

登ってきたルートは、ところどころ岩が頭を出しているので、スバリ岳側の沢筋にトラバースする。ちょっとカナダっぽい日本離れした景色。これで雪が良かったらな~。

100516荒れる雪面

2時間かかって登ったマヤクボ沢を、休み休みながらも20分ほどで滑り降りて針ノ木雪渓に入る。そして、朝は凍っていて、みんなこけていた雪渓もぐしゃぐしゃ。行きにはなかった雪の塊や岩が、そここに落ちている…

デブリでボコボコになった雪面をモーグルのように膝で吸収しながら、ショートターンで滑る。予想外になかなか楽しい。そして、一番滑りにくいのは、デブリでも露岩でもなく、つぼ足登山者の深い足跡の列だ。

100516針ノ木雪渓を振り返る

急傾斜も終わり大沢小屋も近い。足を止めて山を振り返る。ついさっきまで滑っていたマヤクボ沢が高く遠くに見える。いや~、雪は悪かったけどそれなりに楽しかった。天気も良かったし、景色も良かった。スキー・シーズン最後にふさわしい山行だった。

100516最後の滑り大沢小屋から先は、右岸に沿ってスキーのトレースが一直線に続いている。傾斜はそれほどないが、固く踏み固められて、思いのほかスピードがでる。細いトレースをジェットコースターのようにすっ飛んで行く。


100516扇沢駐車場雪の割れ目に頭を出したフキノトウを摘み摘み、扇沢の駐車場に戻ってきた。朝は登山者しかいなかった駐車場が、観光バスでいっぱいだ。下界に戻ってきた。
ここで思わずコーラを買う。どうも、先々週の五竜岳からコーラ中毒になってしまったようだ。


100516大町温泉薬師の湯今日も暑くてたっぷり汗をかいた。大町温泉薬師の湯で汗を流す。べつにどうという温泉でもないが、帰り道のわきにあるので、扇沢からの帰りはいつもここだ。


(針ノ木岳、完)

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