叶わぬユーシンブルー~鍋割山

10/7 寄~雨山峠~鍋割山~大倉

「ユーシンブルー」なるものをご存じだろうか?丹沢の玄倉上流部、ユーシン渓谷の沢の水は透き通った青色に見えることから、それを「ユーシンブルー」と言うらしい。

丹沢には幾度となく行っているが、ユーシン渓谷には行ったことがない。それは、玄倉のバス停からユーシン渓谷に続く道路は、崩落のためかなり前から車両通行禁止であり、ユーシンブルーを見に行くためには、私の三大忌避である長い林道歩きが避けられないからだ。

ユーシンブルーってどんだけ青いのだろう?青い水の沢と言えば、東沢のほら貝のゴルジュ(「名渓でスラブを堪能・・・釜の沢・東俣から甲武信ヶ岳」)を思い出すが、これより青いのだろうか?

行って確かめるしかない。
とは言え、林道歩きは嫌なので、寄から雨山峠を越えてユーシンロッジに至るルートを取る。ついでに、ずっと気になっていた同角山稜の道を使って檜洞丸に登ろう。

早朝5時、快晴の夜明けの空の下、家をでる。少し歩いただけで暑くなってきた。10月とは思えない気温だ。

181007 寄バス停から歩き始める

新松田駅からバスに乗り、終点の寄(やどりき)で下りる。ここからしばらくは山に向かって舗装道路を歩く、いや、走る。
天気予報は「晴れ」だが、どう見ても山はねずみ色の雲に覆われている。ユーシンブルーは晴れていないと見えないが、大丈夫だろうか...

181007 道路の終点、水源林

道路はまっすぐに「やどりき水源林」に続いている。
ためらうことなく入っていく。と、管理棟の人に声をかけられた。用意しておいた計画書を手渡し、沢の様子を聞く。台風が去ったばかりなのでちょっと心配なのだ。しかし、多少、増水しているが問題ないとのこと。

181007 雨山峠の登山口

水源林の入り口から数分で登山口に到着。
雨山峠までは事故多発とある。どんだけ危ない道なのだ?

181007 寄沢の最初の渡渉

渡渉一発目。多少水の勢いが強い。失敗したわけではないのに靴が濡れた。

181007 堰堤の上の広い河原

いくつもの渡渉を繰り返し、2つのパーティーを追い抜く。そして堰堤の上の広大な河原を横切る。対岸に道標が小さく見える。これは視界がないときは迷いやすいな。

181007 山崩れ

また、いくつもの渡渉を繰り返し、今度は山崩れ。

181007 尾根に取りつく

雨山峠への道は、基本的に寄沢に沿った沢沿いの道だが、一時尾根道になる。本格的な登りがやっと始まる。

181007 雨山峠への尾根道

気持ちのいい尾根道。紅葉がさぞきれいだろう。来年はもうちょっと遅い時期に来よう。
しかし、危険というほどの道ではないよな...

181007 尾根道が終わり沢に下りる

尾根道が終わって沢に下りる。道はどこだ?
ん?沢の中に道標があって、その矢印は沢の上流を向いているが...

181007 雨山峠への道は沢だった

謹んで訂正します。沢沿いの道ではなく、沢そのものでした。
このスラブ状の沢の中を登っていくのだ。苔がないので滑らずに歩けるが、でも危ないよ。もし沢登りに行って、こんなところをメンバーがノーヘルで歩いていたら、怒鳴りつけると思う。
それに、雨降って、上流で山崩れがあったら完全にアウトだ。

181007 雨山峠はもうすぐ

荒れた沢の中を登っていくと、沢の中に天から階段が下りている。あれを登るのか。蜘蛛の糸みたいだな。

181007 雨山峠

階段を登ると、そこは雨山峠だった。バス停から1時間20分。山と渓谷地図で3時間だから、まあまあのペースで来れたかな。
ここに来るのは、塔ノ岳からシダンゴ山を縦走して以来だ(「天気は爽快、足取りも軽い~塔ノ岳からシダンゴ山」)。たぶん何も変わっていない。

ここからは、ユーシンロッジを目指して反対側に駆け下る。

181007 ユーシンロッジへは倒木で通行できない

ああっ!恐れていたことが。
台風でなぎ倒されたと思しき倒木が道をふさいでいる。

倒木は、土の塊を根につけたまま根こそぎ倒れ、その根と土の塊が道をふさいでいる。
先に行くには、その土の塊を乗り越えるか、倒木をよじ登るしかない。
葉っぱのついているあたりは、その先はすぐ堰堤で、3メートルほどの高さで沢床まですとんと落ちている。こちらはあり得ない。
なので、幹のあたりを越えなければいけないのだが、写真ではわかりにくいが、一番高い所は私の背の高さより高い。なので完全に木によじ登ることになる。近づいて幹に手を置くと、バラバラと土の塊が上から落ちてくる。フレッシュな倒木だ、おっかないよ~。木に乗ったままズリズリと堰堤から落ちてしまったら、タダでは済まない。

う~ん。補助ロープがあれば懸垂すれば済むのだが、トレランに補助ロープを持ってくるほど私はバカではない。
しばらく右往左往して、あきらめた。怪我してもつまらない。戻ろう。
ユーシンブルー、叶わず。

テンションがゼロになり、雨山峠まで登り返す。出発してすぐ追い越したパーティーとまた一緒になる。

雨山峠から鍋割山を経由して大倉に下りることにした。
鍋割山への道はいやらしいところがあるんだよね...倒木がなければいいけど。

181007 ホトトギス

気候のせいだろうか、ホトトギスをよく見かける。

181007 秋の気配

稜線は、秋の気配。いつの間にか天気も良くなっている。

181007 ずりずりの鎖場

「ずりずりーの鎖場」(by惰性人)。風化した花崗岩の斜面で、一見、簡単そうに見えるが、実は登山靴では全くフリクションが効かず、ずりずりー、と滑ってしまう恐怖の鎖場。
なんか、上のほうで倒木が道をふさいでいるぞ(以前の姿「崩れる道、植林の道~塔ノ岳からシダンゴ山」)。
嫌だな~。

嫌がっていてもしかたがないので登る。幸いにして倒木と斜面の間に隙間があったので、体をズリズリと潜り込ませて、くぐり抜けて突破。

181007 鍋割峠

鍋割峠かな。鍋割山まではもうひと登り。

181007 鍋割山の下り

鍋割山通過。すぐに下る。だって、小屋の前の広場に座る場所がないほど、人でいっぱいだから。
もう、あとは走って下るだけ。

そういえばハイカーから、「なんで熊鈴をつけているのですか?熊がいるのですか?」と話しかけられた。
これは、熊のためではなく、人のためです。背後をひたひたと歩いていると、ハイカーの皆さんがびっくりするので、驚かせないように鈴で私の接近を知らせているのです。

二俣からの林道もノンストップで走り続け、あっという間に大倉に到着。
それにしても10月とは思えないほど暑い。30℃以上あるんじゃないだろうか。今日はハセツネ。そろそろスタートした時間だが、季節外れのこの暑さは、選手にとって地獄の試練だろう。

181007 弘法の里湯

汗だくになった私は、いつもの通り鶴巻温泉の「弘法の里湯」へ。

来年は、ユーシンブルーと同角山稜にリベンジた。

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