暑さに負けた…~谷川岳・蓬峠(2)
7/15 谷川岳ロープウエイ~谷川岳~茂倉岳~蓬峠~土樽
(前回の続き)
一ノ倉沢への登りにかかる。
振り返れば、トマノ耳から西に延びる国境稜線。この群馬と新潟を分ける稜線は、平標山で南に折れ、そして三国峠でまた西に進路を変え、野反湖を経てはるか志賀高原まで続いている。ずっと完遂したいと思っているが、まだかなえていない。
一ノ倉岳山頂に到着。山頂といっても、なだらかな縦走路の途中という感じ。山頂にはドラム缶式の避難小屋がある。中からラジオの音がする。誰かお泊りしたようだ。
一ノ倉岳までは細い岩尾根だが、一ノ倉岳から先は、笹に覆われたなだらかな稜線が続く、穏やかな山になる。
ニッコウキスゲが満開だ。後ろの山々もいい。来てよかった。
茂倉岳山頂で一休み。これから行く武能岳が大きい。途中、陽射しを遮るものは全くない。暑い。帽子を忘れてしまったので、タオルでほっかぶりをしているが、頭に手をやると熱くなっている。暑さでペースもだんだん落ちている。う~ん、厳しい。
茂倉岳から駆け下る。足元が笹に覆われていて見えないので、慎重に走る。まだ刈払いが入っていないようだ。
若い女性が大きな荷物を背負って登ってきた。止まって道をあけると、滴る汗を拭きながら「先行ってください、少し休ませて」と。みんな暑さに苦しんでいる。
暑い…
笹の葉の露を腕や額にピタピタと当てる。あ~、冷たくて気持ちいい~。
腕に手を当てると、やや乾いて熱く感じる。ちょっと歩いただけで心拍数が150を越える。ああ、間違いなく熱中症になりかかっている。
ここまでは、朝日岳から白毛門まで行くことを考えて、1時間で200mlと、飲み水の制限をしながら来た。いつもだったらこれで行けたはずだ。だけど、今日の暑さは、このままだと本当に熱中症になってしまう。リミットを外して飲むことにする。
朝日岳に源を発する、湯檜曽川の沢の音が聞こえる。有名な沢だよね。水も冷たいよね。やっぱり夏は、縦走じゃなくて沢だよね…
もう、暑さでヘロヘロになって、なんとか武能岳を登り切った。この登りだけで250ml以上の水を飲んだ。写真だと爽快な夏山、って感じだが、実のところ単なる灼熱地獄である。
日陰がまったくない。ミニ羊羹を食べてすぐに出発。
武能岳を下り始める。足元に下山の判断をするチェックポイント、蓬峠の小屋が見える。その奥左手には、日本のマッターホルン、大源太山。正面右手最奥には、上越の隠れた名峰、柄沢山。柄沢山から巻機山への稜線も明瞭に見える。この稜線も行こう行こうとずっと思っているのだが、まだかなえていない。
武能岳を振り返る。
刈払いのされていない笹のトレースに難渋する。この辺りでは、対面からくるトレールランナーとよくすれ違う。
蓬峠に到着。
小屋の日陰で長めの休憩。
水が少ないので、小屋で水を買おうと思ったが、水は売り切れ。500mlのポカリを買って一気に飲み干す。水はあと500mlくらいしかない。ここから水場は往復30分。水をくんで、白毛門まで行って下山すると終バスの時間にギリギリだ。どうしようか…。
と、立ち上がろうとした瞬間に、左の太腿がつった。まだ熱中症になりかけているようだ。無理をしてもしょうがない、下山しよう。
暑さに負けた。
蓬峠から土樽に下る途中に水場がある。「この水うまし」と書いてあるが、本当にうまい。腹がガポガポになるまで飲んだ。生き返った~。
ここからは、土樽までひたすら下り。ほとんど樹林帯だが、標高が下がるにつれてますます暑くなってくる。途中、沢の水で頭を濡らそうとして、沢に落ちた。それもまた良し。靴をグジュグジュいわせながら、灼熱の道を土樽まで走る。
土樽駅は、1日5、6本しか上り列車が来ない厳しい駅なのだが、幸いにして水上行の列車がすぐに来た。自動販売機でコーラを買って、列車の中で一気飲みする。いくらでも水分を飲める気がする。
帰京する途中、上牧駅で下車して、10分ほど歩き上牧温泉「風和の湯」に行く。ちょっとわかりにくいが、上牧駅の前に看板があるので注意して見ること。
大きな温泉ではないが、源泉かけ流しで人も少ない。のんびりと湯につかる。
風呂上がりにビールで一杯やって、家路へとつく。
参考:
土合口5:00-7:30肩の小屋7:40-8:26茂倉岳8:31-10:00蓬峠10:20-12:05土樽
(谷川岳・蓬峠 完)
赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…