別天地・南島~小笠原諸島の旅(13)
5/5 父島・南島~ハートロック~兄島海中公園
(前回の続き)
まずはサンダルを洗ってボートに乗船。なぜ洗うか?それは南島に上陸するときに、サンダルの底についた土と一緒に外来の生物を持ち込まないためだ。
ウエットスーツを腰まではいて(ちと寒い)ボートに乗り込みいざ出発!船長はボートの屋根の上でクジラやイルカを探しながら舵をとる。正面から風と波しぶきをうけながら突き進む。
なんだかだんだん霧が濃くなってきた…クジラどころじゃないな。正面にボーっと南島が現われた。
南島に近づくにつれて明らかに潮の流れが速くなり、波が島の断崖に打ちつけている。船は大きく揺れ、落ちないようにみんな手すりにつかまる。崖と岩礁に囲まれた南島に上陸するには難所があり、波の具合によっては上陸できないらしい。青の洞窟みたいだ。
幸いなことに島を回り込むと海は穏やかになり、無事に難所を通過、船を付けることのできる鮫池に入ることができた。
南島は浸食された石灰岩の大地、カルスト地形が海に沈降してできた島だ。このような地形を「沈水カルスト地形」と言う。秋吉台が海に沈んだと思えばよろしい。石灰岩が浸食されてできるすり鉢型の地形、ドリーネが海に沈んだのがこの鮫池だ。南島全体が「小笠原南島の沈水カルスト地形」として国の特別天然記念物に指定されている。
南島にいざ上陸。ラピエ(石灰岩の露岩)に船を係留し、岩に飛び移りよじ登る。
島に上陸できるのは1日100人まで。1人のガイドが案内できるのは一度に15人まで。最大2時間。島の自然を守るために厳しい制限が課せられている。丘の上にはテントを張って制限が守られているか監視している人がいた(写真右上にテントが小さく写ってる)。
花。ガイドさんに言われるままに撮ったがなんだか忘れてしまった。きっと珍しい花に違いない。南島は無人島なので父島で絶滅してしまった生物も見られる。
丘の頂上に上がった。霧が晴れ、船をつけた鮫池が見渡せる。クレーターの水溜りみたいだ。
視線を鮫池から左に移す。そこには白い浜に囲まれ、外海と洞窟でつながった青い天然のプールがあった。扇池だ。別世界の美しさ。この景色を見るために小笠原に来たといってもいい。霧でちょっともやもやしているのと、美しさをうまく写真に残せないのが残念。
丘の上のラピエの割れ目にムニンキケマンが咲いていた。「ムニン」とは無人のことで小笠原の固有種には多い名前だが、このムニンキケマンは伊豆諸島にもあるそうだ。
扇池の浜に下りる。細かい珊瑚砂の浜に無数の貝殻が転がっている。カタツムリの化石だ。どんだけカタツムリがいたんだよ!。足の踏み場もないほど転がっていて、この特別天然記念物を踏まないように歩くのは至難の業だ。
ほとんどはヒロベソカタマイマイという貝だが、良く見ると数種類あるのがわかる。並べて写真を撮ろうとすると、ガイドさんから「いじらないで」と注意された…
ここのヤドカリはもちろん化石の家。
よし!扇池で泳ぐぞ!波もほとんどなく、本当にプールみたいだ。でも台風のときには、この岩壁を越えて波が打ち寄せ、扇池の浜もすべて海水に浸るとのこと。本当かウソかわからないが、ガイドさんが言うには、台風が来るたびに岩が崩れてこの洞窟の穴が大きくなっていっているそうだ。
制限時間一杯。2時間ぎりぎりねばって鮫池に戻り、ボートに乗る。鮫池は鮫がいるから鮫池。母島でみた例のネムリブカがたくさんいる。みんな鮫を見るためにシュノーケリングをしていたが、私は母島で十分戯れたので遠慮しておく。
南島で夕日を見てみたいな~、などとかなわぬ未練を感じつつ島を後にする。クレーターのような鮫池は、ふちが欠けたようなところが一ヶ所あって、そこで外海とつながっている。その水路の岩と岩の間はボートの倍ぐらいしかない。ここが南島上陸のための難所だ。
(次回に続く)
赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…