夜のおたのしみ~小笠原諸島の旅(12)
5/4 母島~父島(釣浜、夜ツアー)
(前回の続き)
おがさわら丸を見送り、メインストリートにならぶスパーや土産屋をのぞく。一番目につくのはこのカラフルな小笠原名物「ぎょさん」。「漁業サンダル」や「漁師サンダル」の略らしい。一見、普通の便所サンダルだが、丈夫で滑りにくいとのことだ。
そしてそばには「海亀の卵」も売っていた。店員さんに食べ方を聞いたら「ここの人は食べないね~」って誰が食べるんだ…
港から一番近いビーチはここ大村海岸。湾の奥、二見港の隣にあるので波は静か。そして細かい珊瑚砂の白いビーチ。トイレやシャワーも完備。
二見港の道路をはさんだ向かい側が高台になっていて、上ってゆく階段があった。気になって上ってみると(どうしても高いところが気になる…)そこが大神山公園。これでもかというくらい展望台がたくさんある。そしてその眺めは、、、どんよりと沈んだ空と海。晴れていたらさぞきれいな景色なのだろう。
さっきの展望台からちょっとした岩尾根を歩いて行くとまた別の展望台があった。三日月山方面が見える。眼下には深い森、そして正面には霧に閉ざされた岩山。かつて行ったタイとミャンマーの国境のジャングルのような雰囲気だ。
街(大村)から北に15分ほど歩くと島の反対側に出る。ここが宮之浜。珊瑚も多く手軽なシュノーケリングポイントだが、天気のせいか寒々しい感じ。でも足元の岩場では鮮やかな熱帯魚が餌をついばんでいた。
宮之浜から海岸の崖上の尾根に、海岸線に沿って電信山遊歩道という歩道が東に延びている。ここからの景色はなかなかすばらしい。逆光にきらめくの宮之浜、その向こうには兄島が見える。もう4時半を過ぎていて日没も近いが、時間が許す限り歩道を歩いてみよう。
釣浜展望台。向こうに見えるのはお隣の大きな無人島、兄島。静かだ。兄島と父島の間の海峡は兄島瀬戸。潮流が激しくまるで川のように流れている。
遊歩道はいったん車道に出て、すぐに右手に浜に下りる道を分ける。ずんずん森の中を下りて行くとモクマオウの林に囲まれた、黒い玉石の海岸にでた。これが釣浜だ。波が寄せ、そして波が引くときにこの玉石が転がり「じゃらじゃらじゃら」と音を立てている。ひっそりとした海岸に、この玉石の音が繰り返す。
5時を過ぎて日は傾き、あたりを赤く染め始めている。やばいな、そろそろ戻らないと。遊歩道はまだ続いているが、あきらめて大村に戻る。
途中で道に迷ったものの、なんとか明るいうちに大村に戻れた。ひと安心。(すでに日は沈んでいるが…)
夕食は食い処「波食波食」の島野菜チャンプル定食。これだけではさみしいので「島レモンサワー」で喉をうるおす。「波食波食」は一杯やることもできるし、定食も充実しているので、なにかと便利な飲食店だと思う。
いつもなら一杯やれば一日は終わりだが、今日はこのあと「夜のおたのしみ」がある。
夕食を終え、真っ暗になったころ夜のネイチャーツアーが始まる。「竹ネイチャーアカデミー」のナイトツアーに参加した。
まずは海岸に近い橋に連れて行かれる。ガイドさんが赤い光を出す懐中電灯でリュウゼツランの花を照らすと…そこには翼のあるサルが!いや、ちがう、オガサワラオオコウモリだ。小笠原諸島にだけ住むリスか小型のサルくらいの大きさの大型のコウモリだ。顔つきもリスか原始的なサルのようだ。2匹のコウモリがリュウゼツランの花をむしゃむしゃ食べている(果物や花の蜜が好き)。これを見れたので小笠原に来た目的も半分果たせた。
コウモリは目でははっきりと見えるのだが、写真にうまく撮れない。このために三脚を持ってきていたのに部屋に置いてきてしまった…
ちょっと移動して駐車場脇のビロウのような木の葉っぱの裏を除く。背の高さよりちょっと高いところに、緑色に光る親指くらいの大きさの物体が。これは発行キノコ、グリーンぺぺ。離れた場所からでも分かるほど強烈に光っている。でも三脚がないと写真にはうまく写らない…
小港海岸にやってきた。タイミングよく霧が晴れ、満天の星空が広がる。そして浜辺には、母島では暗い森の中でがさがさしていたオカヤドカリが、堂々と歩いている。うっかりすると踏んでしまいそうだ。もともとこいつは夜行性とのこと。
浜辺をすばやく動く小さな影。その正体はミナミスナガニ。甲羅の幅が1cmほどの小さな蟹だが、海亀の卵を食べてしまう、海亀の天敵。
(次回に続く)
赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…