ハルピン市内観光、そして夜汽車でさらに北へ~中国・東北、漠河の旅(6)
12/29 ハルビン散策(ウクライナ寺院~極楽寺)~ハルビン東駅
(前回の続き)
小汚いホテルの食堂で朝食を食べ、9時半頃、のんびりとホテルをでる。今日はハルビン駅の南側を観光したあと、夜行列車に乗って漠河へ旅立つ。
いつものように朝から道路は車でいっぱい。活気はあるが、少々騒々しく街は排気ガス臭い。いつものように太陽はかすみ、晴れているんだか、曇っているんだか分からない。
とても寒々しい…
このどこかで1909年10月26日、伊藤博文が安重根に暗殺された。が、どのホームだかわからなかった…勝手にホームに入ることもできない。
ハルビン駅ホームから目を転じれば、長距離バスターミナル、そしてハルビン駅前広場。今日も忙しそうに人民が行き交っている。
真っ赤な唐辛子を満遍なくまぶすのもどうかと思うが、卵を一気に4つも食べるのもどうなんだろう。食べたら体がほてるのは間違いなさそうだ。
駅前広場の一角に氷の城(寺?)があった。これもやはり建設中。1月5日の氷雪大世界のオープンに合わせて作成しているようだ。
風が吹き雪が舞い始めた。気温が下がってきているようだ。顔が痛い。地下街に逃げ込んで体を温める。ついでなので、列車でお茶を飲むための水筒を5元で買った。
この通りに沿って、ウクライナ寺院に行こうと思ったが、大通りは風が吹き抜けるので、寒くて痛くてつらい…
両脇に並ぶ店は衣料品、アパレル中心。ミニスカートにダウンジャケット姿のギャルっぽい店員がいっぱいいた。髪を染めるのも珍しくないようだ。
平日の昼間なのに、時には人混みですれ違うのが難しいくらい、人が多かった。
天国の地下街は終わってしまった。突き当りから地上に出ると、そこは中学校だった。私はニット帽をかぶってネックガードをして、目だけ出している。それなのに、素手でバスケをするあなた方はなんなんですか…
中学校の先で、地下鉄工事のため東大直街は通行止めになっていた。そして、地下鉄工事現場に囲まれて、ウクライナ寺院が建っていた。教会活動が行われているとのことだが、入り口にはかんぬきがかけられ人気はなく、この建物に注意を払う通行人もいない。
そしてそこでは大きな黒い龍が天をにらむ。なんのためにここにいるんだろう。工事区域内にあるので近寄ることはできない。
我々が日本人だと気付いた若い店員が、たどたどしい英語で、「ハルピンに来たときはいつでも来てください、私達はいつでも歓迎します。」と言った。う~ん、冷えた身に熱く沁みるぜ。
辛くて豚バラの油がこってりとした食事で体を温め、意を決して店の外に出る。ぬくぬくした室内から、-20℃に飛び出すには気合がいる。
交通量の多い東大直街をおっかなびっくり渡り、10分も歩くと極楽寺にたどりつく。極楽寺は中国東北4大寺院の一つで天台宗のお寺だ。雪が降っているためか、人影はまばらだ。
10元払って極楽寺の境内に入る。いくつもお堂があって、いくつもの仏像が安置されている。写真を撮ろうとしたら、撮影禁止だと怒られた。
雪が静かに舞っている。風の音さえない静寂の世界。ただ、お寺のおばさんが雪をほうきで掃く、サーッ、サーッと言う音がわずかに聞こえる。そのおばさんがニコニコといろいろ説明してくれた。聞いてもほとんど分からないんだけど…
極楽寺の東院には高さ37mの七級浮屠塔や、五百羅漢が並ぶお堂がある。西院と東院は通路でつながっているのだが、分からずにまた10元払ってしまった…
マックカフェの大を注文して手を温める。8元なり。ハンバーガより高い。店内は若い人が多く、明るく清潔で賑やかだ。隣の席の女の子はアイスなんか食べている…
さて、これからどこへ行こう、とガイドブックを見たがほとんどの観光施設は4時に閉まってしまう。もう30分しかない。しかたないので、ここで夕食まで時間をつぶす。
そして、降りたところにはなぜかライトアップされたソフィスカヤ寺院が…
駅の反対側の地街段でバスを降りた。ここを真っ直ぐ駅のほうに行けば、線路を越えられるはず。目を三角にして通りを突き進む。
なんとかハルピン駅横の、線路を渡る陸橋まで来た。ゴゴゴーッという地鳴りのような低い音が響いてくる。はじめ陸橋の下を通る列車の音かと思ったがちがった。陸橋は上は大渋滞で、車が隙間なく低速で走っている。その数え切れない車のタイヤが、厳しい寒さで砂のようになった雪をかむ音だった。
内装は壁もテーブルクロスも花柄の赤で統一されている。店員も同じ赤の民族衣装を着て、おさげ髪で、よく漫画でみる中国人の女の子のかっこをしている。店は賑やかで忘年会にちょうどいい。店員による歌とコント(人民服を着て毛沢東語録を持っている?)のライブもやっている。
きゅうりの入った麺も頼んだが、これがコシがあって日本のラーメンそっくり。
そしてビールは、シグボトル、もしくは砲弾のような頑丈な1.6リットル缶、コップはどんぶりでびっくり。
ハルピン東駅に行くために、ハルピン駅でバスを探したが分からない。タクシーで行こうと車を停めるが、次々と乗車拒否。なぜ?行ってもいいと言っても100元だと言う(怒)。大量のビールを飲んだ体がどんどん冷え、列車の時間も迫ってきてあせる。
10台以上タクシーを止めて、やっと行ってくれるタクシーがあった。遠回りしながらノロノロと駅を目指す(怒)。それでも26元だった。でも降ろされたのは、暗くて狭い路地の入り口。「衛生具」の看板がある店がならぶ、真っ暗な小道を半信半疑で進むと、暗いハルピン東駅があった。
インフォメーションでホームを確認し、お茶の葉と水を買った。改札を通りホームへ降りると、そこにはハルピン東発、漠河県行きk7041が停車していた。
列車番号を確認し、車内へ入ろうとドアの横にいる係員に切符を見せると、これはだめだと言う。この切符はハルピン発でここはハルピン東だそうな…。おいおい、もっと早く言ってくれよ。勘違いした俺も悪いが、インフォメーションではここだと言われたぞ。ブロークンチャイニーズ全開で、駅員がここだと言ったからここに来たんだ、と叫んだ。全く通じなかったに違いない、係員はめんどくさそうに、あごで「行け」という素振りをして、我々を乗せてくれた。
21時20分、笛の音とともにゆっくりと列車が動き出した。漠河到着予定は明日の18時35分。長い列車の旅の始まりだ。
ふと目を覚ます。列車は停車し機関車の付け替えをしているようだ。カーテンをちょっとめくって外を見る。チチハルかな…とまたすぐ寝てしまった。
(次回へ続く)
赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…