列車は北緯50度、中国最北の地へ~中国・東北、漠河の旅(7)
12/30 (ハルピン東駅)~漠河
(前回の続き)
ぐっすり眠った。寒さを心配していたが、車内はどちらかと言うと暑いくらいで、布団をかけずに寝た。
目を覚ましてカーテンを開ける。二重窓の窓枠にに透き通った厚い氷が凍り付いている。車内は暖かいが、外は夜が明ける前の、すべてのものが凍る青白い雪の世界。
7時ごろ日が昇ってきた。正確に言うと昇ったのではなく、地平線を覆うもやの中から、徐々にオレンジ色の丸い太陽が姿を現した。
暖房の入っていないデッキにある寒いトイレに行く。床が凍っていてスリッパだとツルツル滑る。便器の穴の向こうの、後へ流れ去る地面めがけて用を足す。すると、ドライアイスのような白い湯気がもうもうと立ちのぼ
る。私がトイレを出ると、乗務員がやってきて、トイレにお湯をぶちまけ、凍ったものを融かしていた。

コンパートメントに戻ったら、ドアに鍵がかかっていたが、すぐ乗務員が開けてくれた。なぜ彼が常に廊下にいたか分かった。コンパートメントの乗客がすべて出払うと、彼が鍵をかけるのだ。
外の景色は、雪原、針葉樹と白樺の林、煙突のある平屋の家並でほぼ語りつくされる。何時間見ていても同じだ。

加格達奇の工場の煙突。ここに限らず、煙突の煙がやけにモクモクしている。寒さのせいで水蒸気が湯気になりやすいのか、それとも単に煙を大量に吐いているだけなのか。

中国人の学生らしき一群がやってきて、食事の写真をデジタル一眼で撮っている。食べ物の写真を撮るのは私だけでないようだ。
正午になっても太陽は高くならない。1時を過ぎれば太陽は低く弱々しく、夕方の黄昏時のようだ。北緯50度にやってきたことを実感する。


多くの乗客は降り、車内には静寂と長旅の気だるさが漂う。車内販売だけが、元気に通路を通り過ぎてゆく。でも目的地まであと4時間半も残っている。

18時30分、終点、漠河県駅に到着(地図はここ)。上下をスキーウエアで固め、靴下を履き替え、帽子とネックガードと手袋で武装して外に出る。思ったより多くの人が列車から降りた。外はそんなに寒く感じなかった。

ホテルから出迎えがきていた。中国語しか話せないおじさんだ。こちらも必死で中国語で受け応えるが、五分の一くらいしか分からない。おじさんはどんどん大声になるが、声を大きくしても、分からんものは分からん!
お前ら着ているものが薄着過ぎる、と、くどくど言っているのは分かる…

が、やられた。
請求書は注文したときの値段と一桁違う。文句を言ったら、客が集まってきて、「日本人○×△」と騒ぎ出し、騒然とした雰囲気に。おっさんもぐるだな~。くそ~、負けた。悔しいが言い値で払った。
値段が書いてないものは、事前に書き残しておくこと!
授業料は高くついた…私のような犠牲者を出さないために、店の名前を書いておきたいが、長くて憶えられなかった。確かxxx头骨館だったような。

ホテルの壁が薄く、酔っ払いが大騒ぎする音でなかなか寝付けなかった。
(次回に続く)
赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…