仕事を辞めてチリへ~チリの旅(1)

11/11 成田~ダラス

「月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也。」by松尾芭蕉

私は、松尾さんの奥の細道の序文がとても好きである。
ほかのパートはあまり興味がない。
松尾さんは、序文の中で、月日の流れや、船頭の人生は旅のようなものである、と説いている。
そして、当の本人は、隅田川のほとりの住居に落ち着いたものの、春になると、
「「そぞろ神」がのりうつって心を乱し、おまけに道祖神の手招きにあっては、取るものも手につかない有様である」
と言って、ふらりと旅に出てしまう。
一種の病気である。

私は、人生は旅のようなものであり、また、山登りのようなものであると思う。

道は起伏があってなかなか一定のペースでは歩けない。
道端の可憐な花を愛でることもあれば、ぬかるみにはまることもある。
道標のない分かれ道では、どっちに行くか心底悩む。
そして、いつ終わるともしれない上り坂を重い荷物を背負って、黙々と歩かねばならないときもある。
その坂が終わって山頂に着いたとき、眼下に雄大な景色を目の当たりにする。ここで、荷物を下ろして一息つく。
しかし、同時に、目の前には、今まで見えなかった美しいピークがそびえている。おもむろに荷物を背負って、そのピークを目指し歩き始める。

この繰り返しだ。

ということで、新たなピークを見つけた私は、4年間勤めた仕事を辞めて、新しい仕事に就くことにした。

仕事を辞めると言えば、ついてくるものは、有休消化だ。
前回は、一か月以上の有休を持っていたものの、全部取ったら退職金を出さないと暗に脅され、やむなく3週間の休暇を使って南米に行った。
今回は、辞めたいと言ってもなかなか認めてもらえず、いつ辞めるのか、有休消化ができるのかが紛糾した。一か月以上の有休のうち、なんとか3週間の休暇をもらうことができたが、それが決まったのが、休暇の初日の2週間前。そこから、仕事のクロージングをしつつ、旅の目的地を決めて、下調べして、チケットを手配して、と、ドタバタした。
おまけに風邪をひいた。

松尾芭蕉のように優雅に旅に出たい…

そう言えば、社会人となって初めて勤めた会社の新人研修で、講師に「君は何になりたいのか?」と聞かれ、「松尾芭蕉です」と答えたことを思い出した。

私は未だに松尾さんにはなれていない。

171111成田空港出発ロビー

いつものごとく、旅はここから始まる。

2週間で慌ててスケジュールしたのは、南米チリ。イースター島&パイネ&パタゴニアクルージング、というパッチワークのような旅だ。2週間前だと飛行機も宿も思うようにとれなかった。

今日は風が強い。比較的暖かいと言っても11月だ。風をしっかり防げる服でなければ寒い。おまけに、あまりの忙しさに一週間前から風邪をひいていて、微熱が下がらず、咳も止まらない。
しかし、チリは今は初夏。サンティアゴやイースター島の最高気温は30度を超えているだろう。一方、プエルトナタレスやパイネの最低気温は5度を下回る可能性がある。

一体、何を着て、何を持ってゆけばいいのだ?テントを持っているので、ザックの余裕も少ない。

迷った挙句、ヒートテックの下着を着て、作業着を着て、フリースを羽織るという、いつもと変わらない服装になった。

171111成田空港81番ゲートへ

ここ数年、時間を問わず成田空港が混んでいる気がする。いや、気のせいじゃなくて、これがビジットジャパンの成果か。

まずは、アメリカン航空、AA60でダラスを目指す。
ゲートは81番。81番ゲートは遠い…成田はこんなに広かったか?それとも、風邪ひいてだるいだけか…。

18:25、定時に飛行機は動き出す。時計をダラスの現地時間に合わせる。南米の1日目は、時差ボケに悩まされてきたので、今のうちから現地時間に体を慣らしておく作戦だ。
しかし、熱があるせいか、乗ってすぐに睡魔に襲われ、うとうとする。

171111夕食

気が付くと食事の時間だった。
風邪を引いているので、酒はやめようとも思ったが、せっかくなので白ワインを1杯頼む。一週間ぶりのお酒。冷たくておいし~。でもしばらくしたら頭が痛くなってきた。

食事を終え、そのまま気を失う。

次回に続く)

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2件のフィードバック

  1. takeshi より:

    お久しぶりです。
    転職されたんですね。そしてすぐ海外旅行。アグレッシブですね~。

  2. daseijin より:

    お久しぶりです。
    人生は短いですからね~。できることをできるときにしなければ。

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