長大な尾根から大山を目指す~三峰山から大山
11/26 土山峠~辺室山~三峰山~大山~大山ケーブルバス停
丹沢の大山は、中腹の阿夫利神社までケーブルカーで上がれる、お手軽なハイキングコースだ。
一方で、山頂から西に稜線続きの塔ノ岳の表尾根や、山頂から南に延びる高取山の稜線(「富士登山競争のトレーニング」)を使えば、登りごたえのある登山になる。
大山にはもう一本、長大な尾根がある。
大山から北に三峰山を越えて、宮ヶ瀬ダムの末端の土山峠に延びる尾根だ。長さだけ見れば、丹沢主脈の焼山から蛭ヶ岳に至る稜線くらいある、堂々たる尾根だ。大山は、都心からもその山容がはっきりと見えるが、空気が澄んだ日には、北に延びるこの尾根も、表尾根の手前に確認することができる。
幾度となく眺めたこの尾根を使って、大山を目指すこととする。
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天気予報晴れ。しかし、朝起きて外を見ると曇り。寒気が張り出しているとのことだが、それほど寒くない。
余裕を見て、朝一番のバスにのった。そして、本厚木駅に早く着きすぎた。宮ケ瀬行きのバスの時間に余裕があるので、ホームのベンチでサンドイッチの朝食を済ませる。そして、余裕をもってバス停に行くと、バスはハイカーでほぼ満席。最後の1つの座席に座る。
バスの中で、ハイカーが点呼を始める。31人とか言っているが、点呼は乗る前にしようよ。乗ってから足りなかったらどうするの。
ただ一人、土山峠バス停で下りる。
登山口はすぐ見つかった。
雨がパラパラと降ってきた。嫌だな、晴れじゃなかったのか?ゴア雨を上だけ着る。
落ち葉に埋もれた緩やかな登山道を登る。
天気は、晴れどころか、どんどん怪しくなる。小雨が舞い、周辺の山々は、雲は低く垂れこめた灰色の雲の中で見えない。
紅葉は盛りを過ぎたようだが、紅葉の落ち葉と相まって、なかなか美しい。
第一ハイカーを追い越す。今日は辺室山までだそうだ。どちらまで?と聞かれたので、大山と答えると、若いっていいね~、と言われる。決して若くありません。
辺室山かな。
雨が断続的に降っている。木々が葉をつけているところはまだいいが、葉を落とした木々の森だと、顔に冷たい雨が吹き付ける。
まあ、しょうがない。紅葉を楽しみながら走ろう。
静かな物見峠。
物見峠の先から、三峰山への登りが始まる。
ひと登りすると崩落地帯が始まる。
この標識は脅しではない。実際に細い尾根が、何か所も崩落している。
本当に崩落してしまったところには、鎖がついている。ただ、崩落しかけているところは、鎖がついていないところもある。
このはしご地面についてないじゃん?みたいなところも。
雨が降っていて、木が濡れているので、はしごや桟橋がちょっと滑る。慎重に。
鎖は続く。
三峰山の山頂には、先客が二人。
周囲はガスに覆われていて、まったく展望がない。細かい雨が絶え間なく降る。
いそいそとおにぎりを食べて出発。
下りは、いきなり、両側が崩落した細い尾根の上の、ミニハードル状の壊れた階段で始まる。危なくて写真は撮ってられない。
これ大丈夫か?状態がしばらく続く。
雨脚が強まり、より慎重に進む。晴れの予報だったので、軽いがグリップが弱い靴を履いてきてしまった。まさか土砂降りになるとは。
物見峠から全く走ることができないが、山と高原地図のコースタイムの倍の速さで進んでいる。道が悪いので保守的なタイムに設定されているようだ。
尾根が広くなり崩壊地が終わると、間もなく不動尻への下山口。
登山道は、木に括りつけられた道標に従って左へ下りていく。大山へは、道のない尾根を直進する。
この大山へのルートは、不動尻下山口から唐沢峠まで道がない。
広い稜線通しに、薄い踏み跡が続いている。道標はもちろんない。
ボケっと歩いていたら、不動尻下山口から数えて最初にある、880mのピョコで踏み跡を見失った。どこがピークかもわからない樹林の中の広い小ピーク。とりあえず、一番高いところに戻る。
じっとりと濡れる霧雨。木からしずくもボタボタと落ちてくる、あ~あ。
気を取り直して尾根の方向にコンパスを切る。
コンパスを切ったほうにまっすぐ歩くと正解。すぐに細い尾根に乗った。
ちょっと下って、また登る。
2番目のピョコも分かりにくいだろうな、と思っていたが、不正解ルートは通せんぼしてあった。
左の急な斜面を下る。
尾根がなだらかになると、唐沢峠手前の分岐。
ここからはまた道、高速道路。走り始める。
唐沢峠を通過すると、頻繁にハイカーとすれ違う。
足下に気をつけろとあるが、三峰山の崩落地と比べれば目をつむっても歩けるぐらい、しっかり整備されている。
トレールがしっかり整備されていて走れるのはいいが、登り気味で暑い。ゴア雨の内側が結露してきた。
見晴台分岐手前の989mピークは、刈払いが入っていてちょっと広くなっている。ザックを下ろして休憩。
話し声や鈴の音が聞こえてくる。大勢の人の気配を感じる。
見晴台と大山山頂を分ける分岐。
大山山頂までひたすら階段が続く。早歩きで登り続け、列をなすハイカーを追い抜いていく。
この稜線は、冷たい風が吹きつけ、ちょっと寒いくらいだ。
山頂は、雨が降っていて、冷たい風が吹いていて、ガスで何も見えない。
それでもいつものように大勢の人、人、人。みんな私と同じように天気予報に騙されたのだろう。
座る場所を探す。なんとかちょっとした段差に腰をおろしておにぎりタイム。さっさと食べて下山開始。
大山ケーブルまでは、駆け下ればあっという間。しかし、人が多いので、驚かせないように、じゃまにならないように、控えめに下る。
見晴台が近くなると、トレールも広くなり、人も分散しているので走れるようになる。
見晴台。何が見晴らせるのだろう?
見晴台から阿夫利神社までは、紅葉の真っ盛り。濃いガスに浮かぶ紅葉が幻想的。
大山登山マラソンのゴールに到着(「大山登山マラソン参戦」)。
人多し。景色は見えないが、紅葉は素晴らしい。
男坂を下ることにするが、神社の境内の人混みに比べ、人が少ない。
トレールを抜けた参道に、桜が咲いていた。
大山ケーブルの駅のあたりで時計を見る。ん?あと10分でバスが出る!
人がいなければ、楽勝で走れる。しかし、参道はお土産屋をのぞきながら歩く観光客であふれている。走るわけにはいかないので、あと8分、あと6分とじりじりしながら早歩き。
参道入り口であと1分。車道に出たところで猛ダッシュ。バスの横で伊勢原駅行きのバスが出ます、と言っている乗務員さんに猛アピールして、バスに駆け込む。
伊勢原駅から電車でひと駅、鶴巻温泉で下りて、いつもの弘法の里湯へ。
まだ時間は早いのに人が多く、洗い場も争奪戦になっている。さっぱりして、風呂を出るころには、ロッカーが空いていませんとの、館内アナウンス。天気予報に騙されたハイカーが集まってきたのだろうか。
鶴巻温泉のほとんどの飲食店が閉まっているはんぱな時間。こんなときはいつものニューカトマンズキッチン。
いつものスペシャルセットを注文。
カレー2種に、生ビールがついてとてもお得。ナンをお代わりしてお腹いっぱい。
電車の時間に合わせて店を出る。
(大山、完)
参考:
地図
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赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…