-39℃、最果ての地、北極村~中国・東北、漠河の旅(8)


12/31 漠河~北極村~漠河~北京

(前回の続き)

早朝6時、起きるなり、ヒートテックの下着に、冬山用のズボンとフリース、そしてダウンの上下、スキーウエアの上下。目出帽にブレスサーモのニット帽、ネックガード、冬山用の手袋、冬山用の靴下。完全装備に身を包む。部屋の中でちょっとでも動くと暑い。

そして6時半、チャーターした車で出発。昨日迎えに来たおじさんがドライバーだ。中国最北の村、北極村を目指す。北極と言っても北極、南極の北極とは関係なく、中国の北の極という意味らしい。大仰な名前だ。

チャーター代1日700元は高い。しかし、我々は午後の飛行機で北京に戻らなければいけない、ギリギリの日程だ。おじさんはその我々の弱みを知ってか、一銭も負けない。かと言って、新たに車を探す時間はないし、-39℃の外をうろうろしていたら死んでしまう…どうしても強気にでれない…

091231北極村への道出発したときは真っ暗で、乳白色の濃い霧に包まれていたため、あたりの様子がまったく分からなかった。しかし、霧が晴れ、真っ赤な月が針葉樹の林に沈む頃、反対の空が白み始めた。そして、自分が青白い雪の世界にいることを知る。


針葉樹と樺の林が続く単調な景色にうとうとすると、八ヶ岳山麓をドライブしている錯覚におちいる。犬の散歩をしている人がいる。夢か幻か…いや現実だ。-40℃近い明け方に散歩をする人も人だが、ついていく犬も犬だ。

091231北極村ゲート出発から2時間弱で北極村のゲートに到着。ここで60元とられる。村に入るだけで金をとるとは…


091231北極村工事現場

北極村は…村は村なんだけどイメージと違う。真新しい洋風の家が並んでいたり、3、4階建てくらいの立派なホテルがあったりする。さらに建築用クレーンが建ち並び、ビルを建設している。ここも中国各地の例にもれず、急ピッチで開発中のようだ。

北極村寒いのに観光客がウロウロしている。


おじさんが頼みもしないのに我々をホテルに連れて行った。朝食のようだ。だが、昨日散財したし、またボッタクリかもしれないので断った。こんなときのために食料は持参している。
金がないから朝食はいらないと言うと、おじさんは我々を別のホテルに連れて行った。ホテルの人と会話を交わすと、我々は台所に通され、なぜか従業員と一緒にまかない飯を食べることになった…

中国最北の碑は北極公園にある。おじさんは、歩いて行ったら寒くて死んでしまう、馬ゾリで行けとソリをすすめる。そんな馬鹿な。それに200元は高い…
悩んでいたら、中国人観光客に英語で(久しぶりの英語…)どうしたのかと尋ねられた。金がないから迷っていると言ったら、それが高いのか!?と笑われた…ほっといてくれ!!

091231北極村アムール川をそりで行く

結局、馬ゾリに乗っている…いや、乗っていると言うより、布団でグルグル巻きにされて、荷台に載せられて運ばれている。
かろうじて右手と首が自由になる。右手にデジカメを持ち、首を起こして、後に流れてゆく景色を撮る。この雪原は雪原ではない。中国とロシアの国境、黒龍江、アムール川の上をそりで進んでいるのだ。

091231北極村そりの馬

急坂の手前でそりを下りる。馬も寒いのが嫌なのか、言うことを聞かずに御者を手こずらせる。

風は穏やかで、日差しのまぶしい雲ひとつない天気。それでも私の-30℃までしか計れない温度計は未だ測定不能。完全防備で体は寒くない。しかし、軽登山靴を履いた足が痛い。そして、唯一、外気にさらされている目、まつ毛がどんどん凍って目が開きにくくなる。

091231北極村最北端の碑1坂を登ればそこが北極公園で、中国最北端の碑があった。ここはモンゴルよりも北に位置する。

向こうはロシア。


091231北極村最北端の碑2

最北端の碑から、西に3分ほど行くとまた最北端の碑があった…笠取山みたいだ…。碑の横ではこの寒いのに、一生懸命雪を掃いている人々がいた。誰も来ないのに何してんねん。

091231北極村最北端の碑3最初の最北端の碑に戻り、さらに東に3分くらい行ったら、また最北端の碑があった…中国人の発想は度を越えている。
借りた中華風防寒具を着て、記念写真。が、デジカメ動作が超スローでレンズがなかなか出てこない。と、動かなくなってピントが合わなくなった。凍った。
ポケットに入れておいたデジカメが凍った。ポケット内の温度を計ると-5℃だった。


御者に連れられ、5分ほど歩くと道路に出た…

またおじさんに騙された…
北極公園は駐車場からすぐ。行く人は騙されないように。

朝食を摂ったホテルに戻る。ホテルのドアは二重になっているが、それでもドアを開けると、冷凍庫を開けた時のような、白い冷気がサーと床を這って室内に流れ込む。本当に寒いんだ。

おじさんと合流して、正午過ぎに漠河への帰途に着く。と思ったが、おじさんは、車で日本の発電所の跡地とか、氷雪祭の会場とかに案内してくれる。こっちは飛行機の時間が心配なんだ、早くしてくれ~と言っても気にかける様子もない。

091231北極村からロシア

車に乗ってしばらくして、やっとデジカメが融けた。別荘地の裏にでると、そこはアムール川の川岸だった。対岸にはロシアの民家が見える。あっちはこっちよりさらに寒いんだろうな~。

091231北極村温度計やっと私の温度計でも気温が計れるくらい暖かくなってきた。現在-29℃。


091231漠河ぼったくりホテル行きと同じ道を漠河のホテルへ戻る。ここでまた、

やられた。

宿泊費は旅行会社に払ってあるはずだが、受け取っていないと言う。しまった、領収書もらうの忘れた。中国語の先生が「清給我開張発票」(領収書を下さい)は絶対憶えるように!と言っていたのを思い出した…
仕方ないので払った。ケツの毛まで抜かれるとはこのことか…


旅行会社にはホテル代と手配代50元あわせて300元を払った。そして、このホテルに150元をまた払った。この差額はなんなのだ。
旅行会社の不手際かホテルのボッタクリかは分からないが、両者に問題があるのは明らかだ。今回利用した旅行会社とホテルは以下のとおり。利用する人は注意して欲しい。
旅行会社:黒龍江省新世紀国際旅行社(ハルビン)
ホテル:神州北極村賓館
だいたいこのホテルはパスポートのチェックをしないことからして怪しい…

2時近くなり、おじさんが昼飯を食べに行こうと誘う。金がないから10元くらいの店に行こうと言うと、最低でも100元はする、と、またいい加減なことを言う…返事をする気力も起こらない。
いらない、と言うと、今度はこのホテルのまかない飯を食べることになった。鳥のぶつ切りの醤油煮だったが、けっこううまかった。でもぜんぜん元はとれない。旅行中に朝昼まかない飯(ただ飯)を食べる変な日。

091231漠河メインストリート

のんびりと構えるおじさんを急かして、漠河空港に向かう。漠河のメインストリートにはロシア風?のビルが建ち並ぶ。変な街だ。明るくなって分かったが、漠河は郊外には工業地帯があり、オフィスビルが並び、住宅地が広がる大きな街だ。漠河県の人口は8万人というから、大きいのはあたりまえか。

091231漠河空港

漠河空港は2008年にできたばかりの小さな空港だ。Google Mapに載っていない。HISで聞いてもすぐには分からないと言われた。中国南方航空に直接聞いて、空港の存在が確認できた。しかし、北京行きの出発時間がころころ変わる。なので、チェックインするまで、本当に北京に帰れるか心配だった。

くやしいので、おじさんに、「再見!でも二度と会わないよ!」と握手して別れる。防寒具をすべて脱ぎ、荷物に入れて検査を通る。ああ、あとはあの飛行機に乗るだけ。そうすれば文明国?(北京)に戻れる。

私がゲートにやってきたときには、北京から来た人がまだ飛行機から下りているところだった。それで、搭乗が15分遅れた。が、なぜか、出発は15分早い15時25分。出発時刻より早く出てしまう飛行機は初めてだ。

091231ハルビン空港18時間かけてきた道程を1時間ちょいでハルビンに戻ってきた。北京に直接行かず、ハルビンを経由する。そして、ハルビンで飛行機を下りて2時間待たなければならない。
空港内には銀行のラウンジがあった。日本のクレジットカードのラウンジに相当するのか。
時間をつぶすのにカフェでコーヒーを飲もうと思ったが、50元、高い!で、お茶より安い飲み物、ビールを飲んだ。そうそう、ウエイトレスが注文をとりにくるのに20分かかった。さすが中国。


091231北京行き機内食今まで乗った中国国内線はすべて機内食がでてきた。これは牛丼みたいなもの。それより、久しぶりのコーヒーがうまい。


091231北京空港21時過ぎに北京空港着。ここまでくれば、うろうろしても凍死することはない。ひと安心。
北京空港の空港快速のホームの床はピカピカ。ここだけは文明国だ。


091231北京東直門

空港快速の終点、東直門駅で地下鉄に乗り換えようと思ったら、もう終わっていた。中国に来た日と同じパターン…また、外に放り出された。来た日は北京がやけに寒く感じたが、ハルピンや漠河で鍛えたためか、寒さを感じなかった。元気にホテルまで歩く。

深夜0時近く、無事ホテルに到着。シャワーを浴びて、無事の帰還を祝して同行者とビールで乾杯する(ビール飲みすぎ…)。テレビをつければ、北京のカウントダウンや、日本の除夜の鐘の映像が繰り返し流れる。そうか、今日は日を改め元旦なんだ。あらためて気付く。ぜんぜん年越しらしくない年越しをしてしまった。

次回へ続く)

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