秋雪の国師ヶ岳~金峰山から国師ヶ岳(1)
10/28 廻目平~金峰山~国師ヶ岳~大弛小屋
晩秋の登山はどこがいいだろうか。
アルプスや八ヶ岳はもう冬の入り口に足をかけていることだろう。
ほどほどの標高でまだ紅葉が楽しめそうなところならば、奥秩父か上越国境の山々か。
奥秩父と言えば、以前、ずっと気になっていた和名倉山に登ったが(「奥秩父東部の秘峰めぐり~和名倉山から竜喰山(1)」)、奥秩父にはもう一つ、主稜線から外れた気になる山と尾根がある。
国師ヶ岳から南にはずれた奥千丈岳とそこから黒金山へ続く稜線だ。
ちょっと藪っぽそうだけど、今は虫もいないのでちょうどいい。決めた。無雪期の金峰山にも登ったことがないので、ついでに登ってこよう。
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まいたびの夜行登山バスで金峰山登山口の廻目平到着。
日の出にはまだ早く、さすがに肌寒い。フリースを着て出発。速足で林道を歩く。
2、3のパーティーを追い抜いて、中ノ沢出合いで沢を渡ると、本当の金峰山登山口。ここから登山道が始まる。
黙々と針葉樹林帯の急登を登る。晩秋の山は静かだ。
太陽が昇って、森が明るくなった。森自体も明るくなってきた。金峰山小屋は近い。
金峰山小屋到着。廻目平から2時間ちょっと。走っていないが、意外と早く着いた。
登りが続いていたので、暑い。フリースをバックパックにしまう。
金峰山小屋の裏手にはテラスのような展望台がある。
景色を眺めながらおにぎりタイム。今日は、空がきれいだ。八ヶ岳もはっきり見える。
ここから森林限界線を越え、ハイマツ帯になる。冷たい風が吹きつける。フリースを脱ぐのは早まったか...でも日射しが暖かいので、そのまま歩く。
足をとめて振り返る。直下には金峰山小屋の屋根。その奥、左手には座ったらお尻が痛そうな瑞牆山、右手奥には小川山。
小川山と言えばクライミングだが、ここから見た山頂はずいぶんとなだらかだ。
トレールが白っぽい。と、足元を見るとあられの粒だった。
金峰山の山頂に到着。大きな岩は五丈岩。前回山頂に立ったのは10年前(「静寂の別世界、金峰山山頂」)。もうそんなに経つんだ...。
登ってくるときは登山者はまばらだったが、山頂はにぎやか。富士見平から登る人が多いのだろう。
こちらはこれから行く稜線。明日歩く奥千丈岳からの稜線も見えている。
ひとしきり景色を堪能して、国師岳に向けて出発。
登山者はぐっと減る。
奥秩父の森は、苔むした針葉樹の森。緑濃き...と言いたいが、ぱさぱさ気味でちょっと赤茶けている。
朝日岳手前のビューポイントからの金峰山。なかなかかっこいいけど、同じ眺めでもやっぱり冬のほうがいいな(「静寂の別世界、金峰山山頂」)。
一瞬、富士山が雲の上に浮いているように見えた。
朝日岳山頂で長めの休憩。今のペースだとサイト場に早く着きすぎてしまう。
休んでいると、これから行く大弛峠のほうから次々と登山者がやってくる。大弛峠まで自家用車で来て、金峰山を往復する人も多いのだろう。
朝日岳を超えると雪が出てきた。吹き溜まりでくるぶしくらいある。晩秋の雪だ。
まずいな、まさか積雪があるとは。雪の支度はしていないな。
一般車両が通行可能な上川牧丘林道の大弛峠、標高2365m。車道が奥秩父の稜線を分断している。こんなところに道を作らなくてもいいのに。
大弛峠にある大弛小屋。テン泊の手続きをする。
テント場は樹林の中。まだ1つも張られていないので好きなところに張る。
国師岳をサブするため、サブザックを背負ってテントを出る。
小屋の横から国師岳への登山道を登る。
この道は、急な斜面の随所に木道や階段が設置されている。この木道は普通の木道のイメージとは違っていて、地面から1m以上高いところに橋のように渡されているところもある。
木道の上には雪が積もっていて、滑って落ちればただでは済まなそうだ。一歩一歩慎重に登っていく。
雪の積もった斜面を登り切れば、北千丈岳の分岐。明日はここを右に行く。
分岐から国師ヶ岳の山頂はすぐ。
南側の展望があり、明日行く稜線が見えている。しかし、朝の晴天とは打って変わり、いつの間にか空の大半が怪しげな灰色の雲に覆われている。
しばし大福を食べながら山頂を堪能し、大弛峠に戻る。
あわわ。行きはよいよい、帰りは恐い、とはこのことか。
木道の上の雪が踏み固められて、さらに午後になり気温が下がって滑る滑る。木道が微妙に傾いているところもあり、滑ったらそのまま木道の外に落ちそうだ。チェーンスパイクがあれば何の問題もないのだが、こんな積雪は予想していなかった。
おそるおそる、フラットフィッティングを心掛けながら、小さい歩幅でちょこちょこペンギン歩きをして、なんとか無事に下った。
テントに戻って夕飯の準備。アルファ米とフリーズドライのカレーであっという間に終了。
やることもなく、一杯飲んでシュラフに潜り込む。
(次回に続く)
参考:
地図
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赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…