中央線沿線ラッセルラン~高畑山から金ピラ山、秋山温泉
2/10 鳥沢駅~高畑山~倉岳山~矢平山~金ピラ山~秋山温泉
中央線の相模湖から大月までの南側の車窓からは、中央線に沿って延々と続く山並みがみえる。この山々は、標高は1000m弱と低いが、高柄山から九鬼山までを含む、歩いたら2泊くらいかかりそうな長大な山稜をなしている。
この山稜は以前から気になっていた。しかし、学生時代に倉岳山にハイキングに行った時の、見通しの効かないうっとうしい藪山という記憶が強い。しかも、中央線の駅周辺に下山後に入れるような温泉がなく、どうにもそそらないのである。
ある時、地図を見ていたら、主稜線をはずれたところに「秋山温泉」の名を見つけた。よし、ここに下りれば温泉問題はクリア、藪山問題は冬に行けば解決する。さっそく、高畑山から秋山温泉までのランニングを計画した。
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5時前に家を出る。日中は気温が上がるとの予報だが寒い。暗くて寒いのに、山手線は座れないくらい混んでいる。
中央線も混んでいたが、中野あたりで人が少なくなり座ることができた。立川駅でガラガラの大月行きに乗り換える。
列車を下りると冷たい空気が襟元に触れる。列車を下りたのは5人くらいか。
耳が痛くなってきたのでニット帽をかぶる。見上げると羽雲が青空を流れていく。
国道を東に進む。道標に従って、線路の下をくぐる。
登山口までの道のりは複雑だが、しっかりと道標がついている。
道路のわきには除雪された雪が溜まっている。そしてアスファルトの道は凍結し、滑って走ることはできない。
小篠貯水池のわきのゲート。このあたりから登山ぽくなる。
それにしても日陰は寒い。山も真っ白、ちょっと嫌な予感。
登山道の上には、溶けて凍った雪。トレースが錯綜しそれが凍っているので、歩くたびにバリバリ割れたり、滑ったり歩きにくい。さらに、刈払った杉の枝が、登山道に無造作に放置されている。
高畑山と倉岳山の分岐。道標は立派だが、倒木が覆いかぶさっている。
雪がだんだん多くなる。高畑山に続くトレースは二人分くらい。
単調な杉の植林の道が続く。
標高600mくらいから雪が深くなり、もぐるようになってきた。
走るどころではない、トレランシューズではなく軽登山靴を履いてくるべきだった。
雪の中たたずむ道標。トラバース道から尾根に上がる合図。
尾根に上がると、そこは雪山だった。
トレースをはずすと脛までの深い雪。下手したらラッセル。
とはいえ、トレランでコースタイムを組んでいるのでのんびり歩くわけにはいかない。トレースをありがたく使わせていただいて、ガシガシと早歩きで進む。
高畑山山頂。少し広くなって切り開きがあり、美しい富士山が姿を見せる。
風がなく、日なたは暖かい。ちょっとだけ休憩して先を急ぐ。
狙い通り冬枯れの山は、藪山でも景色が良い。権現山のほうも真っ白だ。
高畑山から倉岳山の稜線は、南側はほとんど雪が融けている。しかし、融けた雪でぐちゃぐちゃになっていて、思うように走れない。
ここで本日の第一ハイカーとすれ違った。
倉岳山山頂。
相変わらず雪はあるが、トレースが増えだいぶ踏まれている。この先、標高も落ちていくので、なんとか走れるだろう。
少し雲があるが、日射しは強く暖かい。南岸にある移動性高気圧のおかげで風もない。
木からぽとぽとと雪が落ちる音。そして鳥のさえずり。
倉岳山で稜線が右に曲がる、が稜線沿いは急な崖。迷い込んだトレースが見えるが、そっちへ行ってはいけない。南からトラバースするように下りていく。
道は雪があったり、ぐしゃぐしゃだったり、凍っていたり。その繰り返し。
確かなことは、靴がドロドロになること。
道標が立派な立野峠。
ほとんどのトレースはここで下山。先に進むトレースはまた2つになってしまった。
植林の稜線の出っ張り、鳥居山。
変化の少ないただただ歩きにくい稜線に、面白みのないピークがある。でも今の時期でよかった。草木が茂る時期だともっと単調だろう。
ピークらしくないピークが続く。
なんだがまた雪が深くなってきた。
2つのトレースのうち、1つはここ寺下峠で下山。
ここから本日のラスボス、矢平山の登りが始まる。
矢平山の手前に丸ツヅク山という小ピークがあり、道はピークの北側をトラバースする。しかし、トレースは、ご苦労なことに稜線を忠実にたどり、ラッセルしながらピークに登っている。
うむ、どうしよう。登りたくないな。トレースのない道に沿ってトラバースすることに決めた。が、初めはよかったが、途中、雪が深くなり膝までのラッセル。低山の北側斜面をなめていた。ズボズボもぐりながら5分ほどラッセルを堪能する。
稜線に戻ると景色は一変。
矢平山の南面にはほとんど雪はない。崩れやすい岩場交じりの道。
登り切れば、矢平山山頂。また雪の広場。
ここでおにぎりを食べていたら、トレールランナーが通り過ぎて行った。私以外にも物好きがいた。
さて、ここから残りはほとんど下り、消化試合。
消化試合だと思ったが、まだまだ雪が多くて走りにくい。
おまけに山と高原地図(2018年「高尾・陣馬」)とルートが違っていて、正解ルートが分かりにくい。
2万5千図とコンパスを使って、慎重に見極める。
山と高原地図では、ルート上に旧大地峠があるが、旧大地峠は稜線通しの登山道からは外れている。この分岐は山と高原地図にはなく、直進。
山と高原地図では「旧大地峠」となっている付近の分岐。
それにしても雪が深くて走りにくい。時間通りに下山できるだろうか...
新大地峠。
それにしてもこの道標は...パタゴニアにあった、東京までxxxkm、ロンドンまでxxxkm、という道標(「フィッツロイの登山基地、エル・チャルテン」)を思い出した。
新大地峠のすぐ先で林道に出る。雪から解放された。
遅れを取り戻すべく、雪解けでぐちゃぐちゃの林道を走る。
景色はいいが、殺伐とした林道。丹沢方面がよく見える。
金山峠で林道と分かれ、再びトレールへ。
金山峠から先は道標はなく、あまり道も踏まれていない。雪があるとルートが分かりにくい。
本日最終ピーク、金ピラ山。山頂に道標があった。そして驚くことにお年を召したハイカーがいた。
半分藪のような道を汗をかきながら下る。標高が下がると、天気予報のとおり季節外れの暖かさだ。
深い雪、わかりにくい道、でもここまで来ればもう大丈夫。予定より30分程度の遅れで下山。
少し道路を走って、秋山温泉に到着。
地域の交流センターのようなところでお年寄りがのんびりしていた。
源泉かけ流しの湯舟があるのがよし。しかし、食事処は閉まっていて空腹を満たすことができず。
最寄りの上野原駅へは、無料の送迎バスに乗る。
上野原駅についたはいいが、地方の駅あるあるで、食堂が営業しているのは昼と夜だけ。今の時間はどこも開いていない。
そこで、救世主、駅前のいちやまマート。地方のスーパーあるあるで、惣菜やパン屋が安くて超充実している。
ここで買い物をしてイートインで食事をすませ、帰途につく。
(高畑山~秋山温泉、完)
赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…