熊におびえ、蝶舞う稜線へ~愛山渓温泉から大雪山、トムラウシ山(2)
8/1 愛山渓温泉~沼ノ平分岐~永山岳~比布岳~北鎮岳~黒岳石室
(前回の続き)
5時、熊が怖いので、完全に明るくなってからスタート。山には雲がかかっているが、おおむね晴れのようだ。
まずは松仙園の沼めぐりコースへ。愛山渓温泉からしばらくは林道を歩く。
松仙園は、大小の池塘が点在する湿原で、日帰りでも歩ける人気のコースだ。
登山口の道標から、いよいよ登山道に入る。当然のことながら熊出没注意の看板が立っている。
足場の悪い道を少し登ったところで、前方左から低い動物の唸り声が聞こえた。なんじゃ?
以前、三頭山で聞いたやつだ(「熊?と花の縦走路」)。
君子危うきに近寄らず。後ずさりするようにその場を離れ、林道を引き返す。
愛山渓温泉まで戻り、今度は沼ノ平分岐への直登コースに変更する。改めて、ここから登り直しだ。
最初は樹林帯。ここも熊が出そうな雰囲気が漂う。三十三曲と呼ばれる急坂のとりつきから、一気に高度を稼いでいく。
急登を登り切ると、樹林から抜け出し、笹を切り開いたトレールに変わる。
道に沿って一羽の鳥が私の前を行く。まるで道案内をしてくれているようだ。
沼ノ平分岐に到着。笹とハイマツに囲まれていて展望はあまりよくないが、これから向かう山々とそのトレールが見える。
雲が取れて、日射しが強くなってきた。
道はドロドロで、うっかりはまってしまう。密生した樹林と藪の道は蒸し暑く、奥多摩とさほど変わらない。
いったん下って沢を渡る。その後は、ひたすら永山岳に向かって登る。
振り返ると、先ほど歩いた松仙園の湿原が見えた。
周りをウシアブが常に2、3匹飛び回り、うっとうしい。ポールを振り回したら、一匹撃墜した。日本最大のアブ、アカウシアブだ。見た目はスズメバチによく似ている。
道のわきには、ちらほらと花が咲いている。
イワブクロの花。
1600mを超えると森林限界を超えハイマツの道となる。景色が開け、風も通って快適だ。
傾斜が緩くなると、広大なお花畑が広がっていた。前方にはこれから登る永山岳が見える。
ここは「花の台」と呼ばれる広い草原。おそらく本来は一面に花が咲き乱れているのだろうが、今はほとんどが枯れ花になっていて、その中にぽつりぽつりと咲いている程度だ。ザックを下ろしてしばし休憩。
ここまで来る間、ひとり分の新しい足跡があった。遠く稜線を見ると、黒く動く点が見える。熊ではなく、先行者のようだ。
永山岳まではあと少し。
永山岳に上がると、溶岩と赤茶けた土のボロボロの稜線が広がる。標高1,798m、大雪山系の主稜線の一角を成す山だ。風はあるが、日射しが痛いほど強い。
山頂から、これから歩く稜線を眺める。右は緩やかな斜面、左は崩落した崖が続く。その崖に当たった風が雲を生んでいる。
風に舞う落ち葉のように、無数の蝶が飛んでいた。日本で一度にこんなに多くの蝶を見たことがない。
台湾の蝶の谷(「リベンジ、蝶の谷!」)よりも、ずっと多くの蝶がいた。
安足間岳で、濃いガスの中に突入する。ここは比布岳へのルートと、当麻乗越へのルートが分かれる分岐点だ。
ガスの中、比布岳へ向かう登山道を探すと、ずり落ちそうな急なボロボロのザレに踏み跡が続いていた。
ガスが切れてきた。分岐から、これから歩く稜線を眺める。ザレの稜線が続いている。
火口の縁と思われる稜線を、踏み跡をたどって歩いていく。
ガスの合間から、愛別岳が頭をのぞかせた。
それにしても、稜線の砂礫の色はカラフルだ。チリのウマワカ渓谷を思い出した(「世界遺産、ウマワカ渓谷」)。
途中、愛別岳への分岐に差しかかる。道は覗き込むような急なざれた斜面で、両側が崩壊した痩せた稜線が続く。
興味はあるが、今回は先を急ぐので見送る。
ここから先は比布岳、そして北鎮岳を越えて黒岳石室へと向かう。
(次回に続く)
参考:
地図
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赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…