雪割れ斜面に、平均台リッジ、泥雪崩~栂池から横前倉山(2)
4/19 栂池自然園~天狗原~風吹大池~横前倉山~風吹登山口~沢入
(前回の続き)
風吹大池に滑り込む前に、風吹天狗原を振り返る。
広い雪原の向こうに、乗鞍岳と小蓮華山。そして右には隈なき真っ白なバーンの穏やかな山、雪倉岳だ。山スキーの楽園らしいが夏にしか行ったことがない。ぜひ行きたいものだ。
風吹天狗原からひと滑りで、風吹大池。
ひと休みして、シールを貼って、凍った湖面を横断。
風吹天狗原からの斜面に我々が書いた落書き。
風吹大池を渡って、小さな丘に上がると正面にまた池がある。これが小敷池。
この池の左斜面をトラバースして、正面の岩菅山と横前倉山のコルに立つ。ところが、この左斜面がかなり急なうえに、深い新雪が強い日差しを浴びて、グサグサと崩れる重い雪に変わっている。
一歩足を出すと、途端にザザーッと足元が崩れていく。滑落しても小敷池の湖畔に滑り落ちるだけなので、怪我をすることはないだろう。しかし、この崩れやすい雪を登り返すのはきつすぎる。一歩一歩、足元を固めながら慎重に進む。
コルが近づくにつ入れて高度感が増す。もう少し、と思ったところで、後ろを歩いていたメンバーの足元の雪が崩れ転倒、なすすべもなく湖畔までずるずると落ちていく。
ひとまずコルに上がり、荷物を置いて一人が助けに行く。二人で斜面が緩そうなところをラッセルしながら、休み休み登ってくる。
1時間以上かかって復帰。休憩して、水を飲んで行動食を食べて燃料補給。気を取り直して出発。
横前倉山のコルから来し方を眺める。
午後の柔らかな日差しが雪山を照らす。だいぶ日が傾いてきた。
藪の中を横前倉山の山頂を目指して登っていく。
横前倉山の山頂直前で北に派生する尾根の斜面。あまりにも気持ちよさそうな斜面で、こちらに行くべきでしょ、と思ってしまうが、こちらではない。
横前倉山の山頂はぱっとしない台地。
ここで決めなければいけないことがあった。下山ルートだ。横前倉山の山頂から南俣沢を滑降するか、夏道の風吹登山口に出て林道を滑るか。
前者は、雪があれば快適だと思うが、ここまでの雪の状況だと厳しそう。後者は雪はありそうだが、2万5千図だと崖記号に挟まれた平均台のようなリッジが続く。崖記号に挟まれた谷はゴルジュで、それはよく見るが、崖記号に挟まれたリッジは見たことがない。このリッジに雪が積もると一体どうなるのか?
山頂から南俣沢を眺めると、思った通り土の色がそこかしこに見え、かなり雪解けが進んでいる。迷うことなく平均台リッジを選択する。
シールを外して、山頂から少し滑り降りる。
急な斜面が100mほど続いていて、その先は見えない。ここよりさらに急な斜面になっているのだろう。とりあえず滑り降りる。
崖っぷちに立っている。
斜度は30度を超えている。今まで斜面で1、2を争う急斜面。
おまけに雪が割れ、幾筋も亀裂が入っていて、深い亀裂の底に青々とした笹が見える。この斜面に木立が少ないのは、間違いなく雪崩が頻繁に起きるからだ。雪崩のために木が育たず笹の斜面となっている。その笹のためにさらに雪崩が起きやすくなっている。
つるッとした笹の上の雪の塊は今にも動き出しそうだ。
幸い、もう陽が当たらないので雪が硬くなってきている。間隔を開け、亀裂に注意しながら斜滑降で恐る恐る下り、適宜キックターン。雪面を刺激しないように最大限の注意を払って滑る。
ふう、なんとか下り切った。
ここからは、雪はグサグサだが、滑りやすいツリーランがしばらく続く。
問題は、平均台リッジ。
平均台リッジが現れた。
両側を沢に挟まれた細いリッジ。不思議な地形。でもこれくらいなら滑れる。
陽が完全に陰り、雪が硬い。雪が割れているところもある。落ちないように慎重に平均台リッジを滑り続ける。
リッジの高度感はないが、沢に滑落して雪を踏み抜いたりしたら大変。
そろそろ終わりか、と思ったが
難所は最後にやってくる。
トップは滑って行ってしまったが、木の枝が散乱し、エッジが効きにくい。
無理!スキーを脱いでツボ足で越える。場所によっては幅が50cmもないのでツボ足でも怖い。これが北アの主稜線だったら足がすくんだだろう。
この難所を越えるとしばらくまたツリーラン。しかし、雪は汚れ、木の枝が散乱し、スキー板が可哀そう。
風吹登山口付近の林道にでたが、状況は悪化している。
倒木が多く、さらには林道が雪に埋もれていて、南俣沢へ急斜面のトラバースを繰り返して下りることになる。
ペースも予定よりだいぶ遅い。
南俣沢に下りきった。
橋はあるが、その先の林道は雪に埋もれて定かではない。
陽は沈み、山々は淡い光に照らされている。
林道は完全に雪に埋もれ、沢沿いの急斜面と一体化している。滑落しないように一歩一歩集中しながら歩く。
林道は、断続的に、泥が混ざった雪崩に覆われている。そのためスキーで移動できず、ツボ足でゆっくり確実に乗り越える。
ああ、林道がうんざりするほど長い!あたりは徐々に夕闇に包まれてゆく。
870m付近で尾根を越えると、緊張する斜面はなくなった。泥雪崩もなくなったのでスキーを履いて、ヘッドランプをつけて、林道に沿って滑り降りる。
しかし、安堵したのもつかの間、すぐに雪がなくなってアスファルトの道路になった。スキーを脱いで、トップがタクシーを呼ぶために、ダッシュして先に進む。
重いスキーを背負って、真っ暗な林道をヘッドランプの光を頼りに、兼用靴でガチガチとアスファルトを歩く。
やがて、前の方に車のヘッドランプが見えた。トップが呼んでくれたタクシーだった。
終わった...長い一日だった。
(横前倉山、完)
参考:
地図
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赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…