世界遺産の城塞、白亜の寺院を経てウダイプルへ~インド、ラージャスターン州の旅(5)

12/31 ジョードプル~ラーナクプル~クンバルガール城~ウダイプル

前回の続き)

今日はウダイプルへの移動日。
当初は鉄道で移動するつもりだったが、少し面倒なので車をチャーター。車を使えば途中、クンバルガール城とラーナクプルという観光地に効率よく立ち寄ることもできる。

日の出前に起きて、まずは朝食。
宿のレストランはベジなのでやめて、朝から開いているGopal Roof Top Restaurantに行く。が、開いているのに誰もいない。奥までずけずけと入って、そこにいた人にスタッフを呼んでもらう。

20231228 インド・ラージャスターン、Gopa Roof Top Reataurant

城壁の見える屋上で食事。アザーン(イスラム教の礼拝の呼びかけ)が大音響で街に響き渡る。
しかし、とにかく寒い。冷たい風の吹きさらし。ウインドブレーカーを着てとにかく耐える。

20231228 インド・ラージャスターン、Gopa Roof Top Restaurantから日の出

気が付けば、うすぼんやりとした朝日が昇っていた。

食事を済ませて宿に戻る。

20231228 インド・ラージャスターン、ジョードプルの野良牛

宿の前に、神の使いの野良牛。
分別されていないごみをあさって食べているが、大丈夫なのだろうか。インドは牛に生ごみを食べさせて、ごみの量を減らしているじゃないかと思う。

8:30にSuzukiの車でお迎え。ドライバーは、背は低いががっしりとした髭面。あまり英語は話せない。
空港の横を通って、幅の広い有料道路に入る。途中、歩道にタープを張って暮らしている人々がいた。街中では暮らせないので郊外で暮らしているようだ。

ドライバーがガソリンスタンドに行くという。中央分離帯の切れ目を右折、そのままUターンするのかと思いきや、なんと反対車線を逆走しだした。車は少ないんだけど、怖いよ~。対向車がくると路肩にのって退避する。
ガソリンスタンドに無事到着。めちゃくちゃだな、インド。

20231228 インド・ラージャスターン、ラーナクプルへ

有料道路から一般道に入る。のどかな風景。
しかし、激しい揺れが始まる。有料道路は車中でメモが取れるくらい路面が良かったが、一般道はへこみや、路肩の浸食でボコボコだ。

まばらに灌木が生える茶色く乾いた地面。荒れ地のように見えるが畑のようだ。ときどき、菜の花の黄色い絨毯。
いくつかの街を抜け、そのたびにリキシャや牛を右に左にとよけながら進む。そして森が見えてきた。

20231228 インド・ラージャスターン、ラーナクプルの入り口

森の丘の上に、ラーナクプルはあった。
靴を脱いで、手荷物のチェックを受け(革製品や飲食物は持ち込み禁止)、パスポートを預けて音声ガイドをもらう。そして、石が敷かれた広場をペタペタ歩いて、建物の中へ。

20231228 インド・ラージャスターン、ラーナクプル、大理石の柱が並ぶ

おお、なんだかすごい。
無数の大理石の柱がにょきにょきと並んでいて奥が見渡せない。

ラーナクプルは、15世紀に建てられたジャイナ教の寺院。建物全体が大理石で作られ、柱は420本ある。
音声ガイドが細かく説明してくれる。ここの音声ガイドも日本語のガイドが十分すぎるくらい充実していて、まともに聞いていたらなかなか前に進めない。

20231228 インド・ラージャスターン、ラーナクプルの彫刻

柱や壁には隙間なく精緻な彫刻が彫られている。柱の彫刻はどれ一つとして同じではないとのこと。大理石にこんな細かい無数の彫刻を彫るなんて、気が遠くなりそうだ。

20231228 インド・ラージャスターン、ラーナクプルの聖なる木

中庭に聖なる木。
ここには天井がない。内外の一体を表すそうだ。

20231228 インド・ラージャスターン、ラーナクプルの観光客

参拝ではなさそうな観光客(自分もそうです)が多い。
地球の歩き方には、説明が少し書かれているだけで写真もないが、ジョードプルにきたらぜひ寄りたいところだ。

20231228 インド・ラージャスターン、ラーナクプルの天井ドーム

天井のドームにも気が遠くなりそうな彫刻が。これもすべて大理石。射出成型のプラスチックじゃないよ!

圧倒されてくらくらしそうになり、建物を出る。
時間の制約があるので急いで見て回ったが、それでも1時間かかった。

20231228 インド・ラージャスターン、ラーナクプルの靴脱ぎ場

靴脱ぎ場。うん~、俺の靴はどこだ。
きっとここは雨が降らないんだろうな。

靴を履いて車に乗り込む。
ここから山越えの道。岩山をトラバースするような蛇行した道を登っていく。
顔が白と黒とで塗り分けられた猿が、前を行く車のドライバーに餌をねだっている。日光みたいだ。

20231228 インド・ラージャスターン、ラーナクプル近くのレストラン

山を越えたところにある、リゾートホテルのレストランのようなところで昼食。ドライバーのおすすめ。
まずくはないが、もちろんとても高い。

20231228 インド・ラージャスターン、ラーナクプル、キングフィッシャー

ホテルの川岸にキングフィッシャー(カワセミ)発見。

さっさと食べて、さっさと出発。
山道を下っていくと、道端に”English Wineshop”の看板をいくつも見る。山間の周りに何もない空き地に、ブリキの建物がぽつりと建っている。中には、缶ビールのようなものが並んでいるようだ。たぶん、人目を忍んだ酒屋だ。

再び、細い道をリキシャやら牛やらをかわしながら、いくつもの小さな街を抜ける。
突然、人と車がごった返す広い道に出た。

クンバルガール城だ。

20231228 インド・ラージャスターン、クンバルガール城への道

車を駐車場にとめて、丘の上の城まで歩く。
路上駐車した車が数珠のように連なって城門まで続いている。途切れることのないクラクションや土産売りの掛け声が暑苦しい。

20231228 インド・ラージャスターン、クンバルガール城の城門

城門までやってきた。分厚くぼってりとした石の壁。
リキシャならここまで来れるので、観光客で混みあっている。インドの観光地は人が多いな。

20231228 インド・ラージャスターン、クンバルガール城の宮殿への道

丘の上に見えていた宮殿へ。
ジグザグの上り坂。人混みをすり抜けながら上へ上へ。額から汗が落ちる。

20231228 インド・ラージャスターン、クンバルガール城から城塞内のながめ

宮殿の屋上から、城塞内を見下ろす。一周10㎞を超える城塞内に、物々しい石の建物が点在する。遠景はかすんでよく見えない。
時間があれば端まで行ってみたいが、時間がないので、手前のめぼしい建物で我慢しよう。

20231228 インド・ラージャスターン、クンバルガール城、屋上の回廊

どういう意味があるかわからないが、屋上には回廊がある。

20231228 インド・ラージャスターン、クンバルガール城、駐車場方面

こちらは来し方、歩いてきた車道。
スモッグがすごい。

202312281 インド・ラージャスターン、クンバルガール城の建築群

上ったジグザグの坂を速足で下る。
さて、どの建物に行こうか。

20231228 インド・ラージャスターン、クンバルガール城の寺院

この寺院に入った。屋上まで上れるけど、狭い階段に手すりはないので気をつけてね。

20231228 インド・ラージャスターン、クンバルガール城の城壁の上

城壁に上がる。広い石畳の道のようだ。その先には威圧的な宮殿。

この城は、15世紀にクンバーという王様によって建てられた。
世界遺産に指定されているだけあり、雄大で美しい城だ。

そういえば、世界遺産マークを見なかったな...

ドライバーに約束した時間が近づき、慌てて来た道を戻る。
一路、最終目的地、ウダイプルへ。
ここから道が良くなり、道路に穴があいていないので、車はスピードを上げる。道の両側には、English Wineshopの看板多数。

ウダイプルが近づくとだんだん建物が多くなる。渋滞をさけるため幹線道路から外れ、白いマンションのような建物が並ぶ住宅地に入る。高級住宅地だろうか、今までと全く雰囲気が違う。
しばらくして、再び幹線道路にはいると大渋滞。日が暮れた薄暗い道は、何車線あるかわからないが、道路は無数のテールランプで埋め尽くされている。クラクションもやむことはない。隙間があればリキシャやバイク、車まで押し入ってくる。

ドライバーもしきりと前を見ながら、クラクションを鳴らしている。その時、

「ガッ!」

斜め後ろから幅寄せしてきた小型トラックが、車のドアミラーにもろに衝突。ドアミラーは根元から折れて、プラプラしている。
ドライバーはすかさず窓を開けて、トラックに向けて大声で怒鳴っていたが、トラックのドライバーは、一言二言怒鳴り返して、そのまま行ってしまった。

恐るべしインド。

かなりイラついているドライバーが、もう車は動けないからここで下りろという。
なんだそりゃ!

まだ市街地まで1km以上あるし、道は暗く、車が隙間なく詰まっていて、どこを歩けばいいのかもわからない。
目的地まで行かないと半分しか金を払わんぞ、とか押し問答をして、なんとか市街地の入り口まで行かせる。

20231228 インド・ラージャスターン、ウダイプルのホテル

リキシャがかすめるように走る細い路地を、グーグル先生を頼りにホテルにたどり着くことができた。
ありがとう、グーグル先生。

狭いけどこぎれいな部屋。まずはシャワー...シャワーのお湯は部屋ごとにタンクで沸かす方式。お湯が沸くまで10分待つ。

20231228 インド・ラージャスターン、ウダイプルのホテルの屋上のレストラン

シャワーを浴びてさっぱりして、屋上のレストランへ。
夜の8時をまわった。なんだか疲れたな。でもラーナクプルもクンバルガール城も見ごたえがあってよかった。

湖岸に沿ってホテルが並んでいる。そして、どのホテルも明々と光り輝いている。
空を交差するレーザー光線。太鼓や銅鑼の音、賑やかな音楽がそこかしこから聞こえる。そういえば、今日は大晦日だった。

20231228 インド・ラージャスターン、ウダイプルのホテルのレストランにて

ベジレストランだった。
美味しいんだけど物足りない。疲れた時は、がっつり肉を食いたい...。ビールはあった。すっかりなじみのキングフィッシャー。

とりあえず腹は満たされたので、さっさと寝る。
太鼓や銅鑼の音は一晩中鳴り響いていた。

(次回に続く)

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