城壁が見下ろす青い街、ジョードプル~インド、ラージャスターン州の旅(2)
12/29 ジョードプル(ジャスワント・タダ、トゥールージーの階段井戸)
(前回の続き)
目が覚めた時には、外はすっかり明るくなっていた。
「チャイ~、チャイ~」の掛け声が通路の向こうから聞こえてくる。大きなポットを持った男と金を集める男の二人組でチャイを売りに来た。
20ルピーで小さな紙コップに注いでもらう。金を受け取らずに行ってしまいそうになったので、慌てて引き留める。ちゃんと商売になっているのかな。
チャイは、スパイスの香りのする生姜ミルクティー。ちょっと甘いが朝の目覚めにあっている。
朝食を売りに来るのを待ったが、なかなか来ない。あきらめて日本から持ってきた魚肉ソーセージと昨日乗車前に買ったバナナを食べる。
車窓からはくすんだ色の景色。
くすんでいるのは窓が汚れているせいもあるが、スモッグの空の下、乾いた畑が広がる景色は本当にくすんでいる。
ちょっと遅れて11時前にジョードプル駅に到着。
列車を下りると少し暑い。乗った時は少し寒かったが、日が高くなるとインドのイメージどおり暑くなる。
ホームは意外に、というかかなりきれいでピカピカに磨かれている。トイレもそこそこきれい。インドのイメージとちょっと違う。
駅前にはコンクリートの建物が並び、大勢の人々が行き来し、客を探すリキシャのドライバーの掛け声もにぎやかだ。
さすがラージャスターン州第2の都市、ジョードプルのターミナル駅。
声をかけてきたオートリキシャを適当に値切り(100ルピーは高いのか安いのか...)、観光拠点の時計台へ。
大通りの両側には、小さな店が整然と、ぎっしりと並んでいる。そこをこい~人たちが行きかっている。なかなか男前が多い。
時計台に到着。歩いているすぐわきをオートリキシャやバイクが結構なスピードで通り過ぎる。ひっきりなしに聞こえるクラクション。
裏通りに入ると、石造りの建物に挟まれた路地が複雑に入り組む。ところどころ石組みが崩壊していたり、それぞれの店の前には店員が突っ立っていたり、昔のカトマンズの街を思い出す。
ホテルにチェックインし荷物を置く。今夜の宿はgoogle先生の評価も高い、Krishna Prakash Heritage Haveli。
ちょうど昼食の時間。ランチにしよう。google先生によさそうなところを相談。
時計台近くのPanorama 360というレストラン。19世紀に造られたの豪邸の一角にある。テラス席には、目の前にメヘラーンガル砦。
昼時なのに、テーブルの上をリスが駆けまわっているだけで客はいない。ちょっと心配になる。日なたは暑いので日陰のテーブルにつく。
店員はフレンドリーに応対してくれる。チキンカレーとマトンカレー、そしてビールを注文。
カレーの味はざっくり日本の本格インド料理屋に近い。でもよりスパイシーな香りで、バターがたっぷり入っているのか、よりこってりしている。うまい。
ビールはキングスフィッシャーというブランドで、さっぱりしたピルスナー。
午後は青い旧市街を散歩。
ジョードプルの旧市街は、青く塗られた建物が点在することから「ブルーシティー」とも呼ばれる。青く塗られているのは、ヒンズー教の神聖な色である青をバラモン(僧侶)の家に塗ったという説がある一方、銅イオンのために青くなっているので虫よけだろう、という現実的な説もあり、はっきりとした理由はわかっていないらしい。
ときどき家の壁に描かれた絵をみかける。これは空飛ぶう〇こ?
頭上から「ちっち」という鳴き声が聞こえる。鳥かと思ったが、電線を駆け回るリスだった。
砦の下をトラバースするように通りを歩く。ここはあまり青くない。青い家はとこどころにかたまって立っている。
そこここで子供が道路で遊んでいて、しょっちゅう話しかけられる。家の屋上からも話しかける。あまりにも話しかけられるので、子供集団をやや避け気味に歩く。
期待に反して野良牛を見かけない。野良犬はたくさんいる。
分かれ道の傍らに腰を掛けていたおじいさんに、ジャスワント・タダへの道を尋ねる。嬉しそうに、ここを登っていきなさいと教えてくれた。
たぶん、このおじいさんはずっとここに腰かけていて、道に迷った観光客と話をするのを楽しみにしているのだろう。
細い坂道を登り切るとメヘラーンガル砦の全景が見えた。でかい。
ジャスワント・タダの手前に街を見下ろす丘がある。その頂には馬に乗りメヘラーンガル砦を指さす誰かが。誰?
それにしても、空が青くない。街もかすんで見える。晴れているはずなのに靄かスモッグか、まるで薄曇りのような空だ。
たくさんのリキシャのよけながら歩き、ジャスワント・タダに到着。1899年に建てられたマハーラージャのジャスワント・スィン2世のお墓廟。
手前には、乾いた岩山の水たまりのような池がある。今にも干上がってしまいそうな池にみえる。しかし、魚が群れをなして泳ぎ、野鳥の休息場所にもなっている。
大理石の壮麗な廟。いたるところに細かい彫刻が施されている。
廟のまわりには、遠くを見るしぐさをしたり、イェ~イみたいに指を立てたり、髪に手をやったり、ポーズをとって写真を撮っている人がたくさんいた。インド人も中国人みたいな撮り方が好きみたいだ。もしかしたら、あまりわざとらしいポーズをとらない日本人がアジアの例外なのか?
外は干からびそうな暑さだが、廟の中はひんやり涼しい。
ジャスワント・タダの後ろの岩山を眺める。
稜線に沿って城壁のようなものが続いている。熾烈な領土争いがあったのだろう。
あまりの暑さに、入り口にあった売店でペプシコーラを買って一気飲み。
再び街に戻る。途中で待望の第一野良牛と遭遇した。
行く手を遮るこの手は何?最大野党、インド国民会議のシンボルマークでした。選挙の投票用紙にはシンボルマークが書かれているので、目に焼き付けてもらいたいのだろう。
特にあてもなく、宿の方向へぶらぶらと歩く。
人が集まっている場所があったので行ってみたら、トゥールジーの階段井戸だった。
途中まで下りてみたが、急傾斜で高度感がある。三ツ峠のテラスみたい。ザイルが欲しくなる。
水中に魚が群れて泳いでいるのが見える。
井戸を見下ろすカフェで一休み。
子供たちが井戸へダイブ。高さを競って、だんだん飛び込む位置が上がっていく。
そして、お巡りさんがやってきて、ピーピー笛を鳴らすと、子供たちは蜘蛛の子を散らすように退散した。
井戸を道路から見るとこんな感じ。あんな巨大な穴が開いているとは。
宿に戻る。いろんなところに彫刻が施されている。そして、錠前はだいたいこの丸いやつ。
なんとなく疲れたので、宿に戻ってしばし休憩。
日が暮れたので食事に行くか。
またもやgoogle先生頼み。
宿から近い、Gopal Roof Top。
例のごとくチキンカレーとビール。旅行者向けのお高いレストランだからかもしれないが、やっぱりうまい。カレーには酸っぱいヨーグルトがたんまりかけられている。
ビールは、やっぱりキングフィッシャーだけれど、昼に飲んだのとは違ってちょっとエールっぽいコクがある。
完全に暗くなると、闇の中に砦が赤く、街が青く浮かび上がる。
いやはや、最高の夜ですな。
(次回に続く)
参考:
ガイドブック
|
赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…