賑わう黒檜山から深閑たる鈴ヶ岳へ~赤城山周遊(2)
11/19 新坂平~地蔵岳~長七郎山~黒檜山~鈴ヶ岳~新坂平
(前回の続き)
赤城山最高峰、黒檜山山頂。
写真では人が少ないように見えるが、実はハイカーで賑わっている。みんな気を使って、山頂のプレートから離れたところで休憩している。
足元は融けかけた雪と泥でぐちゃぐちゃ。
山頂から先に絶景スポットがあるというので行ってみる。
残念ながら北側はまだ雲が残っていて、あまりよく見えなかった。
たぶん、展望なら黒檜山より地蔵岳や長七郎山のほうが上だろう。
風が吹くたびに霧氷が木からはがれ落ち、雪のように舞い顔に当たる。
再び山頂に戻って、おにぎりを食べて出発。ここまでまだやっと半周くらい。先は長い。
大沼を正面に、尾根に沿って真っすぐ下る。
さっきまで走っていた、地蔵岳と八丁峠。
黒檜山登山口に到着。ここから少し車道歩き。
標高差500m近い急なトレールを一気に駆け下りたので、足がバカになりそうだ。少し休憩。日射しが強く、暑くなってきたのでフリースやニット帽を脱ぐ。
ゆるゆると登るアスファルトの道を軽く走って、五輪峠。
ここからまたトレールに戻る。
人影は全くない。しかし、笹原の混じる樹林帯のトレールはよく整備されていて、走りやすい。
五輪峠からアップダウンも少なく、あっという間に薬師岳山頂。
けたたましい熊鈴の音が近づいてくる。そして、ここで本日初、ランナーとすれ違う。
左手に大沼を見ながら走る。冬枯れの今の時期の特典。
出張山に近づくと、大沼の向こうに黒檜山と駒ヶ岳が見えるようになる。
チェックポイント出張峠。
ここから大沼へはすぐにエスケープできる。しかし、鈴ヶ岳に登る予定のコースはまだまだ長い。
出張峠から鈴ヶ岳が大きく見える。実際に直線距離ならそんなに遠くない。だが、なぜか道は沼尾川に沿って1kmほど下り、そこで対岸に渡って、鈴ヶ岳をトラバースしながら戻ってくるように、大回りになっている。
最初は、壊れかけたミニハードル状態の階段をひたすら下る。そして、あまり踏まれていない、シダが繁茂する薄暗い湿っぽい道をうんざりするほど走る。
「関東ふれあいの道」だが、なにとふれあうのだろう。
沼尾川渡河点。太陽は西に傾き、トレールはすっかり鈴ヶ岳の影の中に入ってしまった。
肌寒い。ウインドブレーカーを羽織る。
沼尾川を渡ってすぐに深山へのルートとの分岐があり、鈴ヶ岳登山口がある。ここから登り返し。
ほとんど人が来ないのだろう、トレールは薄い。落ち葉に埋もれて不明瞭なところもある。
熊がでそうな雰囲気で、熊鈴を鳴らしながら、きょろきょろしながら歩く。
道は薄いが、意外と新しい道標があった。しかし、鈴ヶ岳山頂への矢印が下を向いている。山頂は上です。ここは異次元の世界か?
稜線上のコル、大ダオが近づくにしたがって傾斜が増す。そして、道はますますわかりにくくなる。でも少なくとも、上に向かって沢状地形を登ればいいので、迷うことはない。
それより、薬師岳でランナーとすれ違ってから全く人に出会わない。森は静まり返って、自分の足音と熊鈴の音以外、何の音もしない。
ここは本当に異次元の世界?それとも私は人類の最後のひとりか?
鮮やかな色にハッとし、異次元の世界から連れ戻される。
大ダオに到着。道に戻ってきた(今までも道だけど)。
北側斜面を抜けて戻ってきた光は夕方の色。冷たい風も戻ってきたので、ニット帽を装着。
ここから鈴ヶ岳をピストン。
鈴ヶ岳へは、ちょっとした岩場あり、細い尾根あり。二万五千図を見てイメージしていたより急峻な尾根だった。
鈴ヶ岳山頂。展望はほとんどない。誰もいない、鳥さえいない、秋の午後の光さす深閑たる山頂。
早々に立ち去る。
鈴ヶ岳山頂から大ダオまで、10分ちょっとで下る。もしかしたら、予定より一本早いバスに乗れるかも。ちょっと計算するとキロ10分で走れば大丈夫そう。
ここから猛烈にダッシュ!
大ダオから鍬柄山。尾根が細く、ガラガラしている。でも疲れた足でガシガシ登る。
今日、ずっと左手に見えていた大沼。そして、夕日をあびる黒檜山。もう霧氷は融け切ったかな?
正面には、朝一番で冷たい風に震えながら、絶景を堪能した地蔵岳。
今日も長い道のりだったけど、楽しかった。山よありがとう!ってまだ下山していないよ。急がないと。
ちょっとバスが厳しいか。いやいや、あとは下りだけなので頑張ろう。
レースペースでバス停向けて駆け下る。
バスの発車時間3分前。鈴ヶ岳登山口に下山。バス停が見える、バスはまだ来ていない、走れ!走れ!
バス停に着くと同時に、こちらに向かうバスが見えてきた。助かった。
いそいそとバスに乗り込む。熊鈴をつけたままだったので乗客の視線を浴びる。
熊鈴を外し、ウインドブレーカーを脱ぎ、ハイドレーションのチューブをしまって、一息つく。ウインドブレーカーの内側が、汗でびしょびしょだ。
帰りも富士見温泉でバスを乗り換え、前橋駅に帰還。
ありがたいことに、前橋駅から歩いて2、3分の所に温泉がある(天然温泉ゆ~ゆ)。源泉かけ流しの湯舟もあり、のんびりと湯につかる。
風呂上がりにビール。そして食事。
温泉施設の食事にはあまり期待しないのだが、ここのとんかつ定食は安くてうまい。さすが豚肉王国群馬の三元麦豚。
前橋駅から長い家路につく。充実した一日だった。
(赤城山周遊、完)
赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…