雪に阻まれ、林道エスケープ~金峰山から国師ヶ岳(2)
10/29 大弛峠~川端下
(前回の続き)
テント場は樹林帯だったが、時々風が樹林帯の中まで吹き込んだ。
そして、夢うつつのシュラフの中で、テントを叩くサラサラという音を聞いていた。
あ~あ、やっぱり。風に乗って雪が舞っている。気温も低い。
さっさと朝食を済ませ、テントを撤収。
まず、昨日のルートをたどって北千丈岳の分岐まで行かなければならない。小屋の横から昨日登ったルートに踏み出す。しかし、気温が下がったため踏みしめられた雪が凍り付き、さらにその上にうっするらと新雪が乗っていて、今にも滑って転びそうだ。
そして、木道に片足を乗せた時にエスケープを決意した。木道は氷の板と化していて、まっすぐ立っていることすら困難だった。高い木道から落ちたくない。
日が当たり雪が緩むまで待とうかとも思ったが、先が長いので時間によっては日没まで下山できない可能性がある。よけいなリスクをとるのはやめよう。
予め決めておいたエスケーププランに沿って下山開始。
信州側の川上牧丘林道を川端下のバス停までひたすら歩く。林道歩きは嫌いだけどしょうがない。今年は東俣林道といい(「灼熱の東俣林道」)、林道を歩いてばかりだ。
川上牧丘林道の山梨側はしっかりした舗装道路。それに対して、信州側は、轍の跡がえぐれているような場所もあるダートだ。
雪雲に霞む道をぴょこぴょこと速足で下る。
下るにつれて雪雲から出て、普通のガス(霧)になる。気温が上がり、暑くなってきた。
神秘的な雰囲気の森の中の道を進む。
東股沢を渡ると道がしっかりとしてくる。
ここまで、出会ったのは上ってきた車2台、追い抜かされた自転車1台。歩いている人なし。
谷沿いの道から、樺の林が広がる明るい川沿いの道になる。
マットを背負ったボルダーとたびたびすれ違う。そうだよな、天気もいいし、暖かいし、絶好のボルダリング日和だ。
あれ?思わず振り返ると奥秩父の稜線だけが雪雲に覆われていた。
道路を歩くのはうんざりだが、岩と紅葉の景色がちょっとだけ心を癒してくれる。
やっと川端下のバス停に着いた。
ここから帰るのも一苦労。信濃川上までバスで行き、小海線で佐久平、そこから新幹線に乗らなければいけない。
バス停でバスを待つのは、私と技能実習生とおぼしき外国人。
そして、停車したバス停でバスに乗るのも外国人。バスは外国人でいっぱいになった。イベントでもあるのかな?
バスが遅れ、信濃川上でぎりぎりで小海線に乗り、佐久平。
佐久平の駅前には、佐久プラザ21という健康ランドがあって、そこで汗を流す。温泉ではないようだが、駅に近くてとても便利。湯舟にアヒルがいっぱい浮かんでいたのは謎。
それにしても、10月の奥秩父に積雪があるとは想定外だった。しかし、山で想定外は言い訳に過ぎない。しっかり準備してリベンジしよう。
(金峰山・国師ヶ岳、完)
赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…