灼熱の東俣林道~荒川三山(4)

8/21 赤石小屋~椹島~畑薙ダム~白樺荘

前回の続き)

朝。濃いガス。フライも周りの木々も濡れている。
虫にたかられながら、暗闇の中テントを撤収。椹島に向けて4時20分出発。

ヘッドランプをつけ歩き出すと、トレランスタイルの登山者とすれ違う。ちょっとびっくり。1日で赤石岳に登るのだろう。

20230819 荒川三山、椹島に向けて下山

食料が減ったのでザックが軽い。朝日の差し込む樹林の中を、跳ねるように駆け下りる。

20230819 荒川三山、椹島到着

ちょうど2時間で椹島ロッジに到着。
問題はこれから。

椹島ロッジから畑薙ダムへのバスに乗れるのは、東海フォレストの小屋の宿泊者のみ。私は熊ノ平小屋をキャンセルしてしまったので乗れない。
そこで椹島ロッジから畑薙ダムまで、東俣林道を歩かなければならない。
そこは歩けばいいが、その先はどうやって静岡駅まで行ったらいいのだ?
定期運航の公共交通機関がない。バスも乗り合いタクシーも前日までの予約制。

ロッジの方に相談したら、とりあえず電話してみたら、とのことでバス会社とタクシーの営業所に電話する。
バスは前日までのネット予約のみとのこと。タクシーは幸いにして他の予約が入っているので、それに便乗できるとのこと。助かった。
ロッジのスタッフの皆さん、相談にのっていただきありがとうございました。

さて、タクシーは畑薙ダムの臨時駐車場まで来るとのことなので、そこまで歩かねばならぬ。
林道歩きざっと20km。山と高原地図のコースタイムは5時間半。今9時。タクシーは15時15分。まあ、余裕で間に合うだろう。

既に強烈な日差しが照り付けている。ロッジで気つけにペットボトルのコーラを買って、それを手に出発。
初めのうちは、ちょっと気合を入れて1時間で5kmくらいのペースで歩いていく。

20230819 荒川三山、聖沢登山口

聖沢登山口に自転車が止めてある。畑薙ダムからここまで自転車で来たのだろう。
普通はこんな林道歩かないよな。

20230819 荒川三山、東俣林道の崖

大井川沿いの急斜面につけられた林道は、あちらこちら崩れている。そこで工事をする人もいる。

20230819 荒川三山、東俣林道が崩れている

ここも。

日が高くなるにつれ気温も上がり、暑さが耐えがたくなってきた。
ウエアは汗でぐっしょり。フライパンのような道路の熱を靴底を通して感じる。熱でふくらはぎがだるくなってきた。
灼熱地獄だ。

木陰で足をとめてしばし涼み、落ち着いたら次の木陰を求めて歩く。ひたすらそれを繰り返す。

20230819 荒川三山、赤石ダム湖

赤石ダム湖。不思議な色をしている。

20230819 荒川三山、東俣林道、崖から水が降り注ぐ

林道横の崖から滝のように水が降っている。
お~、冷たいぞ~。頭からかぶって体を冷やす。

20230819 荒川三山、東俣林道に沿ってゆったりと流れる大井川

ゆったりと流れる大井川。
しかし、今は何を見ても暑苦しい。

20230819 荒川三山、所ノ沢笊ヶ岳登山口

所ノ沢越への道は整備されていないと聞いているが、登山口の吊り橋は立派。

所ノ沢越には、水場のあるサイト適地があり、忘れられない思い出深い場所である。
今は知らないが、私が登った時の所ノ沢越は、この整備されていない道か、藪の深い縦走路を歩かないとたどり着けない難儀な場所だった。
そんな場所に私がたどり着いた時、そこにはきれいなザックが1つ、荷物が詰め込まれた状態で置いてあった。誰かが荷物を置いて用を足しに行ったのだろう、そのうち戻ってくるだろうと思い、あまり気にせずに、自分のテントを張って潜り込んだ。

しかし、翌朝になってもザックはその場所にそのままあった。

20230819 荒川三山、青薙山の崩落の末端

笊ヶ岳の稜線はあちこち崩れて、大井川まで土砂が流れ込んでいる。

20230819 荒川三山、畑薙橋

やっと畑薙橋までやってきた。畑薙ダムは近いぞ~。
それにしても暑い。木陰で休むとメジロが寄ってくるので、おちおち涼んでもいられない。

20230819 荒川三山、大井川の対岸の道のあと

大井川の対岸に道の跡がある。ダムができる前はあちらを歩いていたのだろうか?

20230819 荒川三山、青薙山登山口

懐かしい青薙山登山口。ここを少し上ったところに、池の平という楽園がある。

20230819 荒川三山、畑薙の案内板

周辺案内図発見。
山伏山から青薙山までもルートがつけられている。そう簡単には行けないだろう。

20230819 荒川三山、東俣林道ゲート

やった~、ゲートだ。ゴールはもうすぐ。

20230819 荒川三山、畑薙ダムへ

ダムに沿って歩く。もうすぐ駐車場かと思ったが、暑くて足が重くて、なかなかつかない。

20230819 荒川三山、畑薙ダムを振り返る

ダムを越えた。
そしてついに、タクシーのやってくる駐車場に到着。現在時刻13時20分。早く着きすぎた。タクシーの時間まであと2時間くらいある。

駐車場のわきにある登山案内所(テント)にお年寄りが二人座っている。下山報告書を書くように促される。
タクシーに乗るのだけど早く着きすぎちゃった、というと、この先の温泉に入ることを勧められる。タクシーには温泉に迎えに行くように言ってくれるとのこと。ありがとうございます!

20230819 荒川三山、白樺荘

道なりに20分歩いて白樺荘到着。
こんな山奥なのに広々とした湯船。汗と雨でぬれて乾いてを繰り返した体をリフレッシュ。
硫黄の匂いのするアルカリ性の単純泉。

冷房の効いた広いロビーで、アイスを食べ、ビールを飲んでタクシーを待つ。ああ、極楽。
タクシーに乗るなりウトウトする。しかし、目が覚めてもまだ走っている。なんと、畑薙ダムから静岡駅まで2時間半!
乗り合いなので5500円だが、普通に頼むと22000円くらいらしい。

畑薙ダムも静岡駅もどっちも静岡市。静岡市、広すぎる。

20230819 荒川三山、マグロ丼

静岡駅の駅ビルの居酒屋でマグロ丼を食べて帰京。うまかった。
それにしても、林道歩きが疲れたよ。

(荒川三山、完)

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