崩壊に行く手を阻まれ、進路変更~荒川三山(3)
8/20 千枚小屋~悪沢岳~荒川小屋~小赤石岳~赤石小屋
(前回の続き)
中岳避難小屋をすぎて、悪沢岳を振り返る。
大きいな。
荒川三山、2つめのピーク、中岳。
ちょっと霞んできたものの、まだまだ眺めはよい。
中岳から前岳は目の前。高低差もほとんどない。
前岳の手前で主稜線に合流。左が荒川小屋から赤石岳、直進が前岳から三伏峠、塩見岳へ。
ここからは来たことのある道。直進する。
あっという間に荒川三山、3つめのピーク前岳。
以前来た時には、今回と逆コースで高山裏避難小屋からカール状の大斜面を登って、この前岳にやってきた。
ここから真っすぐ行くと、カール状の大斜面をへて高山裏避難小屋に至る道「だった」。
しかし、その道は今はない。
事前の調査では、かつての道は、荒川側に崩壊してなくなってしまったらしい。反対側を巻くように踏み跡がついているそうだ。
かつての尾根沿いの道を進んでみる。すぐに崖でぷっつりと切れいている(写真正面)。
かつての道の右下、4、5mのところにハイマツを切り開いたような道型があるので行ってみる(写真右側)。ハイマツを切り開いたようなところは、確かに踏まれた跡がある。しかし、地面に亀裂が入っていてちょっと怖い。崩落するのも時間の問題か。先に進むとロープがあったので、正解かと思って近づくと、ロープは崖の下に消えていた。覗き込むと標高差500m以上はあろうかと思われる、草木一本も見当たらない大崩壊の崖。思わず後ずさる。トラバース道も崩壊している。
そこからルートを探す。
さらに下のほうに、不明瞭な踏み跡がある。おそらくそれが正解かと思われるが、かなりの急斜面をトラバースし、岩をへつるようなところも見える。滑ったらどこまで落ちるやら。
う~ん、ちょっとな~。沢登りや岩登りなら行くが、ソロの縦走なので落ちた時のリスクがでかい。しばらく悩んだが、ここで挑戦しても仕方ない。
進路変更。
戻るのも嫌なので、赤石岳をうって椹島に下りよう。進路を南に取る。
荒川小屋へのルートの広大な花畑は素晴らしい。
しかし、あのルートは本当に行けなかったのか、探し方が悪かったんじゃないかなどと思いながら、後ろ髪をひかれつつ歩く。
荒川小屋と赤石岳。
荒川小屋で長めの休憩。
コースの確認。今日中に椹島まで下りれそうだが、別に急がなくてもいいだろう。赤石山荘まで下ろう。そして、携帯の電波が入ったので、下界の連絡先に進路変更の連絡。
小屋から樹林のトラバースルートを行く。そして、樹林を抜けたところが大聖寺平。
ゴーロとハイマツの広い稜線をすたこらさ歩く。不思議と誰にも会わず、広い稜線をただ一人で歩き続ける。
小赤石岳に近づくに従って、傾斜がきつくなる。そしてガスに覆われる。
すたこらさ歩いているので、荒川小屋から小赤石岳まで山と高原地図のタイムの半分くらいできた。
椹島下降点。
赤石岳の山頂まであと20分くらい。目の前に山頂が見えるはずだが、ガスで全く見えない。山頂も展望はなさそう。雲も厚くなってきているし...雨も心配だ。
いいや。山頂に行くつもりだったけど、行ったことがあるからいいや。ここから下りよう。
道は赤石岳の広いカールに入る。壁のようにそびえる赤石岳。山頂だけガスに覆われている。
歩きにくい道と聞いていたが、すごい道だ。
カールの底に吸い込まれていくような急で、足場の悪いゴーロを下っていく。ここにきて何人も登山者を追い抜く。
カールの底に下り切って、水音が聞こえてきたら、北沢の水場。冷たい水をごくごく。
急斜面にへばりつくような花畑。
ラクダの背をトラバースする道を行く。がれがれした細い道が続く。
樹林帯に入ってもトラバースが続く。
急な岩尾根をトラバースする道は、落石や崩壊もあって管理が大変だろう。関係各位に感謝。
トラバースにうんざりするころ、富士見平到着。ガスで富士山どころか展望なし。
赤石小屋までもう少し。
やった~。予定より2時間早く、赤石小屋到着。受付と同時に予約していた熊ノ平小屋をキャンセルしてもらう。
サイト場は選びたい放題。幸いに日がさしてきたので、平らで日が当たるところにテントを張る。
マットからスタッフバックから、濡れた荷物をすべて広げて日に当てる。湯気を上らせながらみるみる乾いていく。太陽は偉大だ。
広げたマットの上でゴロゴロしながら、自分を乾かしていたら、頬に冷たいものが。とうとう降ってきたか。
そこらじゅうに広げてあった荷物をポンポンとテントに放り込む。すべて乾いた、素晴らしい。
やることがなくなってしまったので、小屋でビールを買って、ピーナッツをつまみに早々に一杯。
またすぐにやることがなくなったので、夕食を作って、5時には横になる。でも明るくてなかなか寝付けない。
しかし、昨日と違って寝返りを打てるのが幸せ。
(次回に続く)
赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…