ん十年ごしのリベンジ、祝瓶山~葉山から大朝日岳(3)

8/8 大朝日小屋~大朝日岳~平岩山~祝瓶山~徳網

前回の続き)

4時に小屋から外に出る。
風が強く冷たい。さすが東北の標高1800m。ウインドブレーカーの代わりのゴア雨を羽織る。
ヘッドライトをつけて出発。

20230807 朝日連峰、大朝日小屋から登り始める

地平線に雲は見えるが、天気は晴れ。北に街の灯が見える。

20230807 朝日連峰、夜明けの大朝日岳

昨日は走って通過しただけの、大朝日岳の山頂。しばし夜明けの山の景色を堪能。

20230807 朝日連峰、本日の縦走路

山頂から南へは、今日歩く祝瓶山までの縦走路がずっと見える。奥の三角ピークが祝瓶山。その向こうには飯豊連峰。

学生の時、泡滝ダムから祝瓶山までの、朝日連峰の完全縦走をもくろんだ。しかし、祝瓶山へ向かう最終日の天候が思わしくなく、手前の北大玉山の下山路からエスケープしてしまった。それ以来、祝瓶山はなんとなく心にひっかかるピークとなっている。

今日はん十年ごしのリベンジだ。

20230807 朝日連峰、2日目の朝焼け

左手には朝焼けが広がる。今日は雷雨が来ませんように。

20230807 朝日連峰、風の吹き抜ける縦走路

風の吹き抜ける縦走路。心地よい。

20230807 朝日連峰、西朝日岳から袖朝日岳に朝日が当たる

西朝日岳から袖朝日岳の稜線にも朝日が当たる。そそられる稜線だが、無雪期は檄藪なんだろうな。
そして、稜線から落ち込む谷も険しく深い。朝日連峰の沢は若いときは憧れだったが、ちょっと今は怖いな。

20230807 朝日連峰、雲が湧く

風が山に当たり吹き上げられ、途切れることなく雲が湧く。大気中の水蒸気は相当なもの。
ますます雷雨が心配。

20230807 朝日連峰、大朝日岳の下りはマツムシソウ

マツムシソウが満開の大朝日岳の斜面を下る。
まずは、目の前の平岩岳まで、昨日のルートを戻る。

20230807 朝日連峰、桔梗?

雨のしずくに濡れた花弁は美しい。
ところで、このキキョウのような植物はなに?

20230807 朝日連峰、白い花

白いのもあるよ。

20230807 朝日連峰、お花畑

鞍部にはお花畑が広がる。昨日は慌てていて気が付かなかった。

20230807 朝日連峰、
御来迎

ガスの山にもいいことはある。
後光さす阿弥陀如来に遭遇。なんまんだぶ、なんまんだぶ。自分だけど。

20230807 朝日連峰、平岩山まで戻る

今日は縦走して下山するだけだが、長い。下山後の登山口、針生平から最後に10kmちかい林道歩きが待っている。
しかし、相棒は昨日の疲労が回復しておらず、すでに予定より遅れている。長い一日になりそうだ。

平岩山の登りで暑くなってきた。ゴア雨を脱いで、気合を入れて出発。

20230807 朝日連峰、平岩山から南下する縦走路

これから歩く稜線。極端な高低差はないが、細かなアップダウンが続く。

20230807 朝日連峰、平岩山から先の稜線を行く

平岩山を過ぎるとハイマツが終わって、雪に潰された灌木の藪っぽくなっていく。
稜線は全体的に細めで、東側に付けられた道がガレているところもある。

雲が切れ、正面に遠く飯豊連峰を見る。飯豊も何年も行っていないな。

20230807 朝日連峰、平岩山先の水場?

山と高原地図で平岩山先の鞍部で水マークのついている付近。よくわからないな。

20230807 朝日連峰、北大玉山、暑い

暑いよ~

20230807 朝日連峰、下草は濡れている

昨日の雨で下草は濡れている。
靴やズボンはぐちゃぐちょ。Tシャツは汗で体に張り付き、ズボンは雨水で足に張り付く。

20230807 朝日連峰、北大玉山分岐

北大玉山の分岐。右に行けば、中俣沢に下りて針生平に下山。前回はここでエスケープした。
すでに予定より遅れているので、一瞬エスケープするか迷った。しかし、相棒は躊躇なく先に行ってしまったので、まだ大丈夫と判断して縦走を続ける。

20230807 朝日連峰、北大玉山の先で刈払いがうすく

北大玉山の分岐を超えると若干刈払いが薄くなる。昨日と違って刈払われていないわけではなく、登山者が少ないので刈払いの頻度が少ないだけだろう。道もここまでほどは踏まれていないようだ。

20230807 朝日連峰、東の空は雲に覆われる

自分の頭の上には雲がなく、カンカン照りだ。
しかし、昨日歩いた左手の稜線は、やばい雲に覆われている。こっちに来ませんように...

20230807 朝日連峰、大玉山へ

暑苦しい灌木が登山道に覆いかぶさる。
大王山へは草に覆われた滑る土の直登。階段を上るかの如く一歩一歩上がっていく。上がるにしたがって、藪が濃くなるのが不思議。
相棒はすでに足にきている。灌木をつかんで登っている。ペースは予定の半分くらいまで落ち、予定では祝瓶山の山頂に立っている時間だが、まだ遠い。

20230807 朝日連峰、ガクアジサイ

私は写真を撮りながら歩く。

20230807 朝日連峰、祝瓶山が近くなってきた

大玉山を越え、祝瓶山と正対する。ああ、やっと近くなった。
でも予定の行動時間を大幅に超え、食料も水も心もとない。節約モードに切り替える。

20230807 朝日連峰、桑住平への分岐

桑住平への分岐。ここからまた刈払いがしっかり。
祝瓶山へは、もうひと登り。

20230807 朝日連峰、クロマメノ木?

クロマメノキ?でもなんか食欲をそそらない。

20230807 朝日連峰、祝瓶山の斜面

祝瓶山の斜面を登る。
遠くからみると三角ピークだが、近くから見るとややこんもり。しかし、山頂は急峻なスラブに囲まれている。

20230807 朝日連峰、来し方を振り返る

相棒がゆっくり登っているので、ちょこちょこと足をとめて写真を撮る。
今日、歩いてきた稜線を振り返る。緑が豊かな、灌木が暑苦しい道だった。

20230807 朝日連峰、祝瓶山山頂

祝瓶山に到達。トンボが飛んでいる。
スタートしてから9時間半。当初予定では朝日平のバス停についているころだ。しかし、ここから下界まで先はまだまだ長い。
今の時間では朝日平からの最終バスに乗ることはできない。とにかく林道を歩いて、まずは携帯電話のつながるところを探すしかなかろう。

20230807 朝日連峰、祝瓶山からの展望

山頂からは360度の展望。しかしガスと雲で視界は悪い。時折ガスが風に流され、飯豊方面の視界が開ける。

20230807 朝日連峰、祝瓶山下山開始

下山開始。
暑い。しかも、ここまで予定の倍近い時間がかかっているので、水の残りが少ない。

20230807 朝日連峰、木地山ダム

お~、水だ水だ!(暑さで錯乱気味)

20230807 朝日連峰、祝瓶山からしばらく細い尾根

浸食されつつある細い尾根を下る。

20230807 朝日連峰、大石沢へ下る

そして荒川へむけて、樹林の尾根を下ってゆく。
下りになってもペースはあがらず、1kmを40分くらいかけて進む。これは、途中でヘッドランプだな...

暑いので、相棒がゆっくりと下りていくのを木陰で待つ。しかし、虫が多く、大きなアブが頭のまわりをブンブン回りはじめたり、スズメバチが偵察にやってきたりするので、落ち着いて休むこともできない。

20230807 朝日連峰、荒川手前

うお~、水だ水だ、本当に水だ!
尾根を下りきって荒川沿いの登山道に合流するところで小沢を横切る。冷たい水を腹いっぱい飲む。
あ~、一息ついた。でもまだ先は長い。

20230807 朝日連峰、荒川の吊り橋

吊り橋で荒川を渡って対岸へ。

20230807 朝日連峰、針生平に続く道

対岸の道はこんなの。川が増水したらあっという間に水没しそう。

そして、なんとか林道の終点、針生平に到着。
もう危険個所はない。しかし、まだ林道歩きが10kmある。
安全地帯に入ったので、牛歩の相棒を置いて、林道を走る。とにかく携帯のつながるところまで行って、タクシーを呼んで相棒を回収するしかない。

山の端に日が隠れる。周囲の景色がおぼろげになる、と、ブヨの雲に突入、数えきれないほどのブヨが顔の周りを飛び交う。おまけにかなりのメジロが混ざっている。
慌てて虫よけをとりだし、全身に吹きかけ、さらにザックや靴に吹きかける。それでも、私は虫の雲に覆われ、立ち止まるとシャツの襟や袖、帽子まで、あらゆる隙間にブヨが潜り込もうとする。ザックにはメジロが止まっている。

ここが今回の山行の最大の難所、危険個所だった。
とにかく、必死で走りつつける。

立派な舗装道路に出た。民家も見える。徳網の集落だ。
スマホを見ると電波が入っている。やった!
タクシー会社に電話をし、タクシーをよぶ。徳網から呼ばれることはあまりないようで、なんども場所を確認される。

虫を払いながらタクシーを待つ。
すると、林道のほうからチラチラと明かりが近づいてくる。相棒のヘッドランプだった。タクシーより先に相棒がきた。あまりにも虫にたかれるので、最後の力を振り絞って早歩きできたとのこと。
そうだよな、そうしないとブヨとメジロに全身かまれて、遭難しかねないぞ。

電話をしてから30分くらいでタクシーがやってきた。ああ、本当に終わった。
車を置いてある道の駅へ。

もう8時を過ぎているので近くの温泉はすべて終わっていた。米沢にでて平安の湯で汗を流し帰途につく。
本当に長い一日だった。

(葉山から大朝日岳、完)

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