青草に埋もれ大朝日岳へ~葉山から大朝日岳(2)

8/7 葉山~平岩山~大朝日岳~大朝日小屋

前回の続き)

20230807 朝日連峰、葉山の夜明け

夜が明ける前の4時に小屋を出る。
今日は、朝日連峰の主稜線に出て大朝日岳を越えて大朝日小屋までの長い一日。一般的なコースタイムの8割で歩く予定だが、それでも小屋に到着するのは午後2時すぎを予定している。
昨日はかなり早い時間に雷鳴を聞いた。今日も大気の状態が不安定なので、できるだけ急ぎたい。

20230807 朝日連峰、葉山の湿原

出発してすぐ、開けた場所、と思ったら立派な湿原だった。

20230807 朝日連峰、刈払われた道

広くはっきりしない尾根の密藪に切り開かれた道を、ゆるいアップダウンを繰り返しながら歩く。
これは、道がなかったらルートファインディングがかなり難しい尾根だな。

よつぶなの水場の標識があるところは、小さい広場のようになっていて、テントを張った形跡があった。
水場自体は確認せず。

20230807 朝日連峰、遠く朝日主稜線をのぞむ

低灌木とチシマザサの笹薮を刈払ってつけられた道からの景色はほとんど変わらない。
たまに、木々の間から縦走路と大朝日岳が見える。遠いな~。

20230807 朝日連峰、早朝の空

完全に夜が明けた。藪の底から空を仰ぐ。刷毛で掃いたたような雲が少しあるが、ほぼ快晴。暑い一日になりそうだ。
おまけに日が昇ると羽虫も出てきた。

20230807 朝日連峰、明るい広葉樹の森の道

こういうところは気持ちがいい。快調に進む。

20230807 朝日連峰、卯の花清水

中沢峰手前の卯の花清水。水場の確認はしなかったが、トレールから水音は聞こえた。
ここまでは、予定通りのいいペース。

20230807 朝日連峰、中沢峰で刈払い終わる

のわっ!中沢峰の直前で突然刈り払いが終わる。まあ、予想していたことだが。
道型ははっきりしているが、場所によっては胸までの笹で足元が見えず、日当たりのいいところは灌木が道をふさぐ。
青草に埋もれながら先を急ぐ。

20230807 朝日連峰、中沢峰から来し方

来し方を振り返る。はっきりとしたピークのない、なだらかで深い森。
どこからかウグイスの声が聞こえる。

20230807 朝日連峰、御影森、大朝日岳

正面にはこれから登る御影森、そして左手奥には今日の目的地、大朝日岳。

20230807 朝日連峰、藪との格闘が続く

どんどん濃くなる藪との格闘が続く。ただ、しっかり踏まれているのであまり問題はない。
しかし、刈払いがなくなってから相棒のペースが目に見えて遅くなっている。藪に足を取られたり、滑ったり、あきらかに足にきている。気温も上がっている。
本人は大丈夫と言っていたが、コロナの数年間縦走を控えていたので、いきなりこのルートはきつかったか。

20230807 朝日連峰、藪の隙間から祝瓶山

藪の隙間から、明日登る祝瓶山をのぞむ。

20230807 朝日連峰、前御影山

ひと登りして、前御影山の肩に立つと景色が一変した。
樹林から抜け出し、ハイマツも現れて、朝日連峰の稜線ぽくなってきた。楽しくなってきたぞ。
ただ、北からの風で稜線で雲が湧き、大朝日岳は低い灰色の中。ちょっとやばい雲ゆき。

20230807 朝日連峰、振り返る葉山方面

振り返る、葉山方面。この森の中を歩いてきた。

20230807 朝日連峰、御影森山からの道

御影森山で朝日鉱泉からの道と合流し、刈り払いが戻ってきた。ここからはまた楽に歩ける。
しかし、相棒のペースがどんどん遅くなり、すでに標準コースタイムから遅れ始めている。このペースでは3時には小屋につけない。雲行きが怪しくなんとしたものか。

20230807 朝日連峰、花も目に入る

藪を抜けると、花も目に付く。

20230807 朝日連峰、大沢峰の水場道標

大沢峰の水場を示す標識。
相棒の水がほとんどないので、冷たい水を求めちょっと行ってみる。

20230807 朝日連峰、大沢峰の水場のキスゲ

沢状をちょっと下ってみるが、水はなし。
キスゲの花が風に揺れるのみ。

20230807 朝日連峰、主稜線が近づく

主稜線がどんどん近くなる。

20230807 朝日連峰、マツムシソウ

夏の終わりを告げるマツムシソウ。

20230807 朝日連峰、平岩山手前のハイマツの道

もう灌木はない。ハイマツに覆われたアルペンチックな尾根を行く。
朝日連峰主稜線にある平岩山はもうすぐだ。

20230807 朝日連峰、平岩山、雷鳴が聞こえる

やっと平岩山に到着。たくさんのトンボが飛び交う。

予定より1時間以上遅れており、しかも西朝日岳のほうから雷鳴が聞こえる。大朝日岳にも切れ切れに灰色の雲がかかる。
やばい。小屋は大朝日岳を越えたところにある。しかも、そこまでは身を隠す木もない森林限界線上のトレール。本格的に雷雲がかかる前に山を越えないと。

すぐに出発したかったが、相棒はヨレヨレ。水も飲みつくしたとのことで、自分の予備の水を渡す。
歩けるようになるまで、ちょっと長めに休む。

おもむろに立ち上がり出発。
万が一どちらかに落雷があっても巻き添えをくらわないように、距離を空けて歩く。
すぐ近くで雷鳴が聞こえるが、金属部分や髪の毛に異常はないので、まだ雷雲の中ではない。しかし、強く冷たい風が吹きつけ、濃いガスに覆われてきたので危ない。
ハイマツがあるところまで身をかがめて走り、半分ハイマツに隠れるようにして息を整える、そしてまた身をかがめて走る。それを繰り返して、じりじりと大朝日岳山頂に近づく。

20230807 朝日連峰、大朝日岳山頂

大朝日岳山頂だ。
ここでピカドンとやられたくないので、身をかがめて走って、ガスでほとんど視界のない山頂を通過。
少し下ったところのハイマツの藪の中で相棒を待つ。

相棒と合流して、ちょっと下ると真っ白な視界の中にぼんやりと小屋が浮かび上がってきた。
小屋に入るやいなや、たたきつけるような雨が降り出した。ギリギリセーフ。

大朝日小屋は、無人小屋だが地元の山岳会の方が小屋番として入っている。
今日の宿泊者は10人くらい。

雨が止むのを待って、一人で金玉水に水を汲みに行く。相棒は疲れ切って動けない。
思う存分冷たい水を飲んで、手を洗って、顔を洗ってすっきり。しかし、油断してブヨに噛まれる。

戻るころには夕闇がせまりつつあった。明日も長い。早く寝る。

次回に続く)

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