小松湿原で秋を感じる~北岐沢遡行、猿沢下降(2)

9/17 奥の二俣~小松湿原~猿沢~大清水

前回の続き)

4時半に起床。この時期としては暖かく、飯盒枕でも快適に眠れた。
腹ごしらえをし、濡れた靴下を履く。うぉ~、冷たい靴下を朝一番に履くのが、泊りの沢で一番きついところかも。

20220917 奥の二俣から本流

サイト場から見た本流。正面真ん中が尾根のようになっていて、テントが張った跡がある。でもこれは中州。木に隠れた上のほうは、ゴーロで埋められている。

20220917 北岐沢、奥の二俣から急な流れとなる

奥の二俣を過ぎると、突如急流となり、手足を使って高度を上げていく。とは言え、今までが緩すぎただけ。

20220917 北岐沢、岩壁状5m

岩壁状の4m。最後の滝らしい滝。右側のザレとの境目を登る。

20220917 北岐沢、滝を越えるとまた穏やかな流れ

滝を越えるとまた穏やかな流れになる。
快適ではなさそうだが、ビバーグできるところも随所にある。

沢はUの字に蛇行を繰りかえす。そして、右手に黄土色の土壁を見ると、すぐに最後の二俣。

20220917 北岐沢、最後の二俣

最後の二俣。小松湿原に出るために、倒木がうるさい右へ行く。

20220917 北岐沢、小松湿原は近い

流れはどんどん細くなる。そして正面が明るくなってきた。
近いぞ!

20220917 北岐沢、小松湿原

でた。道なき小松湿原。この沢の魅力の一つは、詰めがこの美しく静かな湿原であること。
誰もいない。鳥のさえずりと微かな風の音が聞こえるだけ。空も地面も秋の色。
しばらくボケーッと自然と一体になる。

20220917 小松湿原のヌタ場

足元はドロドロ。ヌタ場もある。
湿原を荒らしてはいけないと、泥の上を歩くが、ズブズブと足首まで潜る。

20220917 小松湿原の花

唯一咲いていた、小さな花。

さて、沢登りはまだ終わっていない。稜線に付けられた道がとりあえずゴールだ。

20220917 北岐沢、小松湿原から稜線へ

湿原から離れ、2043mと2055mのコルを目指して沢形を詰める。それほど傾斜はきつくないが、やっぱり登りは汗をかく。

20220917 北岐沢、稜線直下

なだらかな針葉樹林となり、沢がわからなくなる。2055mに登らないようやや左にトラバース気味にコルを目指す。

20220917 鬼怒沼山への道

道に出た。思ったより踏まれていない。
道に沿って、鬼怒沼山のほうへ歩いていく。

20220917 燧ケ岳

木々の間から燧ケ岳が見えた。今回の唯一の山の展望。やっと尾瀬に来た実感。

20220917 鬼怒沼山への道の倒木地帯

2055mの付近の道は、無数の倒木に覆われている。処理されておらず巻き道が錯綜している。歩きにくいことこの上ない。

20220917 猿沢下降点

2069m手前のコルに到着。
下山は、天気がよければ猿沢下降、悪ければ、物見山経由の登山道と決めていた。幸い、天気予報が外れて晴れているので、猿沢を下りる。
このコルでコンパスを切って、猿沢の源頭を目指す。

20220917 猿沢源頭部

コンパスに従って、まっすぐ歩いていると、沢形が現れる。

20220917 猿沢源流

そして、いくつかの小沢を合わせて、沢らしくなってくる。

20220917 猿沢最初の5m滝

最初の5mの滝。左から簡単に巻ける。

20220917 猿沢の穏やかな流れ

滝を越えると、いったん穏やかな流れとなる。
1850m付近の屈曲部は、ミニゴルジュがあったり、小滝が連続したりしてちょっとした変化がある。

20220917 猿沢2つ目の滝

そして、その先には2つ目の5mの滝。
階段状なのでクライムダウン可能だが、落ち口が黒くぬめっていて、初めの一歩が怖い。滝つぼがないので、落ちたらダメージがでかい。
用心して、左の泥の溝に沿って懸垂下降。

20220917 猿沢2つ目の滝、下から

下から見るとこんな感じ。登りは簡単そう。

20220917 猿沢のナメ

2つ目の滝を越えると、もう滝らしい滝はない。樹林の中をひたすらナメ床が続く。

20220917 猿沢のナメ床は続く

途切れることなく、延々とナメ床が続いていく。ここまで長いナメはなかなかのもの。ほとんど道路を歩いているような感覚だが、ときどき、何の抵抗もなくつるんと滑る。油断はできない。

20220917 猿沢と奥鬼怒林道が交差

ナメは唐突に林道で断ち切られる。えっと、どうやって林道に上がろう。左の護岸の上か、右の藪の中か。右の藪を選択。

林道で沢装備を解除。沢靴を脱ぐと、捻挫をした右足がまた腫れていた。沢の下降は大した下りでなくても、足首への負担は大きいようだ。

ここからは、昨日歩いた林道をひたすら戻る。長い林道歩きは憂鬱だ...。大福を食べて気を取り直して出発。

20220917 大清水に戻る

大清水に戻ってきた。
午後から雨との予報だったが、珍しく天は我に味方した。2日とも、天候に恵まれてよい山行だった。

20220917 ささの湯

帰りがけに温泉による。「源泉かけ流し」で検索してたどり着いたのは、幡谷「ささの湯」。
源泉かけ流し、無加水、無加温。身も心も清められるような、柔らかくてきれいなお湯。
ちょっとぬるめで、いつまででも入っていられる(冬は出れなくなるかも)、頭の芯まで腑抜けになりそうな、癒しの湯。

さて、ここまで来たら、十割そば尾瀬の超粗挽きの蕎麦を食べずには帰れない、と行ってみたら、廃業していた...。コロナのせいか~、あの蕎麦をもう食べることはできないのか~、う~ん、残念。

(北岐沢、完)

参考
奥の二俣6:17-6:58小松湿原-8:04猿沢下降点-10:53奥鬼怒林道11:13-13:01大清水

地図

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