小松湿原で秋を感じる~北岐沢遡行、猿沢下降(2)
9/17 奥の二俣~小松湿原~猿沢~大清水
(前回の続き)
4時半に起床。この時期としては暖かく、飯盒枕でも快適に眠れた。
腹ごしらえをし、濡れた靴下を履く。うぉ~、冷たい靴下を朝一番に履くのが、泊りの沢で一番きついところかも。
サイト場から見た本流。正面真ん中が尾根のようになっていて、テントが張った跡がある。でもこれは中州。木に隠れた上のほうは、ゴーロで埋められている。
奥の二俣を過ぎると、突如急流となり、手足を使って高度を上げていく。とは言え、今までが緩すぎただけ。
岩壁状の4m。最後の滝らしい滝。右側のザレとの境目を登る。
滝を越えるとまた穏やかな流れになる。
快適ではなさそうだが、ビバーグできるところも随所にある。
沢はUの字に蛇行を繰りかえす。そして、右手に黄土色の土壁を見ると、すぐに最後の二俣。
最後の二俣。小松湿原に出るために、倒木がうるさい右へ行く。
流れはどんどん細くなる。そして正面が明るくなってきた。
近いぞ!
でた。道なき小松湿原。この沢の魅力の一つは、詰めがこの美しく静かな湿原であること。
誰もいない。鳥のさえずりと微かな風の音が聞こえるだけ。空も地面も秋の色。
しばらくボケーッと自然と一体になる。
足元はドロドロ。ヌタ場もある。
湿原を荒らしてはいけないと、泥の上を歩くが、ズブズブと足首まで潜る。
唯一咲いていた、小さな花。
さて、沢登りはまだ終わっていない。稜線に付けられた道がとりあえずゴールだ。
湿原から離れ、2043mと2055mのコルを目指して沢形を詰める。それほど傾斜はきつくないが、やっぱり登りは汗をかく。
なだらかな針葉樹林となり、沢がわからなくなる。2055mに登らないようやや左にトラバース気味にコルを目指す。
道に出た。思ったより踏まれていない。
道に沿って、鬼怒沼山のほうへ歩いていく。
木々の間から燧ケ岳が見えた。今回の唯一の山の展望。やっと尾瀬に来た実感。
2055mの付近の道は、無数の倒木に覆われている。処理されておらず巻き道が錯綜している。歩きにくいことこの上ない。
2069m手前のコルに到着。
下山は、天気がよければ猿沢下降、悪ければ、物見山経由の登山道と決めていた。幸い、天気予報が外れて晴れているので、猿沢を下りる。
このコルでコンパスを切って、猿沢の源頭を目指す。
コンパスに従って、まっすぐ歩いていると、沢形が現れる。
そして、いくつかの小沢を合わせて、沢らしくなってくる。
最初の5mの滝。左から簡単に巻ける。
滝を越えると、いったん穏やかな流れとなる。
1850m付近の屈曲部は、ミニゴルジュがあったり、小滝が連続したりしてちょっとした変化がある。
そして、その先には2つ目の5mの滝。
階段状なのでクライムダウン可能だが、落ち口が黒くぬめっていて、初めの一歩が怖い。滝つぼがないので、落ちたらダメージがでかい。
用心して、左の泥の溝に沿って懸垂下降。
下から見るとこんな感じ。登りは簡単そう。
2つ目の滝を越えると、もう滝らしい滝はない。樹林の中をひたすらナメ床が続く。
途切れることなく、延々とナメ床が続いていく。ここまで長いナメはなかなかのもの。ほとんど道路を歩いているような感覚だが、ときどき、何の抵抗もなくつるんと滑る。油断はできない。
ナメは唐突に林道で断ち切られる。えっと、どうやって林道に上がろう。左の護岸の上か、右の藪の中か。右の藪を選択。
林道で沢装備を解除。沢靴を脱ぐと、捻挫をした右足がまた腫れていた。沢の下降は大した下りでなくても、足首への負担は大きいようだ。
ここからは、昨日歩いた林道をひたすら戻る。長い林道歩きは憂鬱だ...。大福を食べて気を取り直して出発。
大清水に戻ってきた。
午後から雨との予報だったが、珍しく天は我に味方した。2日とも、天候に恵まれてよい山行だった。
帰りがけに温泉による。「源泉かけ流し」で検索してたどり着いたのは、幡谷「ささの湯」。
源泉かけ流し、無加水、無加温。身も心も清められるような、柔らかくてきれいなお湯。
ちょっとぬるめで、いつまででも入っていられる(冬は出れなくなるかも)、頭の芯まで腑抜けになりそうな、癒しの湯。
さて、ここまで来たら、十割そば尾瀬の超粗挽きの蕎麦を食べずには帰れない、と行ってみたら、廃業していた...。コロナのせいか~、あの蕎麦をもう食べることはできないのか~、う~ん、残念。
(北岐沢、完)
参考
奥の二俣6:17-6:58小松湿原-8:04猿沢下降点-10:53奥鬼怒林道11:13-13:01大清水
地図
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赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…