予想外に手間取り笹ヶ峰~東赤石山から石鎚山(3)
11/5 銅山峰ヒュッテ~笹ヶ峰~伊予富士~瓶ヶ森キャンプ場
(前回の続き)
昨晩は12時過ぎまで雨が降っていた。濡れてべちゃべちゃのフライを、ヘッドライトの明りを頼りにスタッフバッグに押し込む。あ~、気持ち悪い。
寒くはない。草木が雨でぬれているので、ゴアアマを着て4:50出発。真っ暗な中、昨日下った道を銅山越まで登り返す。
主稜線に出るころには、空が明るくなり始めていた。
カヤト交じりの低い灌木に覆われた、なだらかな尾根をやや速足で歩く。今日の目的地の瓶ヶ森まで25km以上ある。走りを交えて、ぎりぎり日没に間に合う距離だ。今日の難所と予想される、ちち山の通過に手間取る可能性があるので、できるだけ早め早めに進んでおきたい。
しかし、思わぬところに伏兵が。
ツナクリ山の先で、地図上は道は左に直角に曲がり、金鍋越に下りてゆく。実際に行ってみると、道は確かに左に曲がっているのだが、突然急斜面になっていて、その先がよくわからない。踏み跡は切れ切れにあるものの、木の幹をつかみながら下りるほどの急傾斜だ。ヘッドランプを強にして下をのぞき込むが、光は真っ暗な樹林に吸い込まれ、どうなっているのか全く見えない。
地図上では、直進するルートもあるので、そちらも見てみるが、そっちはほとんど踏まれていない。
むう、この急斜面を下りるのが正解だとは思うが...間違ってたら登り返すのが面倒だな...。よし、休憩にしよう。
20分もしたら明るくなってきた。明るくなればなんてことはない。
急斜面の手前で、はっきりとした道は切れているものの、踏み跡はずっと下まで続き、木に巻かれたテープも、点々と続いている。
計画より20分以上遅れた。予想外のところで手間取ってしまった。
下り切れば金鍋越。そこには立派な道標。
よし、走って遅れを取り戻そう。
走れません。
地形から走れるかと思っていたが、走れません。
道は、あちこち崩れていて、倒木もそのまま、おまけに、濡れた落ち葉が滑る。
登山道の手入れはほとんどされていないようだ。
七番越までは、広い立派な道が分岐したり、合流したりする。手元の地図には載っていないが、銅山開発に使われた道や鉄道跡なのだろう。
土山越から普通の登山道になり、シシ舞ノ頭へ向けて登ってゆく。
ここが、山と高原地図で「急登」と書かれた場所。ぜんぜん急じゃないよ。今朝、手を使って下った金鍋越のほうがよっぽど急登だ。しかし、山と高原地図には、なんの記載もない。
シシ舞ノ頭に到着。灌木に覆われた、これといった特徴のない尾根の突端。
あれ、地図では「シシ舞ノ頭」だが、道標は「獅子舞の鼻」になってるぞ。
シシ舞ノ頭からちち山分れまで、まっすぐに尾根が延びる。走れるかと思っていたが、尾根が細いところもあり、露岩もあり、やっぱり濡れた落ち葉と笹が滑る。早歩きが精一杯。
これから行く先は雲に覆われている。この先は笹はどんどん多くなる。日が照ってくれないと、いつまでも濡れた笹に悩まされそうだ。
幸いにして、だんだん雲が切れて、陽が出てきた。
すでに計画から30分以上遅れている。遅れを取り戻すべく、頑張って斜面を登り続ける。背中に汗がにじむ。
やっと着いた、ちち山分かれ。ここで、石鎚山脈と合流する。
合流した石鎚山脈の雄大な眺め。
笹のトラバースの道。傾斜がゆるいところは、写真のようにはっきり道がついているが、傾斜がきついところは、踏み跡が不明瞭になる。走るなんて言外、笹の中の踏み跡っぽいところを探って歩く。
これから行く寒風山や伊予富士が大きくなってきた。でもスピードも上がらないし、遠いな...
ちち山の手前で、ちち山を直登して笹ヶ峰に至るルートと、ちち山をトラバースして笹ヶ峰に至るルートが分岐する。
記録を読むとちち山をトラバースするルートは、みんな難渋している。直登するルートの記録は読んでいないが、藪漕ぎのセオリーとして、トラバースは極力避けるものだ。直登であれば、笹をつかんで、体を引き上げて登っていけばいいだけ。トラバースは、笹を踏むと斜面方向に簡単に滑り、滑落の危険がある。横から伸びる灌木の枝を避けるのもうっとうしい。
迷わず直登する。
あっけなく、ちち山山頂。風もなく穏やか。ちょっと休憩。
「ちち山」とはへんな名前だ。私の推理するところ、子供が「ささ山」を「ちち山」と書き間違えたに違いない。どう?
ちち山から笹ヶ峰までは、例のごとく歩きにくいところもあるが、危険なところもなく、なだらかな尾根が続く。
笹の大本山、笹ヶ峰山頂。緑の笹原が広がる景色を期待していたが、なにも見えません。
写真を撮って通過。遅れを取り戻すことで頭がいっぱい。
ここから道がよく踏まれていて走りやすくなった。
笹ヶ峰を振り返る。
なんだよ、晴れてるじゃないか。
目の前には、次のピーク、寒風山が大きい。
走れるかと思ったが、道に笹がかぶっていて、足元が見えないので走れない。
露岩が出ていたり、えぐれていたりするところがあるので、足元が見えないと危ない。
右手には、別子温泉~新居浜市街。
(次回に続く)
赤星山もおといこさんも地元で親しまれている山のようですね。調べてみたら行ってみた…